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- 717_01【Xiphoid process剣状突起 Processus xiphoideus; Processus ensiformis】 Cartilaginous end of the sternum.
→(剣状突起は胸骨体の下端に続く薄い扁平な突起で、成人でもその大部分は軟骨でできており、これが完全に骨化するのは老人になってからである。したがって晒した骨で剣状突起が観察できるのは老人の骨に限られる。)
- 717_02【Falciform ligament of liver肝鎌状間膜;鎌状間膜;前肝間膜 Ligamentum falciforme hepatis】 Peritoneal fold passing between the midline of the abdominal wall and the liver.
→(肝鎌状間膜は横隔膜と前腹壁から肝表面にのびる腹膜の半月形ひだ。肝臓は発生学的に胃の遠位側で前腸の下部から腹側に向かって前(腹側)胃間膜内に生ずる。したがって、前(腹側)胃間膜は肝臓の腹側にある前(腹側)間膜mesohepaticum ventraleと肝臓の背側にある後(背側)肝間膜mesohepaticum dorsaleとに分かれる。前肝間膜は前腹壁と肝臓(前面と下面)との間で肝鎌状間膜となる。この間膜の下方の遊離縁内に臍静脈をいれる。この静脈は生後閉鎖して肝円索となる。後肝間膜は、肝臓と胃・十二指腸との間で小綱(肝胃間膜と肝十二指腸間膜)となる。)
- 717_03【Liver肝臓 Hepar】 Organ located in the upper right side of the abdomen in the hypochondrium. Its inferior border runs from the upper left to the lower right through the epigastric region. In healthy subjects its border does not reach below the costal margin. It moves with respiration and is thus palpable.
→(肝臓は身体内の最大の腺であり多様な機能を営むが、それを①胆汁の生産と分泌(腸管内へ)を行う、②炭水化物、脂肪、蛋白の代謝活動、③胃腸管から血液中に進入した最近や異物を細くする、とう3点に要約することができる。(1)位置と形状:肝臓は右上腹部ある巨大な消化腺で、重さは男で1,400g、女で1,200gほどある。色は暗赤褐色で、これは充満する血液によるものである。肝臓の表面が平滑で光沢に富むのは腹膜(の臓側葉)におおわれているからである。肝臓の上面は横隔膜の下面に接して丸く膨らみ、横隔面と呼ばれる。横隔膜上の心臓に対応して、浅い心圧痕をみる。からだの正中にほぼ相当して、横隔面を大きい右半と小さい左半に二分する肝鎌状間膜が走る。これは肝臓の表面を被う腹膜が左右から翻転しながら寄り合い、その間に線維性の結合組織をいれるもので、肝臓を横隔膜から吊り下げる役をしている。このようにして横隔膜と肝臓は平滑な腹膜で自由に滑り動くようになっているが、後部のせまい領域では、両者が線維性結合組織によって密着して活動性に欠ける。肝臓表面のこの領域を無漿膜野(裸の領域Area nuda--腹膜に包まれていない--の意)という。無漿膜野は前方へ細く張り出して肝鎌状間膜につづき、左右へ細く伸びて左三角間膜と右三角間膜になる。左三角間膜の端は、肝臓の左上端を横隔膜につなぐ索をなして線維付属(Appendix fibrosa hepatis)とよばれる。肝臓の上面と下面の境界は前方でうすくするどい縁をなし、下縁(または前縁)とよばれる。上腹部を斜め右下方へ走る一線をなし、触診することができる。これと右肋骨弓の交点に胆嚢の底が腹壁直下に頭を出している。下縁の正中部には肝円索切痕とよぶ切れこみがあって、肝鎌状間膜をはさんでいる。肝臓の下面は上腹部の内臓に面するので、臓側面とよばれる。ここには矢状方向に走る2条のくぼみと、それを横に結ぶくぼみがHの字をなしている。Hの左縦線は前方の半分が肝円索をいえる肝円索裂、後方の半分が静脈管索をいれる静脈管索裂である。Hの右の縦線には前方に、胆嚢の上面をおさめる胆嚢窩があり、後方に大静脈をおさめる大静脈溝がある。H字の横線に当たる溝は肝門で、門脈、固有肝動脈、肝管のほか多数のリンパ管と若干の神経が通っている。肝鎌状間膜、肝円索裂、静脈管索裂によって、肝臓は大きい右葉と小さい左葉に分けられる。肝臓の臓側面では、右葉(広義)が胆嚢窩、大静脈溝、肝門によって狭義の右葉、中央前方の方形葉、中央後方の尾状葉に分けられる。尾状葉は全科法へ乳頭突起を出し、前右方へ、肝門の後縁に沿って尾状突起を出す。乳頭突起に対峙して左葉から小綱隆起が張り出し、両者の間に小綱をはさむ。(2)肝臓の構築:肝臓の表面は大部分腹膜をかぶり、その下に線維性の結合組織がある。この結合組織は大血管とともに肝臓内に侵入し、血管周囲線維鞘をつくる。ギリソン鞘(Glisson's sheath)ともよばれる。肝臓の実質は径1mm前後の短六(ないし五)角柱の肝小葉を構造単位として成り立っているが、肝門からはいる肝固有動脈と門脈の枝はグリソン鞘を伴って、この肝小葉の稜線(三つの肝小葉の合するところ)に沿って走るこの動静脈を小葉間動・静脈とよぶ。肝小葉の角柱の中心を貫いて中心静脈という太い毛細血管が走り、その周囲に肝細胞の板が放射状に配列する。肝細胞板(hepatic cell plates)は分岐し、吻合し、あなをもち、すきまに洞様毛細血管(sinusoidal capillaries)をいれている。小葉間動静脈の枝は小葉の洞様毛細血管に注ぎ、中心静脈から、小葉下静脈(Vena sublobularis)とよばれる小静脈を経て下大静脈へと流れていく。肝細胞板の中に、肝細胞のあいだを縫って走る細管系が毛細胆管(bile capillary)であって、肝細胞の産生する胆汁を運ぶものである。毛細胆管は肝小葉のへりで小葉間胆管とよばれる小導管に注ぎ、グリソン鞘の中を合流しつつ肝門へ向かう。(3)肝臓と血管:肝臓は門脈の番人というべき器官である。すなわち消化管から送られてくる血液中に余分の糖分があればグリコゲンとして貯え、有害物質があれば分解、解毒する。脾臓から送られる破壊血液のヘモグロビンをビリルビンに変えて胆汁中に排泄する。門間区によって運ばれてくる膵臓のホルモンは、肝細胞でのグリコゲンの産生とブドウ糖への分解を調節する。しかし、門脈血は酸素に乏しい静脈血であるから、肝臓は動脈血を固有動脈にあおがねばならない。胎生期においては、臍から前腹壁を上行して肝臓の下面に達する臍静脈(Vena umbilicalis)が、肝門で門脈と合して、そのまま肝臓の下面を後方へ走り、下大静脈に注ぐ。細静脈と下大静脈のこの短絡路を静脈管またはアランチウス(Arantius)の管と称する。生後、胎生期の循環路は閉鎖し、結合組織索として残る。臍静脈の遺残が肝円索、静脈管の遺残が静脈管索である。 (解剖学事典 朝倉書店より引用) 肝臓の生理 肝臓は重要な機能を営む器官であり、肝臓を楔状すると12時間前後で低血糖で死亡するといわれている(動物実験では70%の肝切除でも数週で機能が正常になるといわれている)。)
- 717_04【Right lobe of liver右葉(肝臓の) Lobus hepatis dexter; Lobus dexter (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the right of the attachment of the falciform ligament on the diaphragm.
→(肝臓の右葉は厚く大きく肝臓の約4/5を占める。左葉との境は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。)
- 717_05【Ascending colon上行結腸 Colon ascendens】 Part of the colon that ascends retroperitoneally on the right side of the body.
→(上行結腸は右腸骨窩において第5腰椎の高さで盲腸上端からおこり、上行して肝臓の右葉下面にある、右結腸曲までの15~20cmの結腸。前面と側面は腹膜でおおわれて腸間膜はない。)
- 717_06【Ileum回腸 Ileum; Intestinum ileum】 Terminal segment of the small intestine, about 3.5 m long.
→(回腸は腸間膜小腸の肛門側の5分の3で、空腸との境界は明確ではない。直径約2.5cmの可動性の管で、回盲弁を介して大腸の始まりの部分出る盲腸に続く。回盲弁は回腸から盲腸への内容物の流れを調節している。空腸に比してやや白色味を帯びる。回盲部から約60cmの口腔側に高さ約5cmの円錐状ないし円筒状の突出物が2%の頻度でみわれる。これは、胎生期における卵黄管の遺残物でメッケル回腸憩室という。腸絨毛は空腸に四角して少なく2500個/cm2で回腸の吸収上皮の表面積は5.3m2である。回腸には20~30個の集合リンパ小節がある。これをパイエル板といい、その表面には絨毛を欠く。)
- 717_07【Left lobe of liver左葉(肝臓の) Lobus hepatis sinister; Lobus sinister (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the left of the attachment of the falciform ligament of liver on the diaphragm.
→(その右境界は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。(Feneis))
- 717_08【Stomach胃 Gaster; Ventriculus】 Organ extending from the end of the esophagus to the pylorus.
→(胃は食道と十二指腸の間にある不規則な洋梨状の消化管。胃液を分泌し食物を糜汁とする。容量は日本人の胃の平均は♂1407.5ml、♀1270.5ml。形状は死体ではウシの角状の嚢であることが多いが、生体では内容の充満度、体位、機能状態によって著しく変化する。位置は上端は左第5肋間、下端は内容の空虚なとき臍より三横指上方。胃の大部分は左下肋部と上胃部に位置する。部域は①噴門十二指腸が胃に連続する部。その内腔は狭く噴門口をなす。その①は、正中線よりわずか左側で、第7肋軟骨が胸骨に付着する高さにある。前腹壁より約10cm深部で、切歯から食道を経て40cmで達する。②幽門(幽門口)胃と十二指腸の境界。壁内に輪状に走行する幽門括約筋が発達しているため壁は輪状の高まりとなって幽門孔をとり囲む。その位置は、第1腰椎の下端の高さ正中線の約1.5cm右方である。③幽門部胃体と幽門部の間に介在する比較的細い部。その胃体側を幽門洞、幽門へつづく管状部を幽門管とよんでいる。④胃体噴門と幽門部との間で胃のもっと広い部域。胃体管は胃の小弯に沿って生じるとされる十二指腸への通路。胃体の上端部で行き詰まりの嚢状の部分を胃底といい横隔膜の直下に位置する。胃底が噴門へつづく面と食道下端は鋭角状の噴門切痕をつくる。このほか胃の前壁と後壁を区別しこの量壁が上縁と下縁で互いに移行する弓状の縁をそれぞれに小弯と大弯といい、小綱と大網の付着線をなしている。胃体と幽門部の境目の小弯は内方へ深く落ち込み角切痕(胃角)をつくる。胃壁の構造は外表は腹膜の一部である漿膜でおおわれ小綱および大網表層へ移行している。平滑筋からなる筋層は外層が縦走筋(外縦筋)、中層は最もよく発達し、輪走筋(中輪筋)、食道の内層筋から発して胃体を斜走するが、胃底では輪走する。幽門部では中輪筋がとくに発達し幽門括約筋となるが、内斜筋は欠いている。胃の内面は胃の粘膜でおおわれ、収縮時には多数の縦走するヒダ(胃粘膜ヒダ)がみられる。粘膜の表面には小さい陥凹が多数みられ(胃小窩)、その底部に固有胃腺が数個ずつ開口する。胃粘膜は浅い溝によって直径約2~3mmの多角形に区画されている。これを胃小区という。固有胃腺を構成する細胞は主細胞、傍細胞、副細胞がある。幽門腺は幽門部にある分枝単一管状胞状腺である。)
- 717_09【Anterior wall of stomach前壁(胃の) Paries anterior gastricae】
→(胃は前壁と後壁との2面をもち、両壁は弓状に弯曲する上縁と下縁とで連なる。)
- 717_10【Parietal peritoneum壁側腹膜 Peritoneum parietale】 Peritoneum lining the abdominal wall.
→(壁側腹膜は腹壁の腹膜。)
- 717_11【Greater omentum大網 Omentum majus】 It extends from the greater curvature of stomach, draping over the intestinal loops like an apron. It is fused with the transverse colon and mesocolon.
→(大網は胃の大弯から広がっている腸管の表面にエプロンのように下垂している二重の腹膜葉。横行結腸および結腸間膜に癒合しているが自由に移動できる。横行結腸を越え、下腹部の小腸の迂曲部の前まで広がることがよくある。他の例では腹膜腔の陥凹部に強く引き込まれていることがある。大網のうち胃の大弯と横行結腸との間に広がる部分は胃結腸間膜と呼ばれる。胃に分布する大弯の血管弓が大網の付着部に存在する。大網は左方で脾臓の脾門に続き、この部分を胃脾間膜と呼ぶ。大網には脂肪と免疫系の細胞が多く、乳斑を形成している。大網は腹膜腔内の炎症による被包に巻き込まれることがよくあるが、その場合癒着したり、腹部臓器とともに大きくなったりする。)