歴史的な偉大な解剖学書
2. 両側性(左右対称的)に下顎骨を前に出す還動.この点からみると顎関節は一種の移動関節である.この運動のさい下顎小頭は関節円S. 282
2. 両側性(左右対称的)に下顎骨を前に出す還動.この点からみると顎関節は一種の移動関節である.この運動のさい下顎小頭は関節円板とともに関節結節の上に進む.
3.1側だけを前に出す運動 1側の下顎小頭は関節節結節の上へ進み, 他側のそれは下顎窩に留つて,この窩の中で垂直軸のまわりに回転する.
Hjortsjö(Acta odont. scandinavica XI,1953)は顎関節の力学的機構を,2軸を有するクルミ割り器とくらべている.1つの軸は関節結節を通り,もう1つの軸は下顎小頭を通る.そして関節円板はクルミ割り器の中間部に相当する(図407).下顎骨を下にさげると,この円板は関節結節の軸のまわりに前下方へ回転し,それによって小頭は自身の軸のまわりに回転すると伺時に関節結節の下に達するのである.
[図407]
顎関節の脈管と神経は近隣の比較的大きい幹から来る.血管は中側頭動脈.後深側頭動脈・前鼓室動脈・中硬膜動脈のほか・なお口蓋動脈・上行咽頭動脈および後耳介動脈から来る.神経は咬筋神経および耳介側頭神経の前耳介神経から来る.リンパ管は顔面の表層および深層のリンパ節にいたる.
舌骨の大角と体とは軟骨結合によって,また小角と体とは1つの被膜(舌骨間靱帯Ligg. interhyoldea)によって結合している.茎突舌骨靱帯Lig. stylohyoideumは舌骨にいたり小角に付く.
上肢帯はただ1つの揚所で胴の骨格と関節結合している.すなわち胸鎖関節Articulus sternoclavicularisで胸郭と結合しているのである.また鎖骨の外側端は肩甲骨と結合している.そのほかさらに肩甲骨固有の靱帯が区別される.
α) 肩甲横靱帯Lig. transversum scapqlaeは肩甲切痕を橋わたしてこれを孔にしている.この孔の中を肩甲上神経が通っているが,肩甲上動静脈の方はたいていこの靱帯の上を走っている.この靱帯は骨化することもある(図409,411,413,414).
β)烏口肩峰靱帯Lig. coracoacromialeは幅のひろい強大な靱帯で,肩峰の前縁かち烏口突起にいたる(図410).
この靱帯は肩関節を上方から保護し,また肩関節包の下壁とともに腕が水平よりも高く挙上されるのを妨げている.
この関節をつくっている骨は胸骨と鎖骨である.
関節面は胸骨の鎖骨切痕Incisura clavicularisと鎖骨の胸骨関節面Facies articularis sternalisである.
これら両関節面は形がはなはだしく食い違っており,またその形が個体によって非常にまちまちである.
最終更新日13/02/03