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- 147_00【Thoracic cage胸郭 Cavea thoracis】
→(胸郭は脊柱(胸椎)、肋骨及び胸骨の3者で構成され、それらによって囲まれた腔即ち胸郭の内腔を胸腔という。この腔と、内臓系の胸膜腔とは、まったく別のものであるから注意のこと。胸郭を前面から見ると下縁が左右ともに、下方へ凸弯している。これを肋骨弓という。左右の肋骨弓の間にできる角を胸骨下角といい、約70゜である。胸椎、肋骨、胸骨が構成する骨格を胸郭という場合と、この骨格が構成する体幹の部分を胸郭という場合とがある。胸郭(骨格)の前壁は胸骨、肋軟骨、肋骨の前端部からなり、側壁は肋骨体、後壁は肋骨の後端部と胸椎からなる。これらの囲まれた内腔が胸腔である。胸郭は上方が狭く、前後に圧平された樽状を呈し、前後径より左右径が大きい。第7肋骨の胸骨への付着部と、第9または第10胸椎をまわる部分が最もふくらんでいる。ただし、新生児の胸郭は底面が広い円錐形である。脊柱の両側では肋骨が後方より突出しているので、胸腔の横断面は腎臓形を呈している。脊柱の両側では肋骨が後方へ弯曲している。このためにできる縦方向の溝が肺溝で、肺の後端が入る。下位肋骨の肋骨角ほど外方にあるため、肺溝は下方ほど幅が広い。胸郭の背面で、極遠きと横突起の間に深い縦溝、横突起と肋骨角の間に浅い立て溝がある。吸気時に肋骨は、肋骨頭と肋骨結節とを結ぶ線を軸に挙上するので、前後径、左右径とも大きくなる。下位肋骨は斜径が強いため、肋骨窩部が強く前方に押し出される。第1胸椎、第1肋骨、胸骨柄上縁で囲まれる部分が胸郭上口で、後縁より前縁が下方にあり、男性より女性で傾斜が強い。また、胸骨柄上縁は第2胸椎下縁に位置する。第12胸椎、第12肋骨、第11肋骨尖端、肋骨弓、剣状突起の連なる部分が胸郭下口で、横隔膜によってふさがれている。第7・第8・第9・第10肋軟骨が連結し、胸骨体と剣状突起の境界部にいたる前下縁が肋骨弓で、左右の肋骨弓が剣状突起のところで合して、約70度の角度をなす部分が胸骨下角である。おのおのの上下の肋骨間の隙間が肋間隙で、11個ある。最下の2個は前方に開いている。第7および第8肋間隙が最も長く広いが、上下に行くにしたがって短く狭くなる。1個の肋間隙では、後方より前方で広く、肋骨体と肋軟骨の境界部で最も広いが、前方に行くにしたがって再び狭くなる。胸椎と肋骨との間には肋椎関節があり、この関係は更に肋骨頭関節と肋横突関節との2つに分けられる。そしてこの両関節を結ぶ線として上下の方向に回転運動が行われる。これがいわゆる胸式呼吸運動である。上位7対の肋軟骨はおのおの別々に胸骨との間に胸肋関節を営むがⅧ~Ⅹ(Ⅸ)の肋軟骨は胸骨とは直接のつながりがなく、それぞれ直ぐ上の肋軟骨とくっついていて、結局Ⅶ肋軟骨を介して直接に胸骨につながる。しかし(Ⅹ)、ⅩⅠ、ⅩⅡの肋骨は非常に短くて胸骨とは全く関係がない。なおⅤあるいはⅥ~Ⅸの肋軟骨は隣り合う2つの肋軟骨が半関節で結ばれていて(軟骨管関節)、上下のものがくっついている。胸郭はほぼ円錐形のカゴのようなもので、その中に胸腔という広い空間を包み、肺や心臓を容れる。胸郭上口からは頚部の内臓、血管、神経が入り、胸郭下口には横隔膜が張っていて、胸腔と腹腔を境する。また肋間隙には肋間筋および肋間の血管や神経がある。胸郭の前下端すなわち胸郭下口の前縁ではⅧ~Ⅹの肋軟骨が合して、左右それぞれ弓状のカーブをえがくので、肋骨弓といわれ、左右の肋骨弓が胸骨の下端で合してなす角度は約70°で、そこを胸骨下角という。胸骨の体と柄が結合するところは前に突き出ており、身体の表面から触れることができる。ここを胸骨角と名付け、ちょうど第二胸骨関節の高さに相当するので、肋骨の高さを決めるとき目印になる。胸郭の後面をみると、肋骨が前外方に方向を変えるところは急に曲がるので、肋骨角といわれる。胸郭の内面では助骨角に相当するところが凹んでおり、肺の後縁を容れる。この部分は胸郭全体からみると大きな溝をなすので肺溝と呼ばれる。胸郭を構成する脊椎(胸椎)は全体として、生理的に軽い胸部弯曲になっているが、これがひどくなったものは脊椎後弯症といわれる。胸郭の形は人と四足動物とで大きな違いがある。その原因は人間が立って歩くようになったためと考えられる。すなわち人の胸郭は平たく、肋骨が脊柱よりも後ろに張り出しており、従って身体の重みを支える脊柱は胸郭の中心に近いところを通るようになっている。しかるに四足動物の胸郭は腹背径の方が左右径よりも大きく、また助骨角の角度が鋭くない。そして肋骨は脊柱よりも背方に飛び出るようなことはなく、脊柱が胸郭の最背部(つまり一番上)にあって、胸郭を吊っているような形になっている。人の脊柱を家の柱に例えると、四足動物は梁に相当する。体重を支える脊柱が人では身体の中心部に近い所を通っており、しかも胸郭の前後径が短いことは立って歩くときに安定がよいことになる。このことは脊柱の位置と胸郭の前後径について、テコの原理を当てはめると簡単に理解できる)
- 147_01【First thoracic vertebra; T1 vertebra; [TI]第1胸椎 Vertebra thoracica I; [TI]】
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- 147_01a【Thoracic vertebrae [TI-TXII]胸椎[T1-T12] Vertebrae thoracicae [T I-T XII]】 The twelve thoracic vertebrae.
→(胸椎は頚椎につづく12個の椎骨で、肋骨と結合して胸郭を形成する。椎体は下位のほど大きい。また、椎体の高さは頚椎より高く、腰椎より低い。椎体の外側面後部には肋骨頭に対する関節窩、すなわち、肋骨窩があり、第二~第九胸椎では椎体の上縁と下縁にそれぞれ半円形の上肋骨窩、下肋骨窩がある。第一~第九胸椎では互いに隣り合う胸椎の下および上肋骨窩が1個の関節窩を作り、一個の肋骨頭と関節する。第一胸椎には半円形の下肋骨窩があり、第十胸椎では上関節窩だけが存在する。また、第十一境地では椎体の上縁に、第十二胸椎では椎体のほぼ中央に1個の円形の肋骨窩がある。胸椎の椎孔はほぼ円形をしており、頚椎の椎孔に比してかなり小さい。横突起は第八胸椎でもっとも大きく、これより上位または下位の胸椎では、第八肋骨から遠ざかるほど小さくなる。第一~第十胸椎では横突起の尖端の前面に円形の関節面があり、横突肋骨窩という。第十一および第十二胸椎の横突起には横突肋骨窩はみられない。境地の棘突起は三角柱のような形をしていて、第1胸椎から第八胸椎までは下位になるほど傾斜が強くなる。しかし、その後は次第に傾斜が弱まり、第十二胸椎ではほとんど水平である。)
- 147_02【First lumbar vertebra; L1 vertebra; [L1]第1腰椎 Vertebra lumbalis I; [LI]】
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- 147_02a【Lumbar vertebrae [L I-L V]腰椎[L1-L5] Vertebrae lumbales [LI-LV]】 The five lumbar vertebrae.
→(胸椎に続く5個の椎骨で、その椎体はすべて椎骨の中でもっとも強大である。椎体の幅は下位のものほど大きく、高さは第3~第4腰椎で最大である。椎弓も強大で、椎孔の形は三角形状である。腰椎の横突起は本来、この部の肋骨に相当するもので肋骨突起といい、本来の横突起は上関節突起の外側から後方に向かう小さな隆起として残っており、乳頭突起とよぶ。また、肋骨突起の根部の後面には下方に向かう小突起があり、副突起というのが、これも本来の横突起の一部が変形したものである。腰椎の棘突起は幅が広く、短い。側方から見ると、四角な板状でほぼ水平に後方へ突出している。)