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前脊髄視床路;腹側脊髄視床路Anterior spinothalamic tract; Ventral spinothalamic tract(Tractus spinothalamicus anterior)

前脊髄視床路;腹側脊髄視床路【ぜんせきずいししょうろ;ふくそくせきずいししょうろ】 Tract arising from myelinated nerve fibers that cross from the posterior horns via the white commissure to the contralateral anterior funiculus. They transmit perception of crude pressure and tactile sensation.(脊髄視床路は後索の線維とちがって、脊髄内のニューロンから始まる。脊髄灰白質内から始まる線維は交叉して視床まで上行する。この伝導路は脊髄内で交叉し視床に達するという、古くから知られた経路であるが、その起始細胞はごく最近になって確定された。脊髄視床路の起始細胞は次のようにして証明された。①生理学的には、視床の特殊感覚中継核の逆行性刺激、②解剖学的には、西洋ワサビ過酸化酵素horseradish peroxidase (HRP)を用いた逆行性軸索流の追跡によった。これらのデータは、脊髄視床路の線維が脊髄では対側性に主に第Ⅰ、Ⅳおよび第Ⅴ層の細胞からでることを裏付けているもっとも、いくらかの線維は第Ⅵ層と第Ⅶ層の細胞から起こっている。霊長類の動物で、大量のHRPを注入すると、多数の脊髄視床路のニューロンが反対側の下位腰髄に見出される。脊髄の各領域では同側性に標識された脊髄視床路のニューロンは全体の約10%を占めている。脊髄視床路を形成するニューロンは異なった髄節や灰白層では大きさ、形、数量が変わる不均質な細胞分布でできている。後角内の一時間核線維の神経終末とこれと関わるシナプス結合に関する詳細は不明であるが、求心性線維が第Ⅳ層と第Ⅴ層の細胞の樹状突起と接触していることは考えられることである。脊髄視床路は白前交連で交叉するが、その交叉はいくつかの髄節わたり、また対側性に上行する。前脊髄小脳路を形成する線維は前索と前外側索を上行し、また、体部位局在的に配置されているので、仙髄と腰髄からはじまる線維は最も外側で、胸髄と頚髄からのものは最も内側を占める。前脊髄視床路は、一部の線維かまたは側枝が網様体の核に投射しているから、延髄の高さで大きさが小さくなる。この伝導路を構成する脊髄視床路線維は橋および中脳で内側毛帯と密接に関連をもっている。中のレベルでは前脊髄視床路は2つの構成成分から成る。外側部分の線維は大きくて視床後核と後外側腹側核尾部(VPLc)視床核に終止し、内側の線維は中心灰白質と両側性に髄板内核とに投射する。前脊髄視床路の線維は”軽い触覚”の感覚に関係するインパルスを伝達する。この感覚は毛のないところの皮膚を羽毛や綿辺でさすることで起こされる。前脊髄視床路の損傷は、たとえあるとしても、非常に軽い障害しか起こさない。これは触覚が、後索によっても伝達されるからである)

Spalteholz

Pocket atlas of human anatomy

 

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