Rauber Kopsch Band2. 375   

[図445]小脳天幕Tentorium cerebelliと大脳鎌Falx cerebri(3/4) 頭蓋冠の右半はほとんど完全に取り去ってある.

B. 脳軟膜Leptomeninx[encephali], weiche Hirnhaut

 脳軟膜は(外方の)脳クモ膜Arachnoides encephaliと(内方の)脳柔膜Pia mater encephaliという2つの膜よりなる.

1. 脳クモ膜Arachnoides encephali

 これは血管をもたない繊細な膜であって,その平滑な外方の面は内皮に被われて硬膜た向い,狭い硬膜下腔Cavum subdurale, Subduralraumを内方から境している.クモ膜の内面は内皮に被われた数多くの小梁と小膜が存在することによって粗であり,且つけば立っている.この小梁と小膜とがクモ膜を柔膜と結合していて,クモ膜下組織と呼ばれる.このクモ膜下組織によって,クモ膜と柔膜のあいだの腔所がたがいにひとつづきをなす大小いろいろな腔所の集りと化していて,その全体が軟膜腔Cavum leptomeningicumと呼ばれ,(クモ膜下の)髄液をもって満たされている.

 終脳の凸面と平面的な表面とにある諸回転の上では,クモ膜下小梁が短くて,且つ固くできているので,クモ膜と柔膜とが合して1の膜とみなしうる状態である(これが脳軟膜Leptomeninxである).この1枚の膜は2枚の丈夫な限界板よりなり,その内部には小梁と隙間が存在する.ところで柔膜は脳溝のなかに入りこむが,クモ膜は脳溝の上を越えてのびている.そこにはかなり長い小梁や小膜およびかなり大きい裂隙をもつ場所がある.脳底のところと脊髄への移行部ではクモ膜が定まった個所で柔膜から遠く離れてもちあがり,そのため大きなクモ膜下の腔所,すなわち軟膜槽Cisternae leptomeningicaeができている.

S.375   

最終更新日13/02/03

 

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