Rauber Kopsch Band2. 421   

これらの細胞体が比較酎大きな群をなして配列しているときは知覚性の脳神経の終止核Nucleus terminalis, Endkernというわけである.

I. 嗅糸Fila olfactoria, Riechnerven(図409, 417, 420, 486)

 嗅糸の線維は嗅細胞といっしょに1次ニューロンに相当するもので,嗅細胞から始まっている.その終止核は嗅球のなかにあって,嗅糸球において色の淡い嗅糸線維がよく発達した終末分枝をもって終わっている,(417頁,さらに伝導路感覚器の項とを参照せよ).

II. 終神経N. terminalis(372頁参照)

 以前に第2対の脳神経とされていたもの(視神経Nervus opticus)は,今は視神経Fasciculus opticus, Augenstiet(図409, 417, 420)と呼ばれるが,これは脳神経ではなくて,線維が部分的に交叉する中枢間の伝導路(運合神経路)である.その起始ば網膜にあり,網膜は末梢に位置が移つた脳壁の一部である,視神経の線維が終る中心部は視床,外側膝状体,上丘である(伝導路と感覚器の項参照).

III. 動眼神経N. oculomotorius(図417, 469, 470, 490, 491)

 動眼神経の起始核は中心灰白層で上丘の下にあり,中脳水道の腹方で正中線のそばにある.この起始核はいくつかの部分に分れ(図491),それぞれ違ったはたらきをする眼球および眼瞼の諸筋(横紋筋と平滑筋)の運動を支配している.

 根線維は同側および反対側の核から出て,弓なりに曲がって腹方に走り(図469, 470),中脳被蓋を通って橋の少しく上方で動眼神経溝において10~15本の太い束をなして脳の外に出る(図410, 417).

 動眼神経の起始核には対をなす動眼神経核Nucleus originis nervi oculomotoriiとそのあいだにある動眼神経副起始核Nuclei originis accessorii(parasympathici)nervi oculomotdriiとからなる.前者は正中線の外側で内側縦束の線維群の背方およびそのあいだにあり,大きな運動性の細胞よりなる.副交感神経性の核は小細胞性で内側に1つと外側に2つとがある(図491).外側のものは大細胞性の核の上端の内側にあって,多くのばあい2群よりなる.外側のものはエディンゲル小細胞性外側核Edingers kleinzelliger Lateralkernとよばれて瞳孔括約筋を支配し,内側核は毛様体筋を支配する.

 個々の筋に対する諸核の位置については図491を参照せよ.研究者のあいだではこの関係について大なり小なり意見の食い違いがあり,このことはBrouwerの業績(Zeitschr. Neurol. u. Psych., 40. Bd.,1918)のなかで総括されている.

IV. 滑車神経N. trochlearis(図417, 421, 422, 466, 467, 490, 491)

 この神経の根を中枢に向かって追跡すると,右の滑車神経はそれが外に出る直前のところで前髄帆のなかで左の滑車神経と交叉している(滑車神経交叉Decussatio nervorum trochlearium) (図466).この交叉した線維束は四丘体の下で上方に走り,中脳水道の外側にある灰白質を貫き,次いでその起始核に達する.この核は動眼神経の核と続いており(図491),直径45~50µの多極細胞よりなっている.

V. 三叉神経N. trigeminus(図409, 417, 420, 465, 490, 492)

 三叉神経には小さい方の運動性の根,すなわち小部Portio minorと非常に太い知覚性の根,すなわち大部Portio majorとからなる(図417).その運動性の核は知覚性の終止核の内側で第四脳室底の上部の中で上当る場所で深さ約1mmのところにある.

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最終更新日13/02/03

 

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