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- 028_00【Temporal bone側頭骨 Os temporale】 Bone located between the occipital, sphenoidal, and parietal bones. It consists of petrous, tympanic, and squamous parts.
→(側頭骨は頭蓋の底部および側面にある大きな不規則形の骨。頭蓋側壁の中央部と頭蓋底中央の両側部を作るばかりでなく、骨の中に平衡聴覚器(外耳道・中耳・内耳)を容れる大切な骨である。岩様部(乳突部と錐体)、鼓室部および鱗部の3部が癒合して単一の骨になるのは生後1年ほど経ってからである。3部が合するところの外面には大きい孔がある。これを外耳孔といい、その内方のつづきは外耳道によって鼓室に通ずる。また、外耳孔の上方で鱗部の外側前方に出る頬骨突起は頬骨に達して頬骨弓をつくる。下縁から咬筋が起こる。)
- 028_01【Temporal squamous of temporal bone側頭鱗(側頭骨の) Squama temporalis】
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- 028_01a【Squamous part of temporal bone鱗部(側頭骨の) Pars squamosa (Ossis temporale)】 The part of the temporal bone that is inserted between the sphenoidal, parietal, and occipital bones.
→(側頭骨の鱗部は垂直に立つ半円形の薄い骨板で、頭蓋冠の側頭の一部を作る。その上縁は窩束のカミソリのように薄くそぎとられて頭頂骨との間に鱗状縫合を作り、前縁は蝶形骨の大翼に接する。鱗部の外面からは頬骨突起が長く前方に延びだして、その前端は頬骨の側頭突起と連結して頬骨弓の後半を作る。)
- 028_02【Tympanic part of temporal bone鼓室部(側頭骨の) Pars tympanica (Os temporale)】 The part of the temporal bone that forms most of the wall of the bony acoustic meatus except for the posterior, superior portion.
→(鼓室部は外耳道の前下壁を作る半管状、不正四角形の薄い骨板で、初めは独立した結合組織(鼓室骨)として発達し、後に錐体の下面に癒着した小さい骨部である。鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂であり、また鼓室部の下端は錐体の下面に接着して鋭い稜線を作り、その後外側方への延長は茎状突起の根元におおいかぶさっている。鼓室部という日本名は鼓室を包含するすべての骨部を指すかのような誤った印象をあたえるのでよくない。Tympanicaはギリシャ語のtympanon(ケトルドラムという楽器)に由来する形容詞で、語源からわかるように元来は「鼓膜に関係した」という意味である。)
- 028_03【Mastoid region乳様突起部;乳突部 Regio mastoidea; Pars mastoidea】 Region overlying the mastoid process.
→(乳様突起部は乳様突起、耳介(外耳孔部)の後下方部。)
- 028_04【Petrous part of temporal bone岩様部;錐体乳突部;錐体;錐体部(側頭骨の) Pars petrosa; Pars petromastoidea (Ossis temporalis)】 The part of the temporal bone that contains the internal ear.
→(岩様部は外耳孔の後で下方に突出する乳様突起から頭頂切痕にかけての部を乳突部と、それを底として前内方に水平に突出する四角錐状の骨塊である錐体(狭義の岩様部ということもある)を含めて岩様部(錐体乳突部)と呼ぶ。これは軟骨性頭蓋底の耳嚢に由来する一塊の独立した骨として発生する。しかし、便宜上ここでは乳突部と錐体を分けて説明する。①乳突部の外側面は筋の付着による粗面を有し、外耳孔の後方で下方へ延長した部分を乳様突起といい、胸鎖乳突筋の着くところである。乳様突起の後内側には乳突切痕があり、ここに顎二腹筋後腹が起こり、さらにその内側に後頭動脈溝が認められている。乳突部の内側面には深くて長い陥凹があり、ここにS状洞溝が走り、上方では後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづく。後縁にある乳突孔は乳突導出静脈を通し、S状洞溝に開く。乳突部の後部は後頭鱗と結合する部分で後頭縁という。顔面神経管は顔面神経の通路で内耳道底の顔面神経野より骨内に入り、蝸牛の外側に沿って、ほとんど水平位で前外方へ進む。次いでほぼ直角をなして後外方へまがり、ここで顔面神経管膝を形成する。その後、鼓室壁の前庭窓の上部すなわち鼓室と骨半規管の間を走行し、外後方に進んだ後、弓状をなして下行し、茎乳突孔に開口する。鼓索神経小管は鼓索神経の通路で茎乳突孔の少し上方で顔面神経管から分かれて前上方へ延び、鼓室溝の後縁に極めて近いところで鼓室に開口する。次いで鼓室の外側壁の粘膜におおわれながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上方を貫通し、錐体鼓室裂を経て、頭蓋外面に出る。②側頭骨の錐体は蝶形骨と後頭骨との間で後外側から前内側に向かい斜位に介在する四角錐体形の骨で、最も堅い骨として知られている。前、後、下の3面および上、前、後の3縁に大別される。先端部を錐体尖といい、蝶形骨体、大翼、および後頭骨底部との間に破裂孔を形成する。破裂孔は骨化せず頭底線維軟骨で満たされており、ここを大・深錐体神経が貫通する。錐体線に頚動脈管の内攻が開口する。すいたの下面に導管の外口が開口し、外口の後上壁から2本の頚鼓小管が入り鼓室に開く。錐体の前縁は蝶形骨大翼との間に蝶錐体裂をなす。前面は大脳面ともよばれ、外側溝半には内耳前半器管によって生じた弓状隆起があり、また弓状隆起と錐体鱗裂との間には鼓室の上壁をなす鼓室蓋がある。錐体戦地角には三叉神経圧痕という小さな窩がある。その後外方に錐体の長軸とほぼ平行に走る2本の溝があり、内側の溝を大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経管裂孔より骨内に入り顔面神経管につづく。また外側の溝は小錐体神経溝といい、その後端は小錐体神経管裂孔より骨内に入り、鼓室を経由して鼓室小管につづく。上縁は前面と後面との境界をなし、境界部の稜に上錐体洞溝がある。後面は小脳面ともよばれ、この面のほぼ中央に内耳孔があり、これは内耳道につづき、さらにつづいて内耳道底となる。内耳孔の上外後方に浅い弓下窩の下外後方に前庭水管の開口である前庭水管外口がある。後縁の前内側部は後頭骨底部に接し、錐体後頭裂をなし、ここに下錐体洞溝がある。その後内側部に頚静脈切痕があり、後頭骨外側部の同名溝と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起はは、後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を小さい前部と大きい後部とに分ける。下面の前縁鱗部に接するところ、すなわち錐体鱗裂の前内側端に筋耳管管の開口があり、この管は筋耳管管中隔により上部の鼓膜張筋半管と下部の耳管半管に二分されている。また下面の後外側部には大きい弓状の頚静脈窩があり、その直前にある頚動脈管外口との間にはきわめて小さい錐体小窩があり、その底に鼓室小管が開口する。またこの窩の後内方に蝸牛小管の外口が認められる。頚静脈窩の外壁には乳突小管があり、これは骨内で顔面神経管の下端部と交差し、鼓室乳突裂に開く。頚静脈窩の外側で下面の後外側端より細長い茎状突起が出るが、その突起の基部直前に顔面神経管の開口である茎乳突孔がある。この孔の少し上方で鼓索神経小管が顔面神経管から分かれて鼓室の後壁より鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂より外頭蓋底出る。なおすいた鼓室裂と既述の錐体鱗裂とを合わせて鼓室鱗裂という。)
- 028_05【Articular tubercle of temporal bone関節結節(側頭骨の) Tuberculum articulare ossis temporalis】 Rounded projection anterior to the mandibular fossa.
→(顎関節の直前で頬骨突起基部の下面に高まる関節結節は下顎窩の前方の境となるが、生体では関節結節と関節面が一続きの軟骨で被われて関節包の内にあり、顎関節の関節窩となる。)
- 028_06【Mandibular fossa下顎窩 Fossa mandibularis】 Articular fossa of the temporomandibular joint.
→(頬骨突起の基部の下面にある深い凹窩で、下顎頭がはいる。)
- 028_07【Styloid process of temporal bone茎状突起(側頭骨の) Processus styloideus (Ossis temporale)】 Long bony process in front of the stylomastoid foramen. It is a relic of the hyoid arch.
→(茎状突起は錐体下面の後外側端から前下方へ向かう細長い突起である。その長さは1~5cmで、茎突下顎靱帯、茎突舌骨靱帯、茎突喉頭筋などの起点となる。茎状突起の根部の前面は茎状突起鞘で被われる。なお、茎状突起は舌骨と関係ある第2鰓弓軟骨の一部が骨化したも野である。)
- 028_08【Stylomastoid foramen茎乳突孔 Foramen stylomastoideum】 External opening of the facial canal behind the styloid process and between the mastoid process and the jugular fossa.
→(錐体下面の後外側端は茎状突起の着く所で、これとそ後方の乳様突起との間にある茎乳突孔は顔面神経管の出口である。)
- 028_09【Mastoid process乳様突起;乳突隆起 Processus mastoideus】 Projection behind the external acoustic meatus that contains the mastoid cells.
→(乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突蜂巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突蜂巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。)
- 028_10【Mastoid notch乳突切痕 Incisura mastoidea】 Notch on the inferior surface of the petrous part of the temporal bone, medial to the mastoid process. Origin of the posterior belly of the digastric muscle.
→(乳様突起の内側は深い乳突切痕となる。顎二腹筋後腹の起こる所となる。)
- 028_11【Occipital groove後頭動脈溝 Sulcus arteriae occipitalis】 Groove for transmission of the occipital artery. It is situated medial to the mastoid notch, close to the occipital margin.
→(後頭動脈溝は側頭骨の乳突切痕の内側にある狭い溝で、後頭動脈を容れる。)
- 028_12【Zygomatic process of temporal bone頬骨突起(側頭骨の) Processus zygomaticus ossis temporalis】 Projection from the temporal bone that contributes to the zygomatic arch.
→(側頭面の下部で外耳孔の前上方にあたる所から前方に向かって長い頬骨突起を出す。この突起の前端は頬骨の側頭突起に達して、やや外方に張り出した頬骨弓を形成する。)
Glaserian fissure グラーザー裂
- 028_13Glaserian fissure グラーザー裂【Petrotympanic fissure錐体鼓室裂 Fissura petrotympanica】 (glaserian fissure). Fissure located posteromedial to the mandibular fossa between the tympanic part and the visible strip of the petrous part of the temporal bone. Its medial part can lodge the chorda tympani.
→(鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂である。)
- 028_14【Tegmental crest鼓室蓋稜;鼓室蓋下突起 Crista tegmentalis; Processus inferior tegminis tympani】
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- 028_15【Musculotubal canal筋耳管管;筋管総管 Canalis musculotubarius; Canalis musculotubalis】 Pair of canals located anterior to the carotid canal that extend into the tympanic cavity, one for the auditory tube and the other for the tensor tympani muscle.
→(錐体下面の前縁に沿い、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。)
- 028_16【Internal opening of carotid canal頚動脈管内口 Apertura interna (Canalis caroticus)】 Internal opening of the carotid canal at the apex of the petrous part of the temporal bone.
→(錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。ここが頚動脈管内口である。)
- 028_17【Anterior border of petrous part錐体前縁;錐体前角 Margo anterior partis petrosae; Angulus anterior pyramidis】
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- 028_18【Apex of petrous part錐体尖(側頭骨の) Apex partis petrosae; Apex pyramidis (Os temporale)】 Anteromedially directed tip of the petrous part of the temporal bone.
→(側頭骨の錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。)
- 028_19【Inferior surface of petrous part錐体下面;錐体頭底面(側頭骨の) Facies inferior partis petrosae; Facies basialis pyramidis】
→(錐体下面は頭蓋底に向かう粗面で、その後外側部は鼓室部に被われて鼓室を形成する。この面の前縁にそい、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。その上部の鼓膜張筋半管は鼓膜張筋をふくみ、下部の耳管半管は耳管の骨部をつくる。)
- 028_20【Posterior border of petrous part錐体後縁;錐体後角(側頭骨の) Margo posterior partis petrosae; Angulus posterior pyramidis (Os temporale)】
→(側頭骨の錐体後縁は後上、後下両面の境で、その前内側半は後頭骨底部と接して錐体後頭裂をつくる。)
- 028_21【External opening of carotid canal頚動脈管外口;外口(頚動脈管の) Apertura externa (Canalis caroticus)】 Opening in the external cranial base between the jugular foramen and the musculotubal canal.
→(頚静脈下の前内側には大きい頚静脈管外口がある。この頚静脈管外口の前から口蓋帆張筋の一部が起こる。)
- 028_22【Caroticotympanic canaliculi頚鼓小管 Canaliculi caroticotympanici】 Tiny canals at the beginning of the carotid canal that transmit small branches of the internal carotid artery and the carotid plexus to the tympanic cavity.
→(頚動脈管の後上壁からは2個の細い頚鼓小管が骨を貫いて後に向かい鼓室に開く。これは頚動脈鼓室枝および頚鼓神経の通路である。)
- 028_23【Petrosal fossula錐体小窩 Fossula petrosa】 Small depression on the ridge between the carotid canal and the jugular fossa for the tympanic ganglion of glossopharyngeal nerve.
→(頚動脈管外口と頚静脈かとの間には三角形の小さい凹みがあるが、これは舌咽神経の下神経節を容れる錐体小窩である。錐体小窩の底には細い鼓室小管が開く。)
- 028_24【Opening of cochlear canaliculus蝸牛小管外口;外口 Apertura externa canaliculi cochleae】 Opening of the cochlear canaliculus located anteromedial to the jugular fossa.
→(錐体小窩の後内方で錐体の後縁にそい三角形の深い小さいくぼみがあるのは蝸牛小管外口である。)
- 028_25【Jugular notch of petrous temporal bone頚静脈切痕(側頭骨の) Incisura jugularis (Os temporale)】 Notch that forms the anterior margin of the jugular foramen.
→(錐体後縁の後外側半には頚静脈切痕があって、後頭骨外側部の同名切痕と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起は後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を前後2部に分ける。)
- 028_26【Intrajugular process頚静脈孔内突起;孔内突起 Processus intrajugularis】 Projection that divides the jugular foramen into a posterolateral part for the passage of the jugular vein and an anteromedial part for transmission of CN IX, X, and XI.
→(頚静脈孔内突起は後頭骨および側頭骨の頚静脈切痕中央から出る小さな、先のとがった骨性突起。この2つの骨は靱帯により結合し頚静脈孔を前後の2部に分けており、前部は小さく、ここを通るものは、舌咽神経、迷走神経、副神経、下錐体静脈洞で、後部は大きく内頚静脈が通る。)
- 028_27【Jugular fossa頚静脈窩;頚窩 Fossa jugularis】 Widening of the jugular foramen that contains the superior bulb of the jugular vein.
→(錐体下面の後縁に近い中部には弓状の大きく深い頚静脈窩がる。頚静脈上球を容れる。)
- 028_28【Mastoid canaliculus乳突小管 Canaliculus mastoideus】 Tiny canal that begins at the jugular fossa for the passage of the auricular branch of the vagus nerve.
→(乳突小管は頚静脈窩の外壁には微細な乳突小管溝にはじまり、乳様突起を貫通する管、後走して鼓室乳突裂に開く。この管と溝とは迷走神経耳介枝の通路。頚静脈窩の外壁が茎状突起鞘と合して作る高い稜線は、鼓室部と岩様部の癒合したところに一致する。)