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- 837_00【Fourth ventricle第四脳室 Ventriculus quartus】 Dilatation of the embryonic neural tube lumen in the rhombencephalon.
→(第四脳室は菱脳の中にできる脳室で、頭方は中脳水道に、尾方は中心管につづく。第四脳室はその上壁をなす第四脳室蓋と底部の菱形窩により囲まれる。第四脳室蓋の前方は左右の上小脳脚とその間にある薄い白質板の上髄帆とからなる。上髄帆は尾側に伸びて上髄帆小帯となる。第四脳室蓋の後方は下髄帆と第四脳室脈絡組織とからなる。前者は虫部小節と片葉との間にある薄い白質板で、その下面をおおう上衣細胞の尾方延長部は軟膜によっておおわれる。この軟膜が第四脳室脈絡組織(上衣細胞と粘膜とを脈絡組織と呼ぶ場合もある)で、そこに出入る血管とともに脈絡叢をつくる。第四脳室脈絡組織の延髄への付着部が第四脳室ヒモである。第四脳室は左右の第四脳室陥凹に開く第四脳室外側口(Lateral aperture)と尾方の第四脳正中口とによりクモ膜下腔と交通する。)
- 837_01【Rhomboid fossa; Floor of fourth ventricle菱形窩;第四脳室底 Fossa rhomboidea】
→(菱形窩は菱形をなし、正中溝により左右に分けられ、さらにその外側の境界溝により内外の領域に分けられる。正中口からは外側に向かって第四脳室髄条が走り、これによって菱形窩はさらに上下2部に分けられる。上部では境界溝の内外に、内側隆起と前庭神経野がある。前者の中央には顔面神経丘とよぶ隆まりがあり、そこには顔面神経膝とその腹側にある外転神経核とが存在する。後者は前庭神経核の場所に相当する。前庭神経野の外側にある凹みが上窩で、これより吻側に青斑が帯状をなして伸びている。その内部に青斑核がある。菱形窩の下部の内側は舌下神経核がある。その外側には迷走神経背側核のある迷走神経三角(灰白翼)がある。その吻側端野窩みは下窩とよばれる。)
- 837_02【Surperior part of rhomboid fossa菱形窩上部 Pars superior (Fossa rhombidea)】
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- 837_03【Intermediate part of rhomboid fossa菱形窩中間部 Pars intermedia (Fossa rhombidea)】
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- 837_04【Superior part of rhomboid fossa菱形窩下部 Pars inferior (Fossa rhombidea)】
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Sylvius, Aqueduct of
- 837_05Sylvius, Aqueduct of【Aqueduct of midbrain; Cerebral aqueduct中脳水道;脳水道 Aqueductus mesencephali; Aqueductus cerebri】 Narrow canal in the mesencephalon between the third and fourth ventricles.
→(中脳水道はシルビウス水道ともよばれる。中脳では脳室系は細い管となり、間脳の第三脳室と菱脳の第四脳室とを結合する。これを中脳水道と称し、横断面は円形または底辺を背側に向けた角のとれた三角形をなし、中心灰白質によってかこまれる。その存在については古くから知られていたが、フランスの解剖学者Jacobus Sylvius (1478-1555)の著書(1555年)で初めて説明がなされた。)
- 837_06【Sulcus limitans境界溝 Sulcus limitans】 Lateral groove running lateral to the medial eminence.
→(第四脳室の境界溝は正中溝の外側にある浅い溝。境界溝は正中溝との間には内側隆起をつくっている。胎児期菱脳背側部と腹側部を分けていた溝の名残である。脳神経の運動性核(内側)と知覚性核(外側)とのおよその境界にもなっている。)
- 837_07【Medial eminence of floor of fourth ventricle内側隆起(菱形窩の) Eminentia medialis fossae rhomboideae】 Elongated eminence between the median sulcus and sulcus limitans that is produced by the cranial nerve nuclei.
→(菱形窩の内側隆起は、以前は正中溝と境界溝の間にある細長い隆起(顔面神経小丘、舌下神経三角、迷走神経三角を含めて呼んでいた)。現在は、第4脳室底で顔面神経小丘より吻側の隆起だけをさす。)
- 837_08【Calamus scriptorius筆尖 Calamus scriptorius】
→(菱形窩の下端はややペン先の形をなしているために筆尖とよばれる。
菱形窩の下部
下方に向かって細くなり、とくに下端はペン先のように細く筆尖と呼ばれる。内側隆起の下部は頂点を下方に向けた三角形状を呈し、舌下神経三角trigonum nervi hypoglossiという(舌下神経核をいれるp.685)。そのすぐ外側には、やや灰白色を呈する三角形の部があり、迷走神経三角(灰白翼)trogonum nervi vagi (ala cinerea)と呼ぶ。迷走神経三角の下方で、薄束結節との間は最後野area postremaといわれ、神経膠と血管に富む特異な部位である。(解剖学講義))