A14_1_04_102

錐体路Pyramidal tract(Tractus pyramidalis)

錐体路【すいたいろ】 Tract arising from the cerebral cortex, especially from regions in the frontal and parietal lobes. It transmits activating and inhibiting impulses for voluntary motor function.(錐体路本来の定義に従えば、起始領域、終枝部位に関係なく延髄の錐体(pyramis)を通るすべての神経線維群をいう。鳥類以下には見られず、哺乳類とくにヒトでよく発達しており意識的運動を司る。これらの大部分の線維は大脳皮質からおこり脊髄におわる皮質脊髄線維(または路)からなるが、若干の線維は錐体の経過中またはそれよりも前方のレベルでの神経路から離れて脳幹にある反対側の運動性の脳神経核および付近の毛様体(皮質網様体線維)におわる。これらの皮質核線維とよばれるものは厳密には錐体路に含まれないが、しばしば両者(皮質脊髄線維と皮質核線維)を一緒にして錐体路とよばれる。錐体路の起始細胞は、昔からの考えによれば起始細胞は、運動領皮質(4野)の第5層の巨大錐体細胞(Betz)で、その経路は、終脳の内包、中脳の大脳脚、橋の橋縦束、さらに延髄の錐体を下行し、脊髄前角にいたる有髄線維の集まりの長下行路である。その経路中、橋核、脳幹の網様体や運動核、またおそらく大脳基底核などに一部側枝を与え、延髄下端で大部分(91~97%)の線維が交叉し(これを錐体交叉という)これらは対側の脊髄側索(錐体側索路、外側皮質脊髄路)を下るが、小部分はそのまま同側の前索(錐体前索路、前皮質脊髄路)を下行する。しかし、錐体路の大脳皮質の起始領野をみれば、運動領(4野)のみでなく知覚領や連合領を含む他の領野まで包括される。起始ニューロンもBetzの巨大細胞のみならず、第5層に、みられる中型・小型の錐体細胞も証明されている。さらに脊髄の終枝部位についても前角の運動ニューロンに直接おわるものは動物による実験的研究で判明した限りではむしろ少なく、大部分は中間帯や後核基部におわり、介在ニューロンを介して運動ニューロンに影響を与えると思われる(間接皮質運動路)。錐体路の起始・終枝の問題だけでなく、錐体を構成する軸索には、古典的な錐体路以外の錐体外路系の線維も少量ながら含まれており、厳密には、延髄の錐体を通る線維群(錐体路)とそれ以外の運動系(錐体外路)とに分けることはむずかしい。)

Spalteholz

Rauber Kopsch

Band2(371; 444)

岡島解剖学

Pocket atlas of human anatomy

 

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