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外側膝状体背側核Dorsal lateral geniculate nucleus; Lateral geniculate nucleus(Nucleus dorsalis corporis geniculati lateralis)

外側膝状体背側核【がいそくしつじょうたいはいそくかく】 Dorsal nucleus of the lateral geniculate body. It lies on top of the optic tract, from which it receives crossed and uncrossed optic nerve fibers. It is composed of six layers.(一般に外側膝状体と呼ばれるのは外側膝状体背側核である(外側膝状体内側核は腹側視床の核である)。外側膝状体背側核は層構造を持つ。ヒトの外側膝状体には、腹側部に大細胞性のⅠ層とⅡ層、背側部に小細胞性のⅢ~Ⅵ層が区分される。Ⅰ層、Ⅳ層、Ⅵ層には反対側の網膜からの入力が入り、Ⅱ層、Ⅳ層、Ⅵ層には反対側の網膜からの入力が入る。二つの大細胞層と四つの小細胞層の合計6層から成るのが霊長類の外側膝状体の層構造の基本的パターンである。これらの各々の層には反対側の視野の全体が再現されている。ヒトやその他の霊長類では、小細胞性が分裂し、互いに入り交じって四つの小細胞層が形成される。その結果、視野の再現は単独の小細胞層だけでは不完全となる。そのため、同じ側の網膜からの入力を受ける二つの小細胞層、すなわちⅣ層とⅥ層、またはⅢ層とⅤ層が一組となってはじめてそれぞれ同側または反対側の視野が完全に再現されることになる。Α型網膜神経節細胞からは伝達速度の速いY系の軸索が起こり、外側膝状体では主として大細胞層に終止する。また、β型網膜神経節細胞からは伝達速度の遅いX系の軸索が起こり、外側膝状体の小細胞層に終止する。外側膝状体背側核(いわゆる外側膝状体)は一次視覚野(17野)と相互に連絡し合っている外側膝状体小細胞層(Ⅲ~Ⅵ)から起こる神経線維は17野Ⅳ層の深部の亜層と浅部の亜層に終止する。一方、外側膝状体大細胞層(Ⅰ層、Ⅱ層)から起こる神経線維は17野Ⅳ層の中間の亜層に終止する。さらに、外側膝状体大細胞層は17野のⅠ層、およびⅤ層とⅥ層の境界部にも終止する。霊長類では外側膝状体背側核の大脳皮質投射域は17野に限局されるが、その他の哺乳類ではさらに18野、19野などの視覚連合野にも外側膝状体背側核からの投射がある。一側の網膜から起こり、外側膝状体の対応する細胞層を介して17野に達する投射系の投射域は、大部分の霊長類で不連続である。すなわち、17野Ⅳ層において、左右それぞれの網膜からの投射域が短冊状に交互に配列される。この短冊状の優位眼球帯(ocular dominance strip)は、視野の水平子午線を再現するラインに対して垂直方向にほぼ平衡に配列される。この優位眼球帯の長軸と垂直な断面で17野を観察すると、優位眼球体は17野の皮質の全層にわたって伸びる円柱としてみえる。これが優位眼球円柱(ocular dominance column)である。視野の中心部に対応する円柱も、末梢部に対応する円柱もその直径は約0.5mmである。外側膝状体から視覚野皮質に向かう投射線維は視放線を形成する。視放線の腹側部には鳥距溝よりも下方の皮質野に向かう投射線維が集まり、この部分は反対側の視野の上半部(視野の1/4)に対応する。この部分の視放線を形成する投射線維は、側脳室下角の外側壁のなかで、一旦吻側に向かってからカーブして後頭葉の方へ向かう。それゆえ、側頭葉の深部が障害されるとこの部分を走る視放線の投射線維が損傷を受け、そのために反対側視野の上半部にある対象が見えなくなる(upper quadrant anopsia)、視放線の中には大脳皮質視床線維も含まれるが、これらは視床大脳皮質線維よりも内方に位置する。)

Pocket atlas of human anatomy

 

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