Rauber Kopsch Band2. 356   

3. 頭頂後頭溝Sulcus parieto-occipitalis(図407, 408)

 頭頂後頭溝は大脳半球の内側面の後上部にあり,半球の背側面にも(多くは1~2cmだけ)及んでいる.この溝の内側部は腹方で鳥距溝の前端と合している.

4. 横後頭溝Sulcus occipitalis transversus(図406)

 この溝は多くのばあい頭頂間溝Sulcus interparietalisという頭頂葉の溝とつながっていて,大脳半球の凸面で横の方向に短い距離だけ延びているが,外套稜には及んでいない.

b)大脳の各葉に属する溝

1. 前頭葉の溝

 前頭葉は中心溝の前方で,外側大脳裂の前方と上方にある大脳半球の広い領域を占めている(図406).前頭葉には凸を画く背外側面dorsolaterale Flächeと,わずかにへこんだ眼窩面orbitale Flächeと,平らな内側面mediale Flächeとがある.前頭葉には次の諸溝がある:すなわち

背外側面には,(図406, 407)

a. 中心前溝Sulcus praecentralis.これは頭頂弁蓋の尖端の近くに始まり,中心溝にほとんど平行して走るが,外套稜には達していない.中心前溝はしばしば2片に分れている.

β. 上前頭溝Sulcus frontalis superior.これは中心前溝から前方に走っている.

γ. 下前頭溝Sulcus frontalis inferior.これは中心前溝から弓状に前下方に走る.

δ. ε. 外側大脳裂の上行枝Ramus ascendensと前枝Ramus frontalis.

 眼窩面には,(図409, 420)

ζ. 嗅溝Sulcus olfactorius.これは半球間裂の近くで,これに平行して走る.嗅溝のなかには嗅索がある.

η. 眼窩溝Sulci orbitalesは眼窩面にある嗅溝以外の溝である.

 内側面には,(図408)

θ. 脳梁溝Sulcus corporis callosi,これは脳梁の外側に沿っている.

ι. 帯状溝Sulcus cinguli;これは脳梁溝に平行して走る.帯状溝の前方部は前頭下部Pars subfrontalisという名前で,それより後方の上行して外套稜に達する縁部Pars marginalisから区別され,縁部は内側面で前頭葉と頭頂葉とを分けている(図408).

κ. λ. 後嗅傍溝Sulcus adolfactorius posteriorと前嗅傍溝Sulcus adolfactorius anteriorとは脳梁吻Rostrum corporis callosiの下方にある前頭葉の部分に属している.これら両溝は短くて,たがいに平行し,ほとんど垂直に走っている(図408).

2. 頭頂葉の溝

 頭頂葉の境界(図406, 408)は次のものである:すなわち前方は中心溝および帯状溝の縁部,後方は横後頭溝および頭頂後頭溝,下方は外側大脳裂の後枝およびシルヴィウス溝(外側大脳裂)の上行部の初まりから錐体圧痕に引いた想定線である.

 頭頂葉には背側面と内側面とがある.

 その背側面の溝(図406, 407)を次に述べると,

a. 中心後溝Sulcus postcentralisは中心溝とおよそ平行して走る.中心後溝は中心溝の下部のうしろで始まり,外套稜までは達しない.しばしばこの溝が2片に分れている.

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最終更新日13/02/03

 

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