Rauber Kopsch Band2. 383   

 中大脳動脈A. cerebralis mediaはさらにひと並びの島枝Rami insularesをだし,その細枝は前障にまで達している.

3. 後大脳動脈A. cerebralis posterior.その内側からは上に述べた中脳と間脳とにいたる諸枝がでており,その外側からは次の諸枝が大脳皮質にあたえられる:

 a)とb)前側頭動脈A. temporalis anteriorと後側頭動脈A. temporalis posteriorおよびc)後頭動脈A. occipitalis.前側頭動脈は海馬傍回に分布し,なお側頭葉の尖端部に分布する.後側頭動脈は海馬傍回,下側頭回および外側後頭側頭回に分布し,後頭動脈は後頭葉の大部分に分布する.その一部は鳥距溝のなかを走っている.

B. 静脈

 第I巻,642頁参照

C. リンパ路

 これについては,脳の被膜 373頁および第I巻,696頁を参照せよ.

 

8.脳の微細構造

a)延髄,橋および中脳
1. 第1頚髄I. Cervikalsegment(図454)

 まず第1頚髄を通る断面から始めよう.脊髄の断面はここではだいたい円形である.その灰白質は第1頚神経の線維量が少ないことに相応してその発達が弱く,前柱の幅炉狭くて,後柱の頚は特に細く,これに反して後柱膠様質ははなはだよく発達している.後柱の全体がいく分前方に曲がっている.網様体はこれより下方の頚髄におけるよりもいっそう強大である.図の右側では線維束が前柱の基部を貫いて他側の前索に達している.これは錐体側索路の線維であって,つまりこれは錐体交叉の下端を示している.

2. 延髄Medulla oblongata,横断面I(図455)

 錐体交叉を通る断面であって,中心管の前方には,交叉しつつある錐体側索路の線維束の密な集りがみられる.すでに交叉を終えた線維束は前正中裂の両側に面して密な線維団を作る.これが延髄の錐体の下端である.その個々の線維束は錐体束Fasciculi pyramidiciといわれて,横と斜めと縦の方向に切られている.前柱の内側の境界はなお存在しているが,外側へは,網様体のなかに移行している.錐体交叉と前柱との問にある横断された線維群は内側縦束(後縦束)Tractus longitudinalis medialis(Fasciculus longitudinalis medialis)である.

 ゴル索の内部には1つの核が現われている.これが後索内側部核(薄束核)Nucleus partis medialis fasciculi dorsalisである.ブルダッハ索の核,すなわち後索外側部核(楔状束核)Nucleus partis lateralis fasciculi dorsalisは内側部核と違って中心灰白質に接続して始まるのである.後柱膠様質はなおもいっそう強大になった.その外側には三叉神経脊髄路Tractus spinalis nervi trigeminiがあり,この場所は脊髄のなかでは辺縁帯が占めていたところである.その線維の側枝が後柱膠様質のなかに入るのであって(図492),この灰白質はいまや三叉神経脊髄路核Nucleus terminalis tractus spinalis nervi trigeminiと呼ばれる.中心管の両側には1群の細胞がある.これが副神経核Nucleus originis nervi accessoriiである.

S.383   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る