A03_6_08_001

膝関節Knee joint(Articulatio genus)

膝関節【しつかんせつ】 (膝関節は大腿骨下端の内側顆および外側顆と、脛骨上面の同名部分との間の関節で、これに関節包の前壁にある膝蓋骨が構成に加わる。腓骨は関与しない。脛骨上面の関節面には、内側顆と外側顆の表面に線維軟骨の関節円板があって、大腿骨下端の関節面に対する。関節円板は周辺が厚く、中心部は薄いから、断面ではクサビ形を呈している。内側半月は半円形であるが、外側半月はほぼ完全な円形で内側半月に比べて小さい。膝関節は屈伸運動のみを行う蝶番関節とみなさえるが、膝を曲げた状態では下腿の内旋(10°)、外施(40°)が可能である。また膝を十分に伸ばすとき、その最終段階では下腿のわずかな外施(5°)がみられ(これを終末回旋という)、この状態から再び膝をまげるときには、その最初の段階として下腿の内旋がおこなわれる。この意味で純粋な蝶番関節ではない。直立位(膝を伸ばした状態)では、大腿骨の内側顆と外側顆は、それぞれ下面の比較的平面的な部分で広く脛骨に接するが、膝をまげたときには、大腿骨の内側顆、外側顆の後面にある弯曲の強い局面によって脛骨に接する。膝蓋骨の関節面は、この屈伸に際して大腿骨下端の前面にある膝蓋面を上下に移動する。関節内には、膝蓋骨の下端から大腿骨の顆間窩に向かって滑膜のヒダが前後に走り、これを膝蓋下滑膜ヒダという。このヒダから内外両側に向かって内部に脂肪組織(膝蓋下脂肪体という)を含んだ滑膜のヒダがのびて関節腔のすきまをみたしている。これを翼状ヒダという。関節の付属靱帯として次のものがある。(1)膝十字靱帯:関節腔内のほぼ中央でX字状に交差する二つの強力な靱帯で、脛骨に対する付着部の位置的関係によってそれぞれ前十字靱帯、後十字靱帯という。前者は脛骨の前顆間区anterior intercodylar areaに付着し、膝関節腔内を上後外側方に走り、大腿骨の外側顆内面後部に付着する。この靱帯は膝関節屈曲時にゆるみ、膝関節完全伸展時に緊張する。前十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が後方に偏位するのを防ぐ。膝関節屈曲時における前十字靱帯は、脛骨上端が前に倒れようとするのを妨げる。後者は脛骨の後顆管区posterior intercondylar areaに付着し、膝関節腔内を上前内側方に走り、大腿骨の内側顆外側面前部に付着する。この靱帯の前線維はは、膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。また、この靱帯の後線維は膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。後十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が前方に変異するのを防ぐ。膝関節時における後十字靱帯は、脛骨上端が後ろに倒れようとするのを妨げる。(2)前半月大腿靱帯・後半月大腿靱帯:外側半月の脛骨上面における後端部から出て上外方に走り、後十字靱帯のすぐ後方で大腿骨内側顆の外面につく強い線維束が後半月大腿靱帯で一名Wrisbergの靱帯という。一方、同じく外側半月の後端部から出て前方に走り、前十字靱帯の外側部につく弱い線維束を前半月大腿靱帯という。これは欠如することがしばしばある。(3)膝横靱帯:強さに個体差が大きい。両関節半月の前面を結んで脛骨上面の前端部を横走する。(4)斜膝窩靱帯:半膜様筋の停止腱からつづいて関節包の後面を上外方へ走り、大腿骨外側顆の後面の付近へ放散する。(5)弓状膝窩靱帯:脛骨頭よりおこり、関節包の後面を上内方へ向かって膝窩筋の起始部の表層をおおう。明瞭でないこともある。(6)外側側副靱帯:強い棒状の線維束で、大腿骨の外側顆よりおこり、関節包の外側を下方に走って腓骨頭へつく。この靱帯と関節包との間にはせまい隙間があって、ここを外側下膝動脈が通る。(7)内側側副靱帯:内側半月の表層に接して関節包を補強する幅の広い薄い靱帯で、大腿骨内側顆と脛骨の内側顆を結ぶ。外側側副靱帯とともに蝶番関節に特徴的な縦走靱帯であるが、膝を伸ばした状態では緊張して関節の小手に役立ち、膝をまげた状態では弛緩して、下腿の回旋を可能にする。(8)膝蓋靱帯:本体は大腿四頭筋の停止腱ともみなすべきもので、膝蓋骨の下端から脛骨粗面にのびる。強い扁平な靱帯で長さ約8cm、幅は膝蓋骨下端の起始部で約3cmで、膝関節方の前面下部を補強する。表層の線維は膝蓋骨の前面をこえて大腿四頭筋の腱からつづく。(9)内側膝蓋靱帯・外側膝蓋支帯:大腿四頭筋停止腱のうち、膝蓋骨を介して膝蓋靱帯となる中央の部分を除いてその両側の部分をいう。これは膝蓋骨の両側を通って下方にのび、脛骨粗面の両側で脛骨上端部につく。内外両側から膝蓋骨を支えて、屈伸運動にあたって膝蓋骨の左右への動揺を防ぐ。)

Spalteholz

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