Rauber Kopsch Band2.619   

 日本人では上眼瞼溝が多くの場合(76%, ONishi)眼瞼縁のすぐ上方にある(Adachi, MitteiL med. Fakultät Tokio,1906).(藤田恒太郎:生体観察(1952)114~121頁に日本人の眼の特徴がまとめてある.)

 眼瞼裂Rima palpebrarum, Lidspalteはおよそ30mmの長さで,眼を開いたときには扁桃形である.外眼角(めじり)Angulus oculi temporalisはとがっており,内眼角(めがしら)Angulus oculi nasalisはまるく彫りこんでいる.(日本人では蒙古ヒダが内眼角にかぶさつて,従って内外の両眼角ともにとがっていることが少くない.(小川鼎三))眼瞼裂のうち内眼角のところでまるく囲まれた部分は涙湖Lacus lacrimalis, Träinenseeとよばれる.涙湖の底には赤みを帯びた低い丘があって涙丘Caruncula lacrimalisとよばれる.その側方に半月ヒダがある.涙湖の囲みが終るところに,上下の眼瞼に1つずつの小さい円錐状の高まりが後眼瞼縁にある.これが涙乳頭Papilla lacrimalisであって,その先端には涙点Punctum lacrimale, Tränenpunktがみられる.

[図652]ヒトの眼瞼と眼球前方部の中央矢状断 ×4(H. Virchowによる)

A. a. 上瞼板動脈弓;A. i. 上眼瞼挙筋の深板;A. s. 同じく浅板;C. b. 眼球結膜;C. T. i., C. T. s. 眼球被膜;Fo. 上結膜円蓋;Fr. 前頭骨の骨膜;L. 上眼瞼挙筋;M. 上顎骨の骨膜;N. 前頭神経;Ob. 下斜筋;0. c.,0. i. 眼輪筋;0. m. 眼輪筋の辺縁部;0. P. i.,0. P. s. 眼輪筋の眼瞼部;O. t. i., O. t. s. 眼輪筋;Per. 眼窩骨膜;P. s. 下斜筋の鞘;Re. i., Re. s. 眼窩脂肪体. R. i. 下直筋の腱;R. s. 上直筋の腱;S. i., S. s. 眼窩隔膜;Sc, 強膜;T. i. 下眼瞼板;T. s. 上眼瞼板;V. 下斜筋の鞘.

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最終更新日13/02/03

 

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