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乳腺Mammary gland(Glandula mammaria)

乳腺【にゅうせん】 Glandular tissue of the female breast.(乳腺は乳房の中にある乳汁分泌線で、脂肪組織(乳房脂肪体)のなかに存在する。皮膚と深側にある大胸筋・前鋸筋との間には脂肪組織を貫いて、結合組織線維束ないし中隔が走る。この結合組織線維束を乳房提靱帯という。乳腺は15~24個の乳腺葉からなる。乳腺葉は乳房提靱帯でへだてられ、乳頭を中心として放射状に配列し、各葉は、それぞれ、1本ずつの導管、すなわち乳管をもつ。各乳管は乳頭に開口するが、開口のすぐ前で紡錘状に拡張する。この乳管は重層扁平上皮からなる壁を有し、横断面は不規則に角張っている。乳管は放射線状に乳房内に広がるが、乳輪の下で拡張して、乳管洞をなす。その先は再び細くなり、次第に分枝して細い腺胞管となり、腺胞管は弓状の腺胞につながる。休止期の乳腺では事実上腺胞はみとめられないが、妊娠とともに成長して腺胞が形成される。乳腺の腺胞は筋上皮細胞によって外方を取り囲まれている。この細胞は多くは桿状であるが、しばしば分枝して樹状または星状をなして腺上皮の外面に付着し、バスケット状を呈している。基底膜は筋上皮細胞の外方をおおっている。腺上皮は機能上体と分泌物すなわち乳汁の貯留状態によって形態を異にする。多くは単層円柱上皮であるが、単層立方上皮あるいは単層扁平上皮になることもある。腺細胞は1種類であるが、分泌物は蛋白(ガゼイン)と脂肪の2種がある。これに水分とそれに溶解した電解質や糖が加わる。乳腺細胞は非常によく発達した粗面小胞体とGolgi装置を有する。これは他の蛋白分泌腺と比較することができる。すなわち、乳蛋白であるガゼインは、粗面小胞体で合成され、Golgi装置で濃縮されて粒状となる。カゼイン粒子は、小胞の中に1個あるいは2~3個入っている。カゼイン粒子を開口分泌の形式で放出されるものもある。腺細胞の基底部にある滑面小胞体によって脂肪が合成され、脂肪滴が形成される。脂肪滴は次第に大きくなって細胞表面に対し、細胞膜をおし上げて、ドーム状に腺腔内に突出する。ついには球状の脂肪滴がほとんど完全に腺腔におし出されるようになるが、なお少量の細胞質によって細胞本体に連続しており、このような突起のくびれた基部には、しばしばカゼイン粒子を入れた小胞が集まっている。最後に脂肪滴は突起の基部の完全なくびれによって、腺腔に脱落するが、そのとき、突起の基部にある少量の細胞質とその中にふくまれるカゼイン粒子を有する小胞は同時に腺空に放出される。この分泌様式は古くから知られた離出分泌(アポクリン分泌)であって、その実在は電顕で証明されている。離乳期は乳腺細胞は急速に変性退縮し、腺細胞内に自家食胞ができて分泌物を処理すると同時に、大食細胞が侵入して腺細胞そのものを貪食して処理する。 乳房内の乳汁分泌腺。一種のアポクリン腺で10個ほどの乳腺葉からなり、脂肪組織(乳房脂肪体)に包まれる。乳腺で産生された乳汁は乳管ににより乳頭から分いつされる。なお、乳汁性産はプロラクチンによって刺激され、オキシトシンによって分泌が促される。(イラスト解剖学))

小解剖学図譜

人体局所解剖図譜 I巻

Moore人体発生学

20-1.皮膚の発生

20-4.乳腺の発生

20-6.外皮系の要約

Rauber Kopsch

Band2(710)

岡島解剖学

Pocket atlas of human anatomy

現代の組織学 531; 533

R.V. Krstić細胞篇

R.V. Krstić組織篇

R.V. Krstić(HMA)

ネッター解剖学図譜

 

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