Rauber Kopsch Band2. 50

III.脳神経Nervi capitales, Hirnnerven

 脳神経の起始Ursprungとそれが脳の表面において出てくる場所とはすでに372, 373頁および420425頁で述べた.それに連関してここでは脳硬膜で被われた頭蓋底における諸神経の通過場所をしらべて見よう.

脳神経が頭蓋底を通過する場所(図445, 511)

I. 嗅糸Fila olfagtoriaは嗅球からでて硬膜の鞘に包まれて節骨の籠板の多数の孔を通り,鼻腔の内側壁と外側壁とに達する.

II. 終神経N. terminalisは嗅i球の後方からでる.これは節板の孔の1つを通って頭蓋腔を去る.

 視神経Fasciculus opticus, Augenstiel (これは脳神経ではなくて,中枢神経内の1結合束である)は眼動脈を被いつつ視神経管を通って眼窩に達する.

III. 動眼神経N. oculomotoriusは鞍背突起の外側縁に向かって,脳硬膜の動眼神経孔Porus oculomotoriiに入る.この孔は脳硬膜のつくる外側錐体牀突ヒダPlica petroclinoidea lateralisの内側壁にあり,動眼神経はこの孔から上眼窩裂をへて眼窩に入る.

IV. 動眼神経孔のうしろ1cmのところで硬膜に狭い滑車神経孔Porus trochlearisがあり,外側錐体牀突ヒダがいくらかこの孔に被いかぶさった形をしている.滑車神経はこの孔を入って眼窩に達する.

V. 滑車神経孔の後方1cmのところに広い三叉神経孔Porus trigeminiがあって,これは半月神経節腔Cavum ganglii semilunarisに続いている.この孔を三叉神経の両根が通り,半月神経節腔のなかで半月神経節をなしている.三叉神経孔は内側錐体牀突ヒダの下方で小脳天幕の内側部の下にある(図445).半月神経節腔は硬膜とクモ膜によって作られた平たい嚢の内部にある腔所である(373頁参照).

VI. 外転神経N. abducens.三叉神経孔の内側かつ後方5mmのところで斜台の範囲に小さい外転神経孔Porus abducentisがあり,これは側頭骨錐体尖の内側で前3者よりもいっそう正中面に近く存在する.

VII. およびVIII. 顔面神経N. facialisと内耳神経N. statoacusticusとはクモ膜といっしょになって硬膜に被われた内耳孔と内耳道に入る.

IX., X. およびXI. 舌咽神経N. glossopharyngicus,迷走神経N. vagusおよび副神経N. accessoriusは頚静脈孔の前方部,すなわち神経部Nerven-Abteilungに達する.そこでは舌咽神経が1つの特別な硬膜鞘をもち,迷走神経と副神経とは共通の硬膜鞘をもっている.

XII. 舌下神経N. hypoglossusは通常かなり大きな2つの束に分れて舌下神経孔Porus hypoglossiに入り,それに応じて舌下神経孔はしばしば重複している.これは後頭骨の舌下神経管の内口に当たっている.

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最終更新日 13/02/03

 

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