Rauber Kopsch Band2. 430   

 すぐわかるように前後2つの主要な連合中枢をたがいに分類する基礎をなすのは全く生理学的なものである.形態学的な観点からすると,この分類に対してある種の疑義がないわけではない.

B. 伝導路Leitungsbahnen

 脊髄の項(319,  320頁)では伝導路を下行性absteigendのものと上下両行性ab-und aufsteigendのものとに分類した.この種の云い表わし方がまた脳の伝導路および脳と脊髄とのあいだの結合関係を考えるときにも有利である.

 とにかく多くの場合に「上行性」“aufsteigend”という伝導路の概念は若干の制限を加えて理解すべきである.すなわち知覚性であることが疑いなくはっきりしている伝導路もいくらかの数の下行性線維をふくんでいて,それゆえ上行性の伝導路系と通称されるものはたず比較的にそれであり,あるいは大部分が上行性線維であるというわけである.

 そのほかに次のような線維索が数多く存在する.すなわちその役目は身体の末棺部と中枢器官とを結合することにあるのでなくて,むしろいろいろな伝導路をたがいに結びつけているものである.すなわち伝導路は中絶せずに末梢から脳の皮質へと,またその逆の方向に走るのではなくて,伝導路からはある間隔をおいて側枝が横にでて近くの灰白質の核にあたえられ,あるいは核の介在によって伝導路がじかに中断される.これらの核じしんが特別な伝導烙を介して離れたところにある灰白質とつながっている.これらのものが側副伝導kollaterale Leitungの系統である.すなわち主伝導路のいろいろな種類の枝分れとみるべきものである.

 また伝導路系のあ,るものは上行性,下行性とも,そのいずれであるともいうことができない.なぜならこれらは両方向に走る線維よりなって,機能的に関係の深い中枢のあいだを結びつけ,そのために連合神経路Assoziationsbahnenと名づ. けられている.

1. 上行性の伝導路系aufsteigende Leitungs-System

 末梢から起こってくる脊髄のすべての上行性伝導路ないし後根の続きおよび求心性(知覚性)脳神経の続きをなす伝導路系もまた,諸所の核において中断されたのちに,けっきょく脳の皮質の神経細胞のまわりに終るのである.

 嗅神経の線維だけはそれらの中で例外をなし,その中枢における終末は嗅糸球のなかで嗅球ないし嗅葉(これらはすでに述べたように皮質の一部である)の僧帽細胞の突起とたがいにからみ合っている(図486).

 後根はその大部分が脊髄神経節の細胞の中心がわの突起よりなり,この突起は局所解剖学的ならびにその発生に基づいて次のごとく区別される:すなわち1. 早くから髄鞘をとる比較的よく発達した深層Stratum profundumと2. それよりおそく髄鞘をとる浅層Stratum superficialeとである.辺縁帯には(すなわちリッソウエル束Lissauersches Bündelの中には)ごくわずかの細い線維が後根から達していて,その線維は上行枝と下行枝に分れて,いずれも少数の脊髄節だけ上方ないし下方にのびている.

 そのほか後根には側柱の細胞からおこる神経突起でKen Kureによれば副交感神経に属するもめという少数の線維がある.

 後根線維は後索の内部でおのおの1本のいっそう細くて短い下行枝と1本のいっそう太くて長い上行枝とに分れる.両者は細い側枝を脊髄の灰白質にあたえているのが普通である.上下両方向にのびた枝の終末も灰白質のなかに入り終末分枝をなして終る(図400402, 405).

 主として4つの細胞群が区別されて,これらに後根の主枝または側枝の終末分枝が達している.それは 1. 両側のクラーク柱の細胞,2. 両側の後柱核の細胞,そのさいは線維が後交連を通って他側に達する,3. 中心群の細胞,4. 前柱の細胞である.

 後根線維の長い枝はブルダッハ索Burdachscher Strangのなかを上行し,それが一部は脊髄のいろいろ異なる高さで終り,一部はいっそう中心に向かって走り,延髄の後索核に達する.

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最終更新日13/02/03

 

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