Rauber Kopsch Band2. 380   

 1. 菱脳ヒモTaenia rhombencephali.これは閂(326頁)において始まり,後索の上端の前を斜めに索状体に移ってゆき(図421, 422),第四脳室外側陥凹の縁をなして,ついで小脳に達し,ここでは片葉脚と後髄帆とに沿って虫部小節に達している(330頁).それゆえ菱脳ヒモは他側のそれといっしょにして考えると,輪状をなしている.

[図451]側脳室脈絡叢,その下角にある部分 海馬足と側脳室の下角とを通る前額断.×2

v. l. 側脳室の下角;sub. 海馬傍回;c. A. 海馬足,その脳室面ではdからcまでは白い髄質板で被われ,この髄質板はにおいて海馬采fiに移行している.aとbとのあいだでは脈絡叢p. ch. が脈絡壁Parles chorioideus, Zottenplatte (R. Wetzel)を作っている.外に露われている面を被う柔膜の続きは点線で示してある.n. c. 尾状核尾;f歯状回;g 退行髄板Lamina medullaris involuta,これは白網様質に続いている.

[図452]第三脳室脈絡組織・第三脳室脈絡叢と側脳室脈絡叢 間脳と側脳室とを通る前額断.半模型図. ×2

cr. 大脳脚;v. III第三脳室;v. l. 側脳室;r 脳弓(f)の上面と脳梁(c, a. )の下面とのあいだにある側脳室の陥凹;n. c. 尾状核;st. t. 分界条.脳弓の外側稜cからは,側脳室脈絡叢(ch. l. )をもつ柔膜葉が橋渡ししてaに向い付着板の縁に達している.このところ,ならびに脳弓の下面および視床と第三脳室との上面にある柔膜葉は点線であらわし,脈絡叢の上皮は鋸の歯のように多くのでこぼこをもつ線によって模型的に示してある.上下の両柔膜葉のあいだにはゆるいクモ膜下組織(sa. )と2本の内大脳静脈(v. v)の横断面とがある;ch. m. 第三脳室脈絡叢.

2. 髄ヒモTaenia medullaris.第三脳室の髄ヒモは視床脈絡ヒモとひと続きの条をなし,この条に4つの部分を区別することができる:すなわち髄ヒモTaenia medullaris,視床脈絡ヒモTaenia chorioidea thalami,采ヒモTaenia fimbriaeおよび脳弓ヒモTaenia fornicisである.

 髄ヒモTaenia medullarisは松果体(図418)において始まり,各側では髄条の自由縁に沿って前方に進む.

そしてこれは第三脳室脈絡叢の下面を被っている幅め狭い上皮板に続くのである.室間孔に達すると髄ヒモは後方に曲がって視床脈絡ヒモとなる.この視床脈絡ヒモは海馬足の前端で采ヒモに続き,采ヒモは脳弓ヒモに続くのである.

 柔膜の血管は大部分が脳に分布するものであり,柔膜じしんのためのものではない.その動脈の源は内頚動脈と椎骨動脈とである(第1巻参照).柔膜のリンパ管についてはすでに上に述べた(305頁).

 柔膜と脈絡叢の神経はStöhrによれば交感神経と副交感神経とから来る.交感神経は頚動脈神経叢と椎骨動脈神経叢とから,副交感神経は動眼神経・外転神経・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経からくる.そのうえなお直接の枝が橋と大脳脚とから来ている.神経の分布は脳底では脳の凸面におけるよりも豊富である.3種類の終末が観察されている:すなわち,1. いろいろな形の終末膨大部(305頁参照),2. 触覚小体(マイスネル)Meissnersche Körperchenとこれによく似た終末装置,3. 終末分枝叢とである.

 Imamura, Sh., H. Obersteiners Arbeiten,8. Bd.,1902.--Stöhr, Ph., Über die Innervation der Pia mater und des Plexus chorioideus des Menschen. Z. Zellforsch., 30. Bd.,1939.

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最終更新日13/02/03

 

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