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無名質Innominate substance; Substantia innominata(Substantia innominata)

無名質【むめいしつ】 Island of gray substance between the lentiform nucleus and amygdaloid body.(無名質はレンズ核の前半辺りの腹方に位置し、前頭面を外側視索前視床下部帯から外側を視索を越えて扁桃体へのびる前脳の部分。吻方は嗅結節の後縁上で先細りする。尾方は内包が表面に達して大脳脚を形成する。“無名質”はしばしば無条件にマイネルトの基底核に使われている。同じ形態学的特徴をもつ塩基好性の大細胞が中隔内側部、対角帯核の垂直部、水平部、さらに大量に淡蒼球の腹側と外側縁に存在する。同じ型の細胞は淡蒼球の髄板の中にもある。基底核の大部分のニューロンはコリン作働性である。この大型のコリン作働性ニューロンの間隙に、小形のGABA免疫陽性の細胞が塊を作って散在している。無名質と基底核への入力線維は、主として扁桃体、島と側頭葉の皮質の一部から起こり、そのほか梨状葉と嗅内野皮質からも来る。基底核のコリン作働性細胞の約90%は大脳皮質に広汎に投射する。マイネルトの基底核が単独で大脳皮質全域のコリン作働性神経支配の大部分を占めていると考えられる。この点で基底核は縫線核や青斑核がそれぞれ大脳皮質の広い領域へのセロトニン性と、ノルアドレナリン性神経支配の主な起始となっているのと類似している。基底核(無名質)について興味あることは、中年から老年者にもっも普通に起こるアルツハイマー型の痴呆であるアルツハイマー病とその類似疾患において、この核のニューロンが選択的に変性するのが見つかったことである。基底核のニューロンからのコリン作働性入力の欠如は、これらの患者に起こることが明らかな皮質のコリン性神経支配欠如の非常に重要な因子であるようにみえる。アルツハイマー病は通常40~60歳に発症し、失行床と言語障害を伴う進行性の痴呆を特徴としている。記憶喪失、区切りのない言語、見当識傷害がみられる。病理学的所見としては大脳皮質全層にわたる広汎な変性と老人性アミロイド斑senile amyloid plaqueの出現、ニューロン内の神経原線維のもつれneurofibrillary tangle、および基底核ニューロンの選択的な変性を伴っている。)

Pocket atlas of human anatomy

 

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