Rauber Kopsch Band2.712   

皮膚と脂肪組織をとりさると,腺体の外面が多数の稜状の突起としてみられる(図759, 760).乳頭と乳輪の皮下には脂肪組織がなくて,血管に富むかたい結合組織層があって乳管をかこんでいる.

 乳腺は単一のものではなくて,たがいに分離した15~20の円錐形の葉からできている.これが乳腺葉Lobi mammaeで,乳頭と乳輪のまわりに放射状にならんでいる.脂肪組織をまじえた固い結合組織層が各乳腺葉を包んで,これらを結合して1つの全体にまとめている.それぞれの各腺葉はさらに大小さまざまの乳腺小葉Lobuli mammaeに分れ,ついには乳を分泌する終末腺胞にまで運するのである.

 各腺葉から発する導管がすでに述べた乳管である.乳管は15~20本あって乳頭へ向かって走る.直径は1.7~2.3mmで,乳頭にはいる前に(とくに乳を分泌している時期には)拡張して小さい嚢状のふくらみを生じている.これが乳管洞Sinus lactiferi, Milchsdckchenで,広さが5~8mmあり,一時的に乳を貯える小さい倉庫の役をしている.乳頭のつけねのところで乳管はまたもとの広さにもどり,血管にとりまかれてたがいにかなり密接して乳頭の先端へすすむ.その途中で乳管どうしの間で合流がおこるから,開口の数は腺葉の数よりいくらか少い.開口は乳頭の表面にある小さいへこみの中にあって,そこへ達する腺管よりも狭くなっている.

 多くのばあい,左の乳腺の方が右のより少し大きい.

 それぞれの腺葉は密な結合組織層に包まれ,脂肪組織に充たされた深いくぼみによって,たがいに分けられている.外面と周辺部ではしばしば腺葉がかなり長く脂肪層のなかへ伸びだしている(図756).

[図759, 760] 分娩後まもない若い婦人の乳腺体

左の乳房,2/3(von Eggelingによる) 図759は前方から, 図760は左からみる.

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最終更新日10/08/31

 

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