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- 947_00【Arm; Upper arm上腕;ニノウデ Brachium】
→(腕、特に肩から肘での部分。)
- 947_01【Infraspinatus muscle棘下筋 Musculus infraspinatus】 o: Infraspinous fossa of scapula, spine of scapula, infraspinous fascia, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation, strengthens joint capsule. 1: Suprascapular nerve.
→(棘下筋は棘下窩(肩甲骨頚を縁どる部分は除く)から起こり、肩関節包と上腕骨の大結節中央面につく。これは小円筋とともに肩甲骨縁に付着している筋膜によっておおわれている。機能としては小円筋とともに上腕骨頭を外旋する。神経支配は肩甲上神経。動脈は肩甲上動脈(肩甲横動脈)、肩甲回旋動脈より受ける。)
- 947_02【Teres minor muscle小円筋 Musculus teres minor】 o: Lateral border of scapula, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation. I: Axillary nerve.
→(小円筋は肩甲骨外側縁に起始し、大結節後面にいたる。この筋はしばしば棘下筋に非常に接近して停止しているので、神経支配の違いを基にしてのみ境界線引くことができる。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 947_03【Teres major muscle大円筋 Musculus teres major】 o: Near the inferior angle of scapula, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retroversion of the arm with adduction and medial rotation. I: Thoracodorsal nerve.
→(大円筋は肩甲骨下角の背側面で起こり、上腕三頭筋長頭の回りを曲がり、広背筋停止腱(下縁で一緒に成長する)の背側で小結節稜に付着する。大円筋は肩甲下筋の分かれたものである。さらに、同じ原基から生じる広背筋と遺伝的にも密接に関係している。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 947_04【Long head of triceps brachii muscle長頭(上腕三頭筋の) Caput longum (Musculus triceps brachii)】 o: Infraglenoid tubercle. Retroversion and adduction of the shoulder joint. Divides the triangular (medial) and quadrangular (lateral) spaces between the teres major and minor muscles.
→(長頭は肩甲骨の関節下結節とそれに続く肩甲骨外側縁から起こる。この筋は、広い表層の腱板を介して肘頭に停止する。外側の腱線維束は前腕の筋膜に入り、肘頭が損傷された場合にも予備の伸筋としての働きをする。また、その深層の線維は肘関節の関節包に付着している。これらは肘関節筋と呼ばれている。)
- 947_05【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 947_06【Radial nerve橈骨神経 Nervus radialis】 Nerve arising from the posterior cord (usually with fibers from C5-T1) spiraling in the groove for the radial nerve around the posterior side of the humerus, then continuing laterally between the brachialis and brachioradialis as well as the extensor carpi radiales. It divides at the elbow into deep and superficial branches.
→(橈骨神経は後神経束より起こる(多くはC5~Th1)。腋窩の中で腋窩動脈の背面をを通り、上腕深動脈とともに上腕骨の後面にいたる。橈骨神経溝の中で骨の近く上腕骨の外側縁を回り、外側筋間中隔を貫き、肘関節の上で屈側にでる。関節のすぐ遠位で知覚性の浅枝と太い運動性の深枝に分かれる。前者は前腕では腕橈骨筋を誘導する筋として使い、後者は回外筋に入り、螺旋状に曲がって前腕の伸側を下降する。橈側神経の腕のすべての伸筋を支配し、3つの皮枝、下外側上腕皮神経、後上腕皮神経、および後前腕皮神経は、腕の伸側の皮膚(三角筋部を除く)と手の皮膚(尺側縁、第4,5指、および第2、3指の末節を除く)を支配する。肘関節部で浅枝と深枝に分かれる。上腕三頭筋と肘筋への神経枝は、“橈骨神経管”の入り口の前と入り口部において、すでに橈骨神経から分岐している。)
- 947_07【Muscular branches of radial nerve筋枝(橈骨神経の) Rami musculares (Nervus radialis)】 Motor branches to the triceps, anconeus, brachioradialis, and extensor carpi radialis longus.
→(橈骨神経の筋枝は上腕三頭筋、肘筋、腕橈骨筋および長橈側手根伸筋へいたる運動枝。)
- 947_08【Lateral head of triceps brachii muscle外側頭;橈側頭(上腕三頭筋の) Caput laterale; Caput radiale (Musculus triceps brachii)】 o: Posterior surface of humerus, lateral and proximal to the groove for the radia! nerve.
→(外側頭の起始は狭い帯状で、橈骨神経溝の近位にあり、内側頭の大部分を被っている。しかし、内側頭もまた外側上顆の上の狭い範囲の外側面に達している。)
- 947_09【Medial head of triceps brachii muscle; Deep head of triceps brachii muscle内側頭;深頭;尺側頭;上腕骨粗線(上腕三頭筋の) Caput mediale; Caput profundum; Caput ulnare; Linea aspera humeri (Musculus triceps brachii)】 o: Posterior surface of humerus, medial and distal to the groove for the radial nerve.
→(内側頭は上腕骨の後面、橈骨神経溝の内側遠位および両側間中隔(とりわけ、内側)から起こる。)
- 947_10【Biceps brachii muscle上腕二頭筋 Musculus biceps brachii】 Two-headed muscle that attaches on the radial tuberosity and extends with the aponeurosis brachii toward the ulna to blend into the antebrachial fascia. It acts in elbow joint flexion and forearm supination. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕二頭筋は、長頭が関節上結節に起始し、短頭は烏口突起に起始する。二頭筋の長頭(長いのは腱の部分のみ)は上腕骨頭を越え、結節間滑膜鞘に包まれて、結節間溝へ入る。共通の筋腹の終止腱は、肘窩の奥で、橈側粗面に停止する。腱性の帯である上腕二頭筋腱膜は終止腱から分かれ、前腕筋膜に放散している。肘関節を屈曲すると、上腕二頭筋は特に突出する。なぜならば、この筋は関節から離れて、上腕筋によって前に押し出されるからである。機能として肘関節に作用して前腕をまげる。上腕前面に力こぶをつくる。筋腹の内外両側の溝をそれぞれ内側二頭筋溝および外側二頭筋溝という。前者を尺側皮静脈、後者を橈側皮静脈が走る。長頭の件は滑膜に包まれながら肩関節腔を貫く。また上腕骨の結節間溝を通るところでは、結節間滑液鞘に包まれる。)
- 947_11【Trapezius muscle僧帽筋 Musculus trapezius】 Muscle that consists of three parts that act together to position the scapula and clavicle, draw both toward the vertebral column, and brace the shoulder girdle. I: Accessory nerve; brachial plexus C2-C4.
→(背部第1層にみられる扁平な菱形の筋で背部上半部を占める。僧帽筋は上肢の運動の時に肩甲骨を動かす重要な筋である。とくに上腕の外転のときに、肩甲骨を後内側に引くと同時に下角を外側に回し、関節窩が上外側を向くようにする。僧帽筋は下行部、横走部、上行部に分けられる。[臨床]僧帽筋の完全麻痺(副神経と上部腕神経の同時の傷害)の場合、肩は健側よりも深く位置するようになる項肩線は弓状を呈さず、乱れる。肩甲骨は正中線より、はるかに離され、関節窩は前下方を向く。肩は(肩甲挙筋の)弱いエネルギーにより持ち上げることが出来るにすぎず、わずかに(菱形筋により)後方にもたらされるにすぎない。腕の外側への挙上は大きく減少する。腕は通常水平面まで外転され得ない。腕の前方への挙上は(前鋸筋による肩甲骨の回転により)ほとんど制限さされないが、矢状面での挙上は強く妨げられる。副神経のみが傷害された場合、僧帽筋の下行部の機能は(上頚神経の付随的支配により)種々の程度に保存される。肩甲骨の位置の変化はそれほど著明ではない。しかし、腕を横または後へ挙上することは、ちょうどその程度に応じて制限される。)
- 947_12【Acromion肩峰;カタサキ Acromion】 Free end of the spine of the scapula that projects over the head of the humerus.
→(肩峰は肩甲棘そのものは、尖端が扁平な大突起となって関節窩を越えて突き出ている。この部分を特に肩峰(肩甲棘から肩峰にかけて僧帽筋がつき、三角筋が起こる)と呼ばれ、その突起近くの内側面には鎖骨と連結する小楕円形の関節面(輪郭はあまり明瞭でない)がある。肩甲棘のつけ根(肩甲骨背側面から起こる基部)の外側端の所では、棘上窩と棘下窩が関節窩のすぐそばでたがいに交通している。)
- 947_13【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
- 947_14【Muscular branches of axillary nerve筋枝(腋窩神経の) Rami musculares nervus axillaris】 Fibers to the teres minor and deltoid.
→(腋窩神経の筋枝は小円筋および三角筋へいたる枝。)
- 947_15【Superior lateral cutaneous nerve of arm; Superior lateral brachial cutaneous nerve; Lateral superior brachial cutaneous nerve; Cutaneous branch of superior lateral brachial nerve上外側上腕皮神経;外側上腕皮神経;橈側上腕皮枝 Nervus cutaneus brachii lateralis superior; Nervus cutaneus brachii lateralis; Ramus cutaneus brachii radialis】 Branch supplying the skin overlying the deltoid.
→(腋窩神経から分かれ、肩の膨らみのあたりに分布する神経。この領域はほぼ三角形の位置と一致する。(イラスト解剖学))
- 947_16【Lateral intermuscular septum of arm; Lateral brachial intermuscular septum外側上腕筋間中隔;橈側上腕筋間中隔 Septum intermusculare brachii laterale; Septum intermusculare brachii radialis】 Tendinous sheet that attaches the brachial fascia to the lateral border of the humerus and gives origin to muscle fibers.
→(外側上腕筋間中隔は上腕骨外側縁と上腕筋膜の間にある腱性の筋起始板。)
- 947_17【Posterior cutaneous nerve of forearm; Posterior antebrachial cutaneous nerve後前腕皮神経;背側前腕皮神経 Nervus cutaneus antebrachii posterior; Nervus cutaneus antebrachii dorsalis】 Cutaneous branch supplying the area between the lateral and medial cutaneous nerves of forearm.
→(橈骨神経から分かれ、前腕の後面に分布する神経。[C6~T1](イラスト解剖学))
Casserio's muscle
- 947_18Casserio's muscle【Brachialis muscle上腕筋 Musculus brachialis】 o: Anterior surface of the humerus below the deltoid tuberosity. i: Tuberosity of ulna. Flexes the elbow joint. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕筋は上腕骨前面の三角筋粗面(均一な三角筋-上腕筋系の骨付着部と考えらえている)より遠位部で起こり、尺骨粗面に停止する。[臨床]上腕筋は、上腕骨上に直に接しているため、筋を上腕骨に圧迫するような外力が加わるとか、上腕骨の(顆上)過伸展骨折(伸展骨折)の際に、骨折端によって穿通され、容易に損傷される。損傷した筋組織の部位に生じる結合組織の瘢痕は、収縮し、上腕筋の短縮が起こることがある。このような場合、腕は肘関節を伸展することが不可能になる。)
- 947_19【Anconeus muscle肘筋 Musculus anconeus】 o: Posterior surface of epicondyle of lateral humerus. i: Posterior surface of ulna, proximal one-fourth. Extends the elbow joint. I: Radial nerve.
→(肘筋は、上腕三頭筋内側頭の外側部分の遠位への延長となっている。その線維は上腕骨外側上顆、関節包および外側側副靱帯に始まり、扇状に尺骨背側表面へ広がっている。)
- 947_20【Brachioradialis muscle腕橈骨筋 Musculus brachioradialis】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Radial styloid process. Flexes the forearm from the intermediate position between pronation and supination. I: Radial nerve.
→(腕橈骨筋は橈骨の外側縁に位置し、上腕骨の外側縁、外側上顆の上と外側上腕筋間中隔から起始する。腕橈骨筋は橈骨の茎状突起基底部に停止する。)
- 947_21【Extensor carpi radialis longus muscle長橈側手根伸筋 Musculus extensor carpi radialis longus】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Base of second metacarpal. Flexes the elbow joint. Dorsiflexion and radial abduction of the wrist joint. I: Radial nerve.
→(長橈側手根伸筋は腕橈骨筋起始部の下方の上腕骨外側縁と外側上腕筋間中隔から起こり、第2中手骨底に停止する。筋服の上縁は腕橈骨筋で被われているが、筋は外側上顆で外側に曲がり、短橈側手根伸筋の近位部を被っている。)
- 947_22【Olecranon of ulna肘頭;尺骨頭 Olecranon】 Proximal, posterior end of the ulna. Attachment site of the triceps brachii muscle.
→(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)