A14_1_09_230

辺縁葉Limbic lobe(Lobus limbicus)

辺縁葉【へんえんよう】 Functional unit formed by structural parts of other lobes.(辺縁葉は原始皮質archicortex(海馬体)、古皮質paleocortex(海馬傍回の前部の梨状葉皮質)と、異種(不等)皮質隣接部juxtallocortexまたは中間皮質mesocortex(帯状回)からなる。辺縁葉の著しい特徴は系統発生上古く、肉眼的にも顕微鏡的にもある種の定常性をもつことである。これらいろいろの皮質部位がどのような範囲で機能単位を構成するかはわかっていない。この領域は以前は嗅覚と関係があるので、以前は嗅脳と呼ばれていたが、実際には嗅覚と関係しているのはこの領域のほんの一部に過ぎない。Papezの回路:交連後脳弓は辺縁葉の内側輪および外側輪とともに一つの系を形成している。Papezの回路である。Papezはこの回路を管状の構造的要件の一つと推測した。Papezの考えた回路は次のようである。「海馬-交連後脳弓-乳頭体-乳頭体視床路-視床前核-視床帯状回投射-帯状回-帯状束-海馬」。1.帯状束の中を海馬に向かって走る神経線維は前海馬台に終止する。前海馬台からは多数の投射線維が起こり、内嗅領へ入る内嗅領からは貫通路が起こり海馬体に入るから、前海馬台から内嗅領への投射線維によってPapezの回路が閉じることになるのであるが、海馬体群自体からも交連後脳弓にはいる神経線維が起こる。2.海馬から視床への投射系路には、乳頭体を介する間接的な経路のほかに、直接投射も存在する。3.Papezの回路の構成要素のうち、帯状回の位置づけに関しては問題がある。視床前核からの投射線維は帯状回の全域に分布するが、量的には多いものではないという報告がある。帯状回の最吻側部(32野)と尾側部(23野)は内嗅領皮質と海馬体群に投射するが、これらの投射線維もそれほど多いものではない。さらに帯状回は、本来、広く新皮質の緒野との間に相互的な連絡系を持つ領域であると考えられる。一方、視床前核は多数の投射線維を帯状束に送るが、これらの神経線維の多くは海馬体群に直接投射する。以上のような所見からみて、帯状回は大脳辺縁系というより、本来はむしろ新皮質の一部と考えるべきであり、Papezの回路の中軸は海馬体群、乳頭体、視床前核、、およびこれらの領域間を連絡する神経線維系から成るとする見解がある。さらに、Papezの回路の構成要素から乳頭体を除く見解もある。)

Pocket atlas of human anatomy

 

ページのトップへ戻る