滑車神経[Ⅳ]

 

 

 滑車神経核は下丘の最尾側端のレベルで中心灰白質の腹側にある。その軸索は背側に向かい、中脳水道の背側で交叉してから脳幹を去る。脳幹を出た線維は頭外側方に走り、海綿静脈洞を通過して、上眼窩裂から眼窩にはいり上斜筋を支配する。

 

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①滑車神経核への求心性線維

 大脳皮質からのものは(大脳)皮質核路を通り、前庭神経核「同側の前庭神経上核と反対側の前庭神経内側核」からのものは内側縦束を通って滑車神経核と連絡する。

「大脳皮質との連絡は関節的なものが多いと考えられる。」

 

滑車神経の臨床的側面

 滑車神経だけに損傷が限局することはまれである。上斜筋は眼球を外下方へ回転するから、滑車神経麻痺のさいに下方をみおろすと、麻痺側の眼球は十分下方を向かないので、物が二重にみえる(diplopia複視)。このような患側は階段を降りるのに困難を感じる。

 

解剖学用語(滑車神経)

1. 滑車神経 [IV] ラ:Nervus trochlearis [IV] 英:Trochlear nerve [IV]

 →蓋板の背下方よりでる細い第IV脳神経。上斜筋を支配する。