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皮質脊髄線維;皮質脊髄路;錐体線維;錐体路;錐体束Corticospinal fibres: Corticospinal tract (Fibrae corticospinales; Tractus corticospinalis; Fibrae pyramidales)

皮質脊髄線維;皮質脊髄路【ひしつせきずいせんい;ひしつせきずいろ】 Nerve fibers traveling in the pyramidal tract into the spinal cord.(①皮質脊髄線維(皮質脊髄路)は大脳皮質の一次運動野(中心前回の中央部と上部)から起こり、内包に向かって集まり、内包の後脚を通って下行する。内包では、上肢に対する線維は線維は後脚の前部を、下肢に対する線維は後部を走る。ついで、大脳脚に入り、その中央2/3部を下行し、橋・延髄に至る。延髄では、その下部の腹側中央部にあつまり、錐体(実際はその一部)を形成する。それで皮質脊髄線維は錐体路ともいわれる。延髄の下端(大後頭孔のすぐ上方)で、線維は反対側に交叉して錐体交叉をつくる。錐体をつくる下行性線維の大部分は錐体交叉で反対側に交叉し、脊髄側索を外側皮質脊髄路(錐体前索路)として下行する。交叉する線維の割合は個人差が大きい。また、約75%の人で交叉する割合が左右非対称で、左側の錐体路の方が交叉する割合が大きい。外側皮質脊髄路の線維は脊髄を下行しつつ、脊髄灰白質に入り、前角の運動ニューロンに接属する。前角の運動ニューロンに直接に終わる線維と、介在ニューロンを経て関節に連絡するものとがある。前皮質脊髄路の線維は脊髄を下行し、前交連を通って交叉し、反対側に終わるが、一部は非交叉性で同側に終わる。このように皮質脊髄路は大脳皮質からおこり、脊髄前角に達し、その運動ニューロンへ運動指令を伝え、骨格筋の運動を起こさせる。延髄の錐体を通る伝導路のうちで、中心前回の一次運動野から起こる線維は約40%で、頭頂葉とくに中心後回や傍中心小葉などから起こる線維が約30%、前頭葉の運動前野などから発する線維が約30%を占めるといわれる。頭頂葉から発する線維は後索核や脊髄後角の膠様質などに達し、知覚性インパルスの流入に対して調整的な働きをするともいわれる。 ②皮質脊髄路は皮質から脊髄への線維束複合で脊髄内を下行し外側皮質脊髄路および全皮質脊髄路を形成する線維は大脳皮質第5層の錐体細胞から発したもので、中心前運動野(Brodmannの4野)、運動前野(6野)と少数ながら中心後回からも出ている。4野の起始細胞はBetzの巨大錐体細胞である。ここからの繊維は内包を下行し大脳脚の中央1/3を通り橋腹側部を経て脊髄腹側に錐体として現れる。さらに下行する際大部分の繊維は錐体交叉で反対側に移り脊髄側索の背側半を外側皮質脊髄路となって下行し脊髄全長の灰白質中間帯の介在ニューロンに分布する。体肢に関係する脊髄膨大部では特に手や手指、足や足指の運動に関わる体肢筋を支配する運動ニューロンに直接連絡している。錐体交叉で反対側に移らない少数の繊維は前皮質脊髄路となって同側の脊髄前索を下行し前角の内側半の介在ニューロンに終止する。皮質脊髄路線維がその起始皮質またはその下方で障害されると反対側の体運動に支障を生じ、特に腕や足で深刻となり筋力低下、痙攣が起こる。Babinskiの徴候このような片麻痺の状態に起因する)

小解剖学図譜

人体局所解剖図譜 IV巻

Moore人体発生学

18-4.脳の発生

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Band2(371; 383; 386; 444)

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Pocket atlas of human anatomy

 

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