A12_2_04_007

頚動脈小体Carotid body(Glomus caroticum)

頚動脈小体【けいどうみゃくしょうたい】 Chromaffin cells in the connective tissue of the carotid bifurcation that presumably form a cluster of chemoreceptors. It is connected via the glossopharyngeal nerve with the circulatory and respiratory center.(頚動脈小体は1742年にハレル(Haller)とトラウベ(Traube)によって発見されたが、その働きについては長いあいだ不明であった。1924年に至ってハイマンス(C.Heymans)らの研究によって、これが血液中の酸素と炭酸ガスの分圧の変化によって興奮し、反射的に呼吸を変化調節させる化学受容器chemoreceptorであることがわかった。組織像としては、動静脈吻合arteriovenous anastomosisがたくさん集まった間隙に、類上皮細胞epitheloid cellsが増殖した所見が見られる。 (Netter)頚動脈小体(球)は、第1に動脈血の酸素濃度の低下に反応し、かつ血液pHの低下あるいは高濃度の二酸化炭素にもある程度反応する化学受容器を含む。頚動脈小体は、頚動脈が内頚動脈と外頚動脈とに分かれる分岐部に位置する一塊の海綿様組織からなり、それ自身の独立した動脈系と静脈系を有する。頚動脈小体の支配神経は頚動脈洞神経で、舌咽神経(IX)に入る求心性線維と迷走神経(X)に由来する自律神経遠心性線維を含む(第5章-図10、11参照)。頚動脈小体の化学受容部位の横断面をみると、密な毛細血管網の周囲を2種類の細胞がとり囲んでいるのが分かる。求心性と遠心性の神経線維を区別するのが困難なため、頚動脈小体の働き方に関する2つの理論が提出されている。第1の理論は神経線維の変性の研究に基づくもので、化学受容機能の担い手をⅡ型細胞(神経線維鞘細胞)とそれが取り囲む神経線維とするものである。この理論によれば、大きい神経線維とⅠ型細胞と大型線維が化学受容系を成し、細い線維は血管に関連する自律神経遠心性線維であると主張するものである。この理論は、求心系におけるコリン作動性シナプスの所見に基づく。Ⅰ型細胞と大きい神経線維間の結合は、そのようなシナプスの構造的特徴を有していてる。Ⅰ型細胞内のシナプス小胞が長期間に及ぶ低酸素の後に枯渇するのが観察されており、これはⅠ型細胞が神経線維の活動を起こす化学伝導物質を含んでいるとしたら、予期されることである。両理論のどちらも、低濃度の酸素がいかにして受容器細胞あるいは神経終末を興奮させるかを説明できない。おそらく、この興奮は、化学受容細胞の呼吸代謝と何らかの形で結びついていているのであろう。頚動脈小体からの求心性線維は、血中酸素濃度の低下に対して呼吸を増加する反応に重要な役割を演じる(Ciba Collection, Vol. 7 22, 290頁参照)。大動脈小体と脳幹にある他の化学受容器も血中の酸素、二酸化炭素、pHのレベルをモニターし、これらを適切な範囲に保つために呼吸型と循環系の調節に参加する。)

Spalteholz

人体局所解剖図譜 I巻

Eduard Pernkopf

岡島解剖学

Pocket atlas of human anatomy

現代の組織学 433

 

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