Rauber Kopsch Band2. 144   

 喉頭腺は声帯ヒダのすぐそばには存在しない.3カ所で特にたくさん集まっていて,それは次の場所である.すなわち上方群は喉頭蓋の後面(50個以上)と喉頭鰓のこれに接する部分,中央群は室ヒダのなか(図201),後方群は左右の披裂軟骨ならびに小角軟骨のあいだである.

 混合腺と漿液腺とがある.混合腺は管状胞状腺でジアヌッチ半月 Gianuzzischer Halbmondをもっている.漿液腺は管状腺である.

d)喉頭の脈管と神経

 動脈は上甲状腺動脈から分れる上喉頭動脈と下甲状腺動脈から分れる下喉頭動脈である.細いが臨床的に重要な輪状甲状筋枝Ramus cricothyreoideusは上甲状腺動脈の枝であるぶこれについてはすでに述べた(139頁). この動脈は他側の同名動脈と吻合する(図223).

 静脈は上下の甲状腺静脈にいたる.

 リンパ管は非常にたくさんあり,2つの平面上に広がって網を作っている.これらの網はたがいにつながり,またその内容をなすリンパは近くにある頚部のリンパ節に導かれる.

[図199]ウサギの喉頭蓋における上皮下の神経終末小樹(Arnstein)

[図200]イヌの気管後壁の神経叢におけるごく小さな神経節

a 樹状突起をもつ神経細胞.枝分れしない突起(d)は瘤状の部分をもつ線維variköse Nervenfaserとして神経節を出て色の薄い細い神経小幹にいたる;b 神経細胞でその神経突起は気管の筋肉まで追求できた;c 細い有髄神経線維,神経節のなかで枝分れして髄鞘を失い著しくうねってから細胞周囲の終末装置に終る.この終末装置によって取り囲まれた神経細胞は染つていない(Arnstein).

 神経は迷走神経から出る上下の喉頭神経と交感神経の吻合枝がらきている.上喉頭神経の外枝は輪状甲状筋を,内校は上二部の喉頭粘膜を支配し,下喉頭神経はそのほかのすべての喉頭筋と下部の粘膜とを支配する.粘膜に分布する多数の神経の経過中には小さい神経節が存在している.

 喉頭蓋の神経終末装置は一部は上皮下に,一部は上皮内にある.上皮下のものは終末小樹,終末糸球および細胞周囲終末の形をとっている(図199).上皮内のものは瘤の部分をもつ細糸,その細糸が集まった束,および細胞周囲終末装置の形をとっており,また喉頭蓋の味蕾のなかでは,上皮細胞間神経終末の形をぶしている.喉頭粘膜の神経支配は喉頭蓋のそれに似ている.

 喉頭蓋,喉頭,気管の神経節は極めてたくさんにみられる.

e)喉頭腔Cavum laryngis, Kehlkopfhöhle

 喉頭腔は粘膜の存在のために骨組みだけが取り囲む空所とはその形と広がりが本質的にいろいろと違っているのである.全体としていえば喉頭腔は上方から中央部にかけてロート状に狭くなり,中央部から下方はふたたび広くなっている(図198).

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最終更新日13/02/03

 

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