Rauber Kopsch Band2.616   

b)虹彩動脈Aa. iridis (図649)は2本あって,1本は眼球の内側に,他は外側にある.いずれも強膜と脈絡膜のあいだを走って毛様体にいたり,ここで大虹彩動脈輪Circulus arteriosus iridis majorをつくって毛様体小枝と吻合している.大虹彩動脈輪からは放射状に走る多数の血管が虹彩にはいる(図649).その吻合によって大虹彩輪と小虹彩輪のさかいのところにある小虹彩動脈輪Circulus arteriosus iridis minorisが生ずる.

 大虹彩動脈輪からは2, 3本の逆行枝がでて,毛様体冠と毛様体筋および虹彩に分布する.

 虹彩動脈は大虹彩動脈輪によって毛様体小枝と吻合し,また逆行枝によって脈絡膜動脈と吻合する.

c)毛様体小枝Ramuli ciliaresは4つの眼球直筋の動脈からたいてい2本ずつ起こって,枝分れをしながら前方へ進み,角膜縁のうしろで強膜を貫き,強膜静脈洞のうしろで毛様体筋に進入する.毛様体小枝が強膜を貫く前に細い枝が分れて,強膜の前方部および眼球結膜にゆく.盤膜を貫いた枝は毛様体筋の中で枝分れして大虹彩輪と毛様体筋にいたる少数の逆行枝もでている(図648, 649).

 静脈については,

1. 渦静脈Vv. vorticosaeは 590頁ですでに述べた.この静脈は虹彩・毛様体冠・毛様体筋の一部・毛様体輪・脈絡膜から血液を集め,強膜を貫いてからは強膜の表面上を走る静脈をも受けている.

2. 毛様体静脈Vv. ciliaresは眼球内では毛様体筋からしか枝をうけないが,強膜の中を走るあいだに強膜静脈洞からつづく血管をうけている.強膜静脈洞は毛様体静脈と開放性に結合し,各毛様体静脈を輪状にグルリとつなぎ合せる静脈洞をなしている.強膜静脈洞から外側へ向かって多数の血管がでて,強膜の方へすすみ,毛様体筋からおこる毛様体静脈の枝と強膜内で結合する.毛様体静脈は眼球をでたのち,強膜の表面上の貧弱な血管網から,また眼球結膜から血液をうけて,最後に眼球直筋の諸静脈に注いでいる.

[図649]虹彩と脈絡膜の血管 前からみる.×2.5( Arnold )

b) リンパ路

1. 眼球の前方部にはまず前眼房Camera oculi anteriorがあり,そのほか角膜と強膜のこれに接する部分とには液細管Saftkandilchenがある.

 前眼房は水様液Humor aqueus, Kammerwasser(眼房水)とよばれる水の様な透明の液体でみたされている.この液はごく少量の蛋白質および糖とわずかの白血球をふくみ,液の量は0.2~0.3gである.前眼房は毛細管のように狭い虹彩水晶体間隙Iris-Linsenspalteによって後眼房につづき,後眼房はまた小帯隙Spatium apparatus suspensoriiとつづいている.

S.616   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る