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灰白柱(脊髄の)Grey columns of spinal cord; Gray columns of spinal cord(Columnae griseae medullae spinalis)

灰白柱(脊髄の)【かいはくちゅう(せきずいの)】 Three-dimensional organization of gray substance into columns. The columns vary in shape and size at different levels of the spinal cord.(脊髄の灰白質は灰白柱ともよばれるが横断面ではH字形をなし、左右の2脚とこれを横に結ぶ中央の部とからなる。左右の2脚はそれぞれさらに前後2部にわかれ、これを前柱および後柱(または前角および後角という)。角は灰白質の横断面の形状、柱はその立体的形状によって名づけられたものである。脊髄灰白質の層区分:縦長な脊髄の内部では、灰白質ニューロンの似たもの同士の集合箇所が何本かの柱のように縦に連なっていて、そのような細胞柱のおのおののを、脊髄横断面での灰白質各層としてとらえることができる。この点を利用しRexedが行った第Ⅰ層から第Ⅹ層までの層区分は、脊髄灰白質の機能的全体像をみやすいという点で旧来、諸柱(または諸核)を個別に命名するよりも利用価値が高い。しかし、旧来の方式による名称も存続させてある。第Ⅰ層は後角の帽子に相当するような薄層である。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行線維を伸ばす。第Ⅱ層は膠様質に相当する。これのニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層の中に第Ⅴ層の大形ニューロン(反対側を下行する脊髄視床路の成分となる軸索突起を伸ばすもの)の樹状突起群が侵入している。上位の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。第Ⅵ層はおもに頚膨大と腰仙膨大に存在し、骨格筋からの固有感覚入力を受ける。第Ⅶ層には、いくつかの大きな細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたって第Ⅶ層存在するものであり、臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの)は第1胸髄から第3腰髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)がある。第Ⅷ層は筋緊張、姿勢の反射的小節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行性線維を受ける。この層のニューロン細胞体から伸びる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。第Ⅸ層では体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有するもの)の細胞体が内・外側集団をつくる。内側集団(内側核)は体幹筋支配にずかり、脊髄全長における第Ⅸ層で認められるに対して、外側集団(外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰仙膨大における第Ⅸ層にしか認められない。Α運動性、γ運動性の両方のニューロン細胞体が第Ⅸ層に存在している。第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。)

岡島解剖学

Pocket atlas of human anatomy

 

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