Rauber Kopsch Band2. 233   

 円い形をした精子細胞が次のように変形して細長くのびた精子になる(図302, 305).中心小体は中心球から離れて,2つの中心子に分れる.核は中央からはずれた位置に動き,精子細胞内で精細管のへりに近いがわに移っていく.

[図302]精子発生の模形図.(Waldeyerの著“Geschlechtszellen”より).

 図は精細管の横断面でI~VIの仕切りは精子発生のいろいろな段階をしめしている.しかし実際にはこのままの像がみられるおけではない.

第Iの仕切り

 精細管の壁のところにはセルトリ細胞と精祖細胞がある.第2列には精母細胞が5個あり,なお 図305cの段階の多数の精子細胞がある.

第IIの仕切り

 図305dの段階における精子細胞でセルトリ細胞とつながっている.

第IIIの仕切り

 さらに発達して 図305eの段階にある精子細胞.精祖細胞と精母細胞は大きくなり,新しい分裂の準備ができている.

第IVの仕切り

 第IIIの仕切りと同じ段階であるが,それより少しすすんだところ.

第Vの仕切り

 精子細胞はすでにほとんど成熟した精子に変形しており,精母細胞は一部のものが分裂して精娘細胞と精子細胞を作っている.

第VIの仕切り

 成熟した精子で,頭部,中間部,尾部をもち,一部は遊離し,一部はまだセルトリ細胞とつながっている.また精母細胞の分裂により多数の精子細胞ができている.精子細胞のいくつかは精子に変形しはじめている.

 中心球はこれに接する微小粒体とともに精細管のへりに向かった核の(前)極のほうへ次第に移動してゆき,ついには核の上にかぶさつて,核の前部を包む被い,すなわち頭帽Kopfkappeと呼ばれるものになる.しかし人の精子にはこの頭帽がみられない.

 はそのあいだにやや引き伸ばされ,前端は先がとがって“とがりをもつ球形Spitzkugelform”になる.また核材はクロマチンの塊りがたがいに近よってだんだん密になる.

S.233   

最終更新日13/02/03

 

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