Rauber Kopsch Band2. 334   

b)虫部Vermis, Wurm

 虫部の回転Gyriは,小脳半球の回転と続いている.下虫では虫部と半球とのあいだに深い溝があるが,回転の続きはかなりはっきりとみられる.

 上虫には次に述べる部分がある(図408参照):すなわち

1. 小脳小舌Lingula cerebelli, Züngelchen(図422).これは両側の結合腕のあいだで前髄帆の上にある4~6個の低い回転よりなる.小脳小舌の後部をなす小板の外側には,左右それぞれ1つの低い細長い高まりがある.これを小脳小舌ヒモVinculum lingulae cerebelliという.

2. 中心小葉Lobulus centralis, Zentralläppchen(図427),これは前髄帆の上方にあり,左右各側がそれぞれ中心小葉翼Ala lobuli centralisに続いている.

3. 小山Monticulus, Berg(図418).これは上虫のなかで最も大きな部分である.これに山頂Culmen, Gipfelと山腹Declive, Abhangとを区別し,これらの回転群は左右両側の四角小葉のあいだをつないでいる.山頂は四角小葉の前部に,山腹はその後部に属する.

4. 虫部葉Folium vermis, Wipfelblatt(図408).これは両側の上半月小葉の内側端をつなぐ狭い橋をなしている部分であって,その上下両面には横走する溝がある.

 下虫には次の各部がある:すなわち

1. 虫部隆起Tuber vermis, Wulst(図426).その回転は両側の下半月小葉をつないでいる.

2. 虫部錐体Pyramis vermis, Pyramide(図426).これは後方に向かって強く突出した回転群をもち,これらの回転が両側の二腹小葉をつないでいる.

3. 虫部垂Uvula vermis, Zäpfchen(図426).これは細長い形の横走する回転群で,左右の小脳扁桃の後端部をつないでいる.

4. 虫部小節Nodulus, Knötchen(図427).これは密に集まっている回転群で,モミ(縦)の実に似た形をしており,後髄帆と片葉柄を介して左右の片葉を連ねている.

c)小脳の髄体Corpus medullare cerebelli

 これは一部は小脳半球のなかに,一部は虫部のなかにある.

1. 小脳半球の髄体は半球とだいたい同じような形をしていて,内側は虫部の髄質につづき,3つの対をなす強大な柄Stieleによってそれぞれ延髄,橋および中脳と続いている(図427).延髄に達する柄,すなわち索状体Corpus restiforme(327,  337頁)と橋に達する柄,すなわち橋腕Brachium pontis(330,  335頁)とについてはすでに述べた.中脳に達する柄は結合腕Brachium conjunctivumと呼ばれる.これら3対の柄は小脳の内部に達して,小脳半球の髄質と虫部の髄質の基をなし,表面の高まり(回転)Randwülsteにいたる途中で髄板Laminae medullaresという板に分れる.この髄板がさらに2次および3次の髄葉に分れている.髄板は灰白質に被われ,かくして小脳の回転Gyriができている.

 髄板を除いた髄核は10~15mmの厚さがある.これは小脳半球じしんの厚さのおよそ1/3である.--小脳半球の髄核から出る1次髄板Primäre Blätterの数は10と15のあいだを変動する.終末の髄板Endleistenと回転Gyriは小脳半球を通る最大の断面上でおよそ315個かぞえられる.

2. 虫部の髄体は小脳半球のそれよりもはるかに小さくて,2~3mmの厚さである.矢状断面ではきれいな樹木の模様,すなわち生命樹Arbor vitae, Lebensbaumを示す(図408).

S.334   

最終更新日13/02/03

 

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