A05_1_03_001

歯;ハTeeth; Tooth(Dentes)

歯;ハ【し;は】(歯は爪、カミノケと同様に表皮とこれに接する結合組織が変化してできたものであって、歯とこれらの器官は相同homologyである。歯は口腔内あるいは口腔近くにあって、食物の摂取作用をなすものを歯または歯牙という。ヒトの歯は食物の摂取、咀嚼、発音の補助および顔貌の調和を計っているが、動物では食物の補足、粉砕に役立つほか闘争の武器として活用され、さらに運搬用、クシの代用などのはたらきをするばあいもある。また像のように自らキバをもって樹皮を折、あるいは土地を掘り返すものもあり、毒蛇のように毒牙で敵をたおすものもある。顎骨内に発生した歯芽が口腔内に現れ現れることを生歯eruption of teeth、出齦、萠出などの語で表している。生歯の回数は動物によって異なり、魚類、両生類、爬虫類では抜け落ちる歯があればすぐそれは補われる。また抜け落ちなくても古い歯の根元には新しい歯が生じ、古い歯を下から口腔内に押し出している。すなわち歯の脱落と新生とが常に行われている。このような歯を多生歯polyphyodontという。哺乳類では歯の発生が一生のうち2度ある。このような歯を2生歯diphydontという。この場合最初にはいえる歯を乳歯Dentes deciduiといい、次に生える歯を永久歯Dentes permanentesという。このようにはえかわることを歯の交換dentitionといっている。ヒトの乳歯は上下20本、永久歯は上下32本で、前方の上下各側5本はそれぞれ乳歯の跡ににはえるから、これを補充歯(交代歯)といい、後方の3本はそれに相当する乳歯をもたないので増加歯(追加歯)と名づけている。ことにもっとも後方の歯(第3臼歯)は智歯Dentes serotinusともいわれ、18歳から20歳ころかはえるのが普通であるが一生はえない場合もある。また発生しても歯の中にとどまり、口腔内にあらわれないばあいもある。ヒトの歯のように機能に応じ1本1本が異なった独自の形をしているものを異形歯heterodontといい、下等動物の歯のようにそれほど形態的に区別がないようなものを同形歯homodontといっている。ヒトの前根の根(口腔粘液に埋もれている部分)は通常1本の細長い円錐(単根糸)であるが、臼歯の根はであるが、臼歯の根は2~3に分枝(多根歯)としている。)

人体局所解剖図譜 I巻

Moore人体発生学

20-5.歯の発生

20-6.外皮系の要約

Rauber Kopsch

Band2(013)

Pocket atlas of human anatomy

R.V. Krstić(HMA)

現代の組織学 239

 

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