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- 284_00【Temporomandibular joint顎関節 Articulatio temporomandibularis; Articulus mandibularis】
→(下顎骨と側頭骨の間の関節で、関節頭である下顎骨は左右に長い楕円体状で前後に短いのに対し、関節窩は側頭骨の下顎窩から関節結節の下にいたる面で前後に長い。両者の間には関節円板が介在し、その下面はとくに深くくぼみ、関節頭と関節窩の不適合を調節している。関節包はゆるく、内面は関節円板に固くついている。関係する靱帯は次の三つである。(1)外側靱帯:関節包の外側面を補強する。側頭骨頬骨突起からおこり下顎径につく。(2)蝶下顎靱帯:関節包の内側にあり、蝶形骨棘からおこって下顎小舌につく。関節包とは密着しておらず、その間に下歯槽動脈・静脈・神経が介在する。(3)茎突下顎靱帯:関節の後方にあり、茎状突起からおこり、下顎角後縁の内面につく。この靱帯は、頚筋膜が局部的に肥厚したもので、耳下腺と顎下腺を隔てている。顎関節は縫合(咀嚼)運動をを行うが、それは(1)下顎の上下運動、(2)前後運動、(3)左右運動に大別される。主として(1)は関節円板と下顎頭の間で、(2)は側頭骨関節結節と関節円板の間でそれぞれ行われ、(2)の運動が左右の関節で交互になされると、(3)が行われることになる。これらの運動が組み合わせて行われること、運動には関節円板の胃道が伴い、単なる蝶番運動ではないこと、また左右の関節が協同して働くことなどが顎関節の特徴である。)
- 284_01【Articular tubercle of temporal bone関節結節(側頭骨の) Tuberculum articulare (Ossis temporale)】 Rounded projection anterior to the mandibular fossa.
→(顎関節の直前で頬骨突起基部の下面に高まる関節結節は下顎窩の前方の境となるが、生体では関節結節と関節面が一続きの軟骨で被われて関節包の内にあり、顎関節の関節窩となる。)
- 284_02【Articular disc of temporomandibular joint関節円板(顎関節の) Discus articularis temporomandibularis; Discus articulationis temporomandibularis】 Biconcave disc composed of layers of tough fibrous tissue and fibrocartilage located between the head of the mandible and the mandibular fossa. It is attached around its periphery to the joint capsule, dividing the joint into two cavities, and together they form the disco-capsular system, a single functional unit.
→(関節円板は下顎頭のための可動性関節臼の役割を果たしている。この関節円板は前部では散在性の軟骨細胞を含む線維軟骨から成っている。その後部は2層性を示す。下顎窩の後壁に固着する上層は弾性線維を含む粗線線維性結合組織から成るが、下顎頭の後壁に付着している下層は非常に丈夫な密線線維結合組織からなるが、下顎頭の後壁に付着している下層は非常に丈夫な密線線維結合組織からなっている。前方で関節円板は関節包ならびに外側翼突筋と強固に結びついている。一般的には関節円板または関節半月は膠原線維の多い線維軟骨性の結合組織から成っている。円板は関節腔を完全に、半月はそれを不完全に分けている。円板および半月は誘導機能をもち、関節面の接触を良くし、場合によっては、顎関節または胸鎖関節などに見られるように、完全に分かれた2つの関節腔をつくりだすことさえある。このような関節円板は疾患時に、あるいは摘出されても新生が起こりうる。)
- 284_03【Mandibular fossa下顎窩 Fossa mandibularis】 Articular fossa of the temporomandibular joint.
→(頬骨突起の基部の下面にある深い凹窩で、下顎頭がはいる。)
- 284_04【Mastoid process乳様突起;乳突隆起 Processus mastoideus】 Projection behind the external acoustic meatus that contains the mastoid cells.
→(乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突蜂巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突蜂巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。)
- 284_05【Joint capsule of temporomandibular joint; Articular capsule of temporomandibular joint関節包;関節嚢(顎関節の) Capsula articularis (Articulatio temporomandibularis)】
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- 284_06【External acoustic meatus; External auditory meatus外耳道 Meatus acusticus externus】
→(外耳道は側頭骨の鼓室部を耳介から鼓膜へ至る通路で骨性部分。軟骨性外耳道からなる。)
- 284_07【Zygomatic arch頬骨弓 Arcus zygomaticus】 Arch formed by the zygomatic process of the temporal bone and the temporal process of the zygomatic bone.
→(眼窩の外側方には、眼鏡のつるのような骨の橋がある。これが頬骨弓で、その後端は耳の孔(外耳孔)の近くまで達している。頭蓋を正面から見ると、顔面は頬骨弓の所が最も広く、それよりも下方では急に幅が狭くなっている。頬骨の側頭突起が頬骨の後下部より後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して形成された骨弓をいい、ほぼ水平位にある。側頭突起と頬骨突起間にある前方により後方へ斜走する縫合を側頭頬骨縫合という。頬骨弓からは咀嚼筋の一つである咬筋が起こり下顎角の咬筋粗面につく。なお頬骨弓の外側方への最も突出した点を頬骨弓点といい、両側のこの点の間の距離をもって頭蓋の顔面幅最大長としている。頬骨弓の下方のくぼみにある脂肪塊(頬脂肪体sucking pad)は、普通の皮下脂肪とは違って、線維の少ないみずみずしい脂肪組織からなり、いくらを詰めたようになっている。)
- 284_08【Ramus of mandible下顎枝 Ramus mandibulae】 Projection that forms the ascending ramus of the mandible.
→(下顎体の後端から上(やや)後方に延びた、扁平な板状部で矢状位に立つ。)