Rauber Kopsch Band2. 468   

 舌下腺に入る線維は顎下神経節ならびに次に述べる神経細胞の特別な群から発している.後者はこの神経の枝のなかに散在していて,時として1つの神経節,すなわち舌下神経節Ganglion sublingualeを作っていることがある.

3. 舌枝Rami linguales(図524).この枝は舌神経の終枝で,舌の前半にゆくものであり,その数が多い.舌枝は舌背,舌の外側縁および舌尖の粘膜に広がり,とくに茸状乳頭Papillae fungiformesと糸状乳頭Papillae filiformesとに終る.舌枝は一部は三叉神経からの単純な知覚性の線維を,一部は鼓索神経からの味覚線維を導いている.

三叉神経第3枝の神経節
A. 耳神経節Ganglion oticum(図518)

 耳神経節は最大の直径が3~4mmある平たい楕円形のもので,卵円孔のすぐ下で三叉神経第3枝の内側面,口蓋帆張筋の外側面に接している.その神経細胞は多極性である.耳神経節は,その根とよばれるいくつかの神経と結合している.また1連の枝を送りだしている.

耳神経節の根

1. 三叉神経第3枝すなわち下顎神経との結合枝,これは全部とはいえないが,なにしろその線維の大部分が内側翼突筋神経およびその諸枝に移って行く.これが運動根Radix motoriaである.

2. 中硬膜動脈のまわりにからまっている交感神経叢との結合枝,すなわち硬膜枝との交通枝Ramus communicans cum ramo meningico.これが交感根Radix sympathicaである.

3. 小浅錐体神経N. petrosus superficialis minor(図518).これは耳神経節と舌咽神経の外神経節とを結合するものであり,同時に顔面神経の膝神経節との結合をもなし,蝶骨錐体裂から出て耳神経節の後端に達している.その線維は大部分が舌咽神経の鼓室神経からきている.これが知覚根Radix sensitivaである.

4. 第4番目の中心がわへの結合として,耳神経節はNervulus sphenoidalis internus(内蝶骨小神経)によって翼口蓋神経節と連なっている.この小神経は耳神経節から出て翼突管神経に達しているのである.

5. 第5番目の結合枝はNervulus sphenoidalis externus(外蝶骨小神経)であって,これはC. Krauseによれば三叉神経の半月神経節に行くという.

 耳神経節から末梢経路に入る絞は次のものである:

1. 耳介側頭神経に達する色の淡い太い枝,すなわち耳介側頭神経との交通枝Ramus communlcans cum n. auriculotemporali, 2. 鼓索神経への枝,すなわち鼓索神経との交通枝Rami communicantes cum chorda tympani, 3. 鼓膜張筋神経N. tensoris tympaniへの1小枝,4. 内側翼突筋神経N. pterygoideus medialisへの1枝,5. 口蓋帆張筋神経N. tensoris veli palatiniへの1枝,6. 頬神経N. buccalisへの1枝,その他に不明な経過をとる,若干の枝.

B. 顎下神経節Ganglion submandibulare(図61, 536)

 顎下神経節はすこぶるまちまちな形をしており,最大の直径は3~3.5mmあり,顎下腺の上方にある.またそれぞれ1本の前方と後方の線維束によって舌神経と結合している.その神経細胞は多極性である.

 後方の束はこの神経節に舌神経と鼓索神経の線維を導き,前方の束はこの神峰節から出る線維を舌神経に導いている.後方の束は運動根Radix motoriaと知覚根Radix sentitivaとを含み,また顔面動脈のまわりの交感神経叢から出るいく本かの細い枝が交感根Radix sympathicaをなすと思われる.

 この神経節は5~6本の繊細な枝を顎下腺にあたえる.これが腺枝Rami glandularesであり,この神経節の下縁から出ている.腺枝はたいてい顎下腺管とともにその腺門に入り,その分泌をつかさどる神経をなしている.若千の細い小枝がその導管に沿って舌下唾液乳頭にまで達する.

 この神経節の前縁から細い枝がでて,舌神経に入り,これといっしょに舌にゆく.ときには若千の小枝がこの神経節から出て舌下神経N. hypoglossusに達し,これに伴って末梢に分布している.

S.468   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る