Rauber Kopsch Band2. 034   

h)永久歯すなわち第2次の諸歯の発生と萠出

 顎の左右各半に8つの永久歯ができる.すなわち乳歯よりも3つだけ多い.永久歯には代生歯Ersatzzähneと加生歯Zuwachszähneとが区別できる.この場合,前方の5つの歯が乳歯に代生するものであるが,その原基は歯堤から生ずる歯の第2列をなしている.ところが永久歯の大臼歯すなわち加生歯の原基は歯堤の次第に後方に伸びる部分から直接にできるのであって,それゆえ第1列の歯に属する.

 代生歯の数に相当して5つの代生歯の小嚢が生ずる.これは前方から後方へつぎつぎにできるのである.これが長くなるにつれて乳歯の小嚢の舌側(内方)で顎骨のなかに入りこむ.上顎の代生歯は上内方に,下顎のそれは下内方にはいる.そして新しくできた小嚢が遂に乳歯の歯槽の底にある1つの特別なくぼみのなかに収まるのである.

 代生歯が伸びてきて,その周囲ことに代生歯の上方にある乳歯の根に絶えず圧力を加える.そのためにこの部分が次第に吸収されることになる(図55).多数の巨大細胞(破骨細胞Osteoklasten)がその吸収にあずかっている.最後に乳歯は薄い狭い縁で歯肉になおくつづいているが,もしもこのとき外からのはたらきで前もって除かれなければ,永久歯がでてきて押して乳歯が脱けおちるのである.

 加生歯は各側の顎半分で後方の3歯であるが,特別な歯小嚢および歯槽のなかで発達する.

 まず胎児の第15週に第1大臼歯の原基ができて,これが歯小嚢に包まれる.ついで第2大臼歯の歯胚が生ずる.しかし後者に歯乳頭があらわれるのはやっと,生後第7月においてである.なお一度歯堤の上皮が芽をだして上と同様な現象をおこし第3大臼歯ができるが,それはずっと後のことである.第3大臼歯の歯冠ができはじめるのはやっと第6年においてである.はなはだまれなことだが,第4大臼歯の原基までもできることがあって,それが歯として完全にできあがって萠出して機能をもつことさえある.永久歯における石灰沈着は最初に第1大臼歯でおこる.それも上顎よりも下顎の方がやや早い.上顎の第1大臼歯は生後5月ないし6月で石灰化する.内側切歯ではそれよりややおくれる.外側切歯と犬歯は第8月と第9月,第3大臼歯はおよそ第12年において石灰化するのである.

 永久歯の長さの成長はすでに乳歯について(31, 32頁)述べたのと同様にしておこる.

 永久歯の萠出の時間的関係およびその順序を模型図(図53, 57)に示してある.

[図53, 54]乳歯と永久歯のできる模型図

 図53永久歯, 図54乳歯,横走する線は左に記してある年令において個々の歯がどこまで形成されているかを示すのである(E. Ballowitzの表による).

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最終更新日13/02/03

 

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