TA(1998)に基づく解剖学　（サムネルの図をクリックするとSpalteholzにリンクしてあります。）

Appendicular skeleton(付属肢骨格；付属性骨格)Skeleton appendiculare　ふぞくしこっかく；ふぞくせいこっかく Feneis: 012_31

[A02_0_00_010] →(軸骨格に付属するので付属骨格とよぶ。上肢骨と下肢骨のこと。)

Bones of upper limb(上肢骨)Ossa membri superioris　じょうしこつ Feneis: 054_01

[A02_4_00_001] →(体幹の骨に連結する上肢帯と上肢帯につづく自由上肢骨から成り立っている。上肢骨は下肢骨に比して小さくきゃしゃであり、その連結はゆるやかで可動性が大きい。また、手根骨が小さく指の骨が比較的長い。)

Pectoral girdle; Shoulder girdle(上肢帯；胸帯；肩帯；肩甲帯)Cingulum pectorale; cingulum membri superioris　じょうしたい；きょうたい；けんたい；けんこうたい Feneis: 054_02

[A02_4_00_002] →(上肢帯（肩帯）というのは、上腕骨以下の自由上肢骨を体幹の骨に結びつける帯の役目をする骨の総称で、鎖骨と肩甲骨とからなる。上肢帯は系統発生的には若干の置換骨（内骨格性の骨）と若干の結合組織骨（皮骨性、すなわち外骨格性の骨）とからできる。ヒトでは、置換骨としては肩甲骨のみがあり、皮骨性骨としては鎖骨のみがある。左右の鎖骨と肩甲骨は不完全ではあるが体幹をとりまく帯のような位置にあるので、このようによばれる。ヒトの上肢帯は体壁から外側に張り出していて自由上肢骨の可動範囲を広くしている。)

Scapula; Shoulder blade(肩甲骨)Scapula　けんこうこつ Feneis: 054_03

[A02_4_01_001] →(胸郭の背側上外部で三角形をした大型の平坦な骨で第２～第８肋骨に被さっており、左右両端は肩鎖関節で鎖骨と、肩関節で上腕骨と関節している。肋骨面（前面）と背面の２面、内側縁・外側縁・上縁の３縁、上角・下角・外側角の３角を区別する。外側角の部分は上縁と外側縁の合するところで肥厚しており、その外側端に楕円形の関節窩がある。関節下の上・下には関節状結節および関節下結節があって、それぞれ上腕二頭筋長頭、上腕三頭筋長頭がおこる。また、関節下の内方はやや細くなっており肩甲頚という。肋骨面は全体に浅くへこんでおり肩甲下窩という。背面の上部には肩甲棘というほぼ水平に走る隆起があり、その尖端は大きく扁平な突起となって関節窩の外方へ突き出していて肩峰とよばれる。肩峰の内側面には鎖骨との関節面である肩峰関節面がある。背側面は肩峰棘によって二分され、上方の比較的小さいくぼみを棘上窩、下方に広いくぼみを棘下窩という。上縁は外側に向かってやや下方に向いているが、その外側端には肩甲切痕という小さい切れ込みがある。また、肩甲切痕と関節窩の間から鈎状の烏口突起が前方に突き出している。語源はローマ時代にはscapulaは「背なか」を意味していた。１７世紀にフランスの解剖学者リオランJ.Riolanがギリシャ語のSkaptein（掘る）に由来するscapulaを肩甲骨に初めて採用したという。この骨の形がシャベルに似ているからである。日本では肩甲骨のことを俗に「貝がらぼね」という。)

Costal surface of scapula; Anterior surface of scapula(肋骨面（肩甲骨の）；肩甲骨前面)Facies costalis scapulae; Facies anterior scapulae　ろっこつめん（けんこうこつの）；けんこうこつぜんめん Feneis: 054_04

[A02_4_01_002] →(肩甲骨の前面は胸郭の肋骨に面するので肋骨面とよばれる。)

Subscapular fossa(肩甲下窩)Fossa subscapularis　けんこうかか Feneis: 054_05

[A02_4_01_003] →(肩甲下窩は肋骨前面は全体として凹面をなしていてこの大きな浅いくぼみである。同名の筋（肩甲下筋）が起こる場所である。この筋のおこるのを助けるための数本の不規則な隆線が肩甲下窩を斜めに走っている。)

Posterior surface of scapula(背側面；背面；後面（肩甲骨の）)Facies posterior scapulae; Facies dorsalis scapulae　はいそくめん；はいめん；こうめん（けんこうこつの） Feneis: 054_06

[A02_4_01_004] →(肩甲骨の後面は背側面といい、その全体がかるくふくれ上がっている。上約１／４の所を横切る線状に長く高い肩甲棘がが付くため、背側面は上下に二分される。)

Spine of scapula; Scapular spine(肩甲棘)Spina scapulae　けんこうきょく Feneis: 054_07

[A02_4_01_005] →(肩甲棘そのものは、尖端が扁平な大突起となって関節窩を越えて突き出ている。この部分を特に肩峰（肩甲棘から肩峰にかけて僧帽筋がつき、三角筋が起こる）と呼ばれ、その突起近くの内側面には鎖骨と連結する小楕円形の関節面（輪郭はあまり明瞭でない）がある。)

Deltoid tubercle; Triangular portion of spine scapula(三角筋結節（肩甲棘の）)Tuberculum deltoideum; Trigonum spinae scapulae　さんかくきんけっせつ（けんこうきょくの） Feneis: 054_08

[A02_4_01_006] →(肩甲棘の三角筋結節は肩甲棘根より外側にみらえる著明な骨隆起で、僧帽筋中部最下部からの三角形の腱が付着している。)

Supraspinous fossa(棘上窩)Fossa supraspinata　きょくじょうか Feneis: 054_09

[A02_4_01_007] →(棘上窩は肩甲棘より上方にできる舟底形のくぼみが棘上窩である。)

Infraspinous fossa(棘下窩)Fossa infraspinata　きょくかか Feneis: 054_10

[A02_4_01_008] →(棘下窩は肩甲棘よりも下方の三角形の広い領域が棘下窩である。棘下窩は対極的にはくぼみであるが、その中心部はむしろふくれている。棘上窩も棘下窩もほぼその前面から同名の筋（棘上筋と棘下筋）が起こる。)

Acromion(肩峰；カタサキ)Acromion　けんぽう Feneis: 054_11

[A02_4_01_009] →(肩峰は肩甲棘そのものは、尖端が扁平な大突起となって関節窩を越えて突き出ている。この部分を特に肩峰（肩甲棘から肩峰にかけて僧帽筋がつき、三角筋が起こる）と呼ばれ、その突起近くの内側面には鎖骨と連結する小楕円形の関節面（輪郭はあまり明瞭でない）がある。肩甲棘のつけ根（肩甲骨背側面から起こる基部）の外側端の所では、棘上窩と棘下窩が関節窩のすぐそばでたがいに交通している。)

Clavicular facet of scapula; Acromial articular surface(鎖骨関節面；肩峰関節面（肩甲骨の）)Facies articularis clavicularis scapulae; Facies articularis acromii　さこつかんせつめん（けんこうこつの） Feneis: 054_12

[A02_4_01_010] →(肩甲骨の鎖骨関節面は鎖骨外側端関節をなす肩峰内側縁上方の小さな楕円形の関節面。)

Acromial angle(肩峰角)Angulus acromialis　けんぽうかく Feneis: 054_13

[A02_4_01_011] →(肩峰角は肩甲棘の屈曲部で、肩峰外側縁への移行部にある。体表上からよく触れるので生体で軽躁の標示点となる。)

Medial border of scapula; Medial margin of scapula(内側縁；椎骨縁（肩甲骨の）)Margo medialis; Margo vertebralis　ないそくえん；ついこつえん（けんこうこつの） Feneis: 054_14

[A02_4_01_012] →(肩甲骨の内側縁は最も長い縁で、脊柱とほぼ平行するが少し内方に凸の曲線を描く（肩甲挙筋、菱形筋、前鋸筋などがここにつく）。)

Lateral border of scapula; Lateral margin of scapua(外側縁；腋窩縁（肩甲骨の）)Margo lateralis; Margo axillaris (Scapula)　がいそくえん；えきかえん（けんこうこつの） Feneis: 054_15

[A02_4_01_013] →(肩甲骨の外側縁は腋窩に向かい、外上方から内下方へ斜めに走り、わずかにくぼむ（小円筋、大円筋が起こる）。)

Superior border of scapula; Superior margin of scapula(上縁（肩甲骨の）)Margo superior scapulae　じょうえん（けんこうこつの） Feneis: 054_16

[A02_4_01_014] →(肩甲骨の上縁は内上方より外下方に傾く。)

Suprascapular notch; Scapular notch(肩甲切痕（肩甲骨の）)Incisura scapulae　けんこうせっこん Feneis: 054_17

[A02_4_01_015] →(肩甲骨の上縁は特に薄くてカミソリの刃のようになっており、肩甲切痕という切れ込みが認められる。肩甲切痕の大きさと形は個体差に富み、薄い切れ込みのこともあれば、また切痕の上部が骨で閉じられて孔になっていることもある。そうでなくても、この切痕は生体では上部を靱帯で橋わたしされて、孔になっている。この孔の中を１本の神経（肩甲上神経）がとおる。)

Inferior angle of scapula(下角（肩甲骨の）；肩甲骨下角)Angulus inferior scapulae　かかく（けんこうこつの） Feneis: 054_18

[A02_4_01_016] →(肩甲骨の三角形の三つの頂角のうち下方のものが下角である。)

Lateral angle of scapula(外側角；関節角（肩甲骨の）)Angulus lateralis; Angulus articularis　がいそくかく；かんせつかく（けんこうこつの） Feneis: 054_19

[A02_4_01_017] →(肩甲骨の三角形の三つの頂角のうち外側上方のものが外側核である。)

Superior angle of scapula(上角；内側角（肩甲骨の）)Angulus superior scapulae; Angulus cranialis; Angulus medialis　じょうかく（けんこうこつの） Feneis: 054_20

[A02_4_01_018] →(肩甲骨の三角形の三つの頂角のうち内側上方のものが上角である。)

Glenoid cavity of scapula(関節窩（肩甲骨の）)Cavitas glenoidalis scapulae　かんせつか（けんこうこつの） Feneis: 054_21

[A02_4_01_019] →(肩甲骨の外側角は先がそぎ取られたようになっており、ここに上腕骨と関節する大きな関節窩が西洋ナシの輪郭をした浅いくぼみを作っている。)

Supraglenoid tubercle(関節上結節；関節上粗面)Tuberculum supraglenoidale; Tuberculum supraarticularis　かんせつじょうけっせつ；かんせつじょうそめん Feneis: 054_23

[A02_4_01_020] →(関節窩のすぐ上方に小さな関節上結節（上腕二頭筋長頭が起こる）がある。)

Infraglenoid tubercle(関節下結節；関節下粗面)Tuberculum infraglenoidale; Tuberositas infraarticularis　かんせつかけっせつ；かんせつかそめん Feneis: 054_22

[A02_4_01_021] →(肩甲骨関節窩の下方に粗な関節下結節（上腕三頭筋長頭が起こる）がある。)

Neck of scapula(肩甲頚；肩甲骨頚)Collum scapulae　けんこうけい Feneis: 054_24

[A02_4_01_022] →(関節窩を含む外側核の内方はやや細い肩甲頚となる。)

Coracoid process of scapula(烏口突起)Processus coracoideus　うこうとっき Feneis: 054_25

[A02_4_01_023] →(肩甲切痕と関節窩の間には、烏の嘴のように折れ曲がった烏口突起が前外側方に突出している。烏口突起は烏口腕筋と上腕二頭筋（の短頭）が起こり、また小胸筋が付くための突起である。Koraxというギリシャ語は烏（または烏の嘴ように曲がったもの－ドアの把手など）を意味する。)

Clavicle; Collar bone(鎖骨)Clavicula　さこつ Feneis: 054_26

[A02_4_02_001] →(鎖骨は胸骨上縁のところにある棒状の骨。鎖骨の内側端を鎖骨端といい、その内側面には四角形の頬骨関節面があって、頬骨の鎖骨切痕と連結する。また、外側端を肩峰端といい、その外側面には楕円形の肩峰関節面があって肩甲骨と連結する。鎖骨下面の胸骨端の近くには胸鎖靱帯圧痕、肩峰端のすぐ近くには円錐靱帯結節という粗面があり、それぞれ同名の靱帯が付着する。鎖骨は結合組織生骨であり、全身の骨の中では最も早く骨化がはじまる（胎生第５週）が、骨化の完了する時期は２５最以後で長骨の中では一番遅い。鎖骨は一般の長骨と異なり髄腔がなく、内部は海綿質でみたされている。哺乳類のうち上肢を歩行以外にも使用する（たとえば、物をつかんだり、からだの前で上肢を交差させる動作など）動物では鎖骨は発達しているが、上肢を前後方向に動かして歩行だけに使用する動物では鎖骨はないか、あっても痕跡的である。したがって霊長目や齧歯目では鎖骨が発達し、食肉目や有蹄目には鎖骨がない。語源はClavis（腱、カンヌキ）の縮小形で小さな鍵という意味。)

Sternal end of clavicle(胸骨端（鎖骨の）)Extremitas sternalis claviculae　きょうこつたん（さこつの） Feneis: 054_27

[A02_4_02_002] →(鎖骨の胸骨端は胸骨に接する内側端でプリズム状にふくらむ。)

Sternal facet of clavicle(胸骨関節面（鎖骨の）)Facies articularis sternalis claviculae　きょうこつかんせつめん（さこつの） Feneis: 054_28

[A02_4_02_003] →(胸骨端に楕円形の胸骨関節面（胸骨の鎖骨切痕と関節する。その上部には鎖骨間靱帯が付き、上縁から胸鎖乳突筋の一部が起こる）がある。)

Impression for costoclavicular ligament(肋鎖靱帯圧痕；肋骨粗面)Impressio ligamenti costoclavicularis; Tuberositas costalis　ろくさじんたいあつこん Feneis: 054_29

[A02_4_02_004] →(胸骨端の下面には肋鎖靱帯圧痕があって、粗な浅い陥凹、または軽いたかまりをつくる。)

Shaft of clavicle; Body of clavicle(鎖骨体；鎖骨幹)Corpus claviculae　さこつたい；さこつかん Feneis: 054_30

[A02_4_02_005] →(鎖骨の長い棒状の中央部分。)

Subclavian groove; Groove for subclavius(鎖骨下筋溝)Sulcus musculi subclavii　さこつかきんこう Feneis: 054_31

[A02_4_02_006] →(鎖骨下筋の停止部位がくぼんで溝の形をとる。)

Acromial end of clavicle(肩峰端（鎖骨の）)Extremitas acromialis claviculae　けんぽうたん（さこつの） Feneis: 054_32

[A02_4_02_007] →(鎖骨の肩峰端は肩甲骨に接する外側端で扁平である。)

Acromial facet of clavicle(肩峰関節面（鎖骨の）)Facies articularis acromialis claviculae　けんぽうかんせつめん（さこつの） Feneis: 054_33

[A02_4_02_008] →(鎖骨の肩峰関節面は肩峰と連結する鎖骨外側端上の小さな楕円形の関節面。)

Tuberosity for coracoclavicular ligament(烏口鎖骨靱帯粗面)Tuberositas ligamenti coracoclavicularis　うこうさこつじんたいそめん Feneis: 054_34

[A02_4_02_009] →(烏口鎖骨靱帯粗面は肩甲骨烏口突起の上方にある円錐靱帯と菱形靱帯線を合わせた呼び名で、前者には円錐靱帯が付着し、後者には菱形靱帯が付着している（両方を併せて烏口鎖骨靱帯という）。)

Conoid tubercle(円錐靱帯結節)Tuberculum conoideum　えんすいじんたいけつせつ Feneis: 054_35

[A02_4_02_010] →(肩峰端の下面には弯曲部にあって鈍な錐状の円錐靱帯結節がある。円錐靱帯が着く。)

Trapezoid line(菱形靱帯線)Linea trapezoidea　りょうけいじんたいせん Feneis: 054_36

[A02_4_02_011] →(菱形靱帯線は鎖骨の下面の外側単に近い部分で菱形靱帯が付着する。)

Free part of upper limb; Free upper limb(自由上肢骨；上肢の自由部；自由上肢)Pars libera membri superioris　じゆうじょうしこつ；じょうしのじゆうぶ Feneis: 056_01

[A02_4_03_001] →(自由上肢骨は上腕の骨（上腕骨）１本で、前腕の骨（橈骨と尺骨）および手の骨（８個の手根骨、５個の中手骨、１４個の指骨）から成り立っている。)

Humerus(上腕骨)Humerus　じょうわんこつ Feneis: 056_02

[A02_4_04_001] →(上腕骨は典型的な長管状骨であるが、上端は半球状にふくらんで上内側を向き、下端は前後に扁平である。上端の半球状の部分は大きな関節面で上腕骨頭といい、その基部の周囲にある浅いくびれを解剖頚という。上腕骨頭の前外側には２個の隆起があり、口蓋側のものを大結節、前内側のものを小結節という。両結節の下部はともに下方へ細長く延び出して、それぞれ大結節稜および小結節稜を作っている。大小の結節および結節稜の間には上下に走る溝があり、結節間溝という。大小稜結節のすぐ下で、上腕骨体に移行する部位は骨折を起こしやすく外科頚とよばれる。上腕骨体は上腕骨の大部分を占める骨幹の部分で、上半は円柱状、下半は三角柱状であり、下端は前後に扁平である。上腕骨体の外側面には、第毛節稜のすぐ下からはじまり、上腕骨体の中央に達する三角筋粗面がある。この粗面の後下方には橈骨神経溝という浅い溝があり、上腕骨体の後面を状内側から下外側に向かってラセン状に走っている。上腕骨の下端部は著しく扁平に広がり、内側方に内側上顆、外側方に外側上顆が突き出しており、内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。この二つの上顆の間には前腕の骨と連結する上腕骨窩があり、内側の上腕骨滑車と外側の上腕骨小頭に区別される。前者は中央が浅くくぼんだ円柱状で尺骨の滑車切痕と関節をつくり、後者は小半球状で橈骨頭窩に面している。上腕骨下端部前面には二つのくぼみがあり、滑車の上方にあるものを鈎突窩、小頭の上方にあるものを橈骨窩という。これは肘を強くまげたときに尺骨の鈎状突起および橈骨頭がはまりこむところである。また、後面には滑車のすぐ上方に楕円形の深いくぼみがあり肘頭窩という。これは肘をまっすぐに伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所である。鈎突窩と肘頭窩はうすい骨質をはさんで前後面から互いに相接しているが、このうすい骨質に孔があいていることがあり、これを滑車上孔という。内側上顆の上方にはまれに小さい突起がみられることがあり、これを顆上突起という。顆上突起と内側上顆の間には靱帯が張り、その間を正中神経が通過する。また、この靱帯からは円回内筋の一部がおこる。)

Head of humerus(上腕骨頭)Caput humeri　じょうわんこつとう Feneis: 056_03

[A02_4_04_002] →(上腕骨の上端では、まず半球状の大きな関節面があり、これが上腕骨頭で、その頂点は内側方を向くが、多少後上方にずれている。)

Anatomical neck of humerus(解剖頚（上腕骨の）)Collum anatomicum humeri　じょうわんこつのかいぼうけい Feneis: 056_04

[A02_4_04_003] →(上腕骨頭の周囲は浅い溝で区切られているので、ここに軽度のくびれが生じている。このくびれが理論的な意味での解剖頚である。)

Surgical neck of humerus(外科頚（上腕骨の）)Collum chirurgicum humeri　げかけい（じょうわんこつの） Feneis: 056_05

[A02_4_04_004] →(大・小結節と上腕骨頭のすぐ下方でこの骨の上端が円柱状の部分に移行するところは骨折を起こしやすい場所なので外科頚とよばれる。上腕骨の内側面（やや後方寄り）にはこの外科頚と解剖頚がほぼ一致する場所がある。)

Greater tubercle of humerus(大結節（上腕骨の）)Tuberculum majus humeri　だいけっせつ（じょうわんこつの） Feneis: 056_06

[A02_4_04_005] →(上腕骨頭の外側には２個の隆起が見られる。そのうち外側方を向く大きいほうが大結節（棘上筋・棘下筋・小円筋が付く）である。)

Lesser tubercle(小結節（上腕骨の）)Tuberculum minus　しょうけっせつ（じょうわんこつの） Feneis: 056_07

[A02_4_04_006] →(上腕骨頭の外側には２個の隆起が見られる。そのうち前面に突出する小さい方が小結節（肩甲下筋が着く場所）である。)

Intertubercular sulcus; Bicipital groove(結節間溝（上腕骨の）)Sulcus intertubercularis　けっせつかんこう（じょうわんこつの） Feneis: 056_08

[A02_4_04_007] →(上腕骨の結節間溝は上腕骨の大結節、小結節（および大・小の結節稜）の間には幅１ｃｍ弱の結節間溝（上腕二頭筋の長頭の腱が通る）が上下に走っている。結節間溝には上腕二頭筋長頭の腱が通り、その床に広背筋が付着している。)

Crest of greater tubercle; Lateral lip of bicipital groove; Greater tubercular crest(大結節稜；外側唇（結節間溝の）)Crista tuberculi majoris; Labium laterale　だいけっせつりょう；がいそくしん（けっせつかんこうの） Feneis: 056_09

[A02_4_04_008] →(大結節は数ｃｍ以上にも及ぶ長い稜線を下方に送っており、その稜線は大結節稜（大胸筋が付く）とよばれる。)

Crest of lesser tubercle; Medial lip; Lesser tubercular crest(小結節稜；内側唇（結節間溝の）)Crista tuberculi minoris; Labium mediale　しょうけっせつりょう；ないそくしん（けっせつかんこうの） Feneis: 056_10

[A02_4_04_009] →(小結節は数ｃｍ以上にも及ぶ長い稜線を下方に送っており、その稜線は小結節稜（大円筋と広背筋が付く）とよばれる。)

Shaft of humerus; Body of humerus(上腕骨体；上腕骨幹)Corpus humeri　じょうわんこつたい；じょうわんこつかん Feneis: 056_11

[A02_4_04_010] →(上腕骨体は上腕骨の骨幹をなす柱状の部分で上半は円柱状で、下半は三角柱状、ことに下端に近いところは前後に圧されてやや平たい。上部の外側で大結節稜の下にやや大きい上に開いたＶ字型の三角筋粗面（三角筋のつく所）がある。上腕骨体の下半部には前縁、内側縁および外側縁がみとめられ、前縁は円いが内外両側縁は下端に近づくと鋭くなる。この３縁の間の前内側面、前外側面および後面には多くの筋が起こり、または付く。そのおもなものには後面の上腕三頭筋内側頭、後面上部の上腕三頭筋外側頭（この両頭の付着部の間に橈骨神経溝がある）、前面下部の上腕筋などがある。上腕骨体の内側縁中央部には栄養孔があり、下方に向かって骨に入る。)

Anteromedial surface of humerus(前内側面；内側前面（上腕骨の）)Facies anteromedialis humeri　ぜんないそくめん；ないそくぜんめん（じょうわんこつの） Feneis: 056_12

[A02_4_04_011] →(上腕骨の前内側面は上腕骨の前縁と内側縁の間の面。)

Anterolateral surface of humerus(前外側面；外側前面（上腕骨の）)Facies anterolateralis humeri　ぜんがいそくめん；がいそくぜんめん（じょうわんこつの） Feneis: 056_13

[A02_4_04_012] →(上腕骨の前外側面は上腕骨前面のうち結節間溝より外側の部分)

Posterior surface of humerus(後面（上腕骨の）)Facies posterior humeri　こうめん（じょうわんこつの） Feneis: 056_14

[A02_4_04_013] →(上腕骨体の後面を上内側から下外側に向かってラセン状に走っている。)

Radial groove; Groove for radial nerve; Radial nerve sulcus(橈骨神経溝)Sulcus nervi radialis　とうこつしんけいこう Feneis: 056_15

[A02_4_04_014] →(橈骨神経溝は上腕骨体の後面には上内側から下外側に向かい巻き付くように走る浅い溝である。)

Medial border of humerus; Medial margin of humerus(内側縁；尺側縁（上腕骨の）)Margo medialis humeri; Margo ulnaris humeri　ないそくえん；しゃくそくえん（じょうわんこつの） Feneis: 056_16

[A02_4_04_015] →(上腕骨の内側縁は上腕骨内側にある鋭い骨縁。)

Medial supraepicondylar ridge; Medial supracondylar ridge; Medial supracondylar crest(内側顆上稜；内側上顆上稜)Crista supraecondylaris medialis; Crista supracondylaris medialis　ないそくかじょうせん；ないそくじょうかじょうりょう Feneis: 056_17

[A02_4_04_016] →(内側顆上稜は内側縁下端の角張った部分。内側上顆へ連なる。)

Supracondylar process(顆上突起；上顆上突起)Processus supracondylaris　かじょうとっき；じょうかじょうとっき Feneis: 056_18

[A02_4_04_017] →(顆上突起は系統発生的に意味がある。内側上顆の上方に顆上突起があって内側上顆と靱帯で結合され、その靱帯から円回内筋が起こり、この靱帯の下を上腕動脈と正中神経が通ることがあるというが、日本人でははなはだ少ないという。)

Lateral margin of humerus; Lateral border of humerus(外側縁；橈側縁（上腕骨の）)Margo lateralis humeri; Margo radialis humeri　がいそくえん；とうそくえん（じょうわんこつの） Feneis: 056_19

[A02_4_04_018] →(上腕骨の外側縁は上腕骨の大結節から外側上顆に至る隆線。)

Lateral supraepicondylar ridge; Lateral supracondylar ridge; Lateral supracondylar crest(外側顆上稜)Crista supraepicondylaris lateralis; Crista supracondylaris lateralis　がいそくかじょうりょう Feneis: 056_20

[A02_4_04_019] →(外側顆上稜は外側縁下端の角張った部分。外側上顆へ連なる。)

Deltoid tuberosity(三角筋粗面（上腕骨の）)Tuberositas deltoidea　さんかくきんのそめん（じょうわんこつの） Feneis: 056_21

[A02_4_04_020] →(上腕骨の三角筋粗面は上腕骨のぼほ中央外側にある粗面で三角筋がつく。)

Condyle of humerus(上腕骨顆)Condylus humeri　じょうわんこつか Feneis: 056_22

[A02_4_04_021] →(内側上顆および外側上顆の間にある下端部を全体として上腕骨顆という。)

Capitulum of humerus(上腕骨小頭)Capitulum humeri　じょうわんこつしょうとう Feneis: 056_23

[A02_4_04_022] →(上腕骨顆とは滑車の形をした上腕骨滑車と小半球状の上腕骨小頭からなる。上腕骨小頭は上腕骨の後面にはほとんど顔をだしていない。)

Trochlea of humerus(上腕骨滑車)Trochlea humeri　じょうわんこつかっしゃ Feneis: 056_24

[A02_4_04_023] →(上腕骨滑車は後面からもよく観察されるが、内側上顆の後面で上腕骨滑車のすぐそばを尺骨神経が上下に走るための浅い不明瞭な溝（尺骨神経溝）がある。)

Olecranon fossa(肘頭窩)Fossa olecrani　ちゅうとうか Feneis: 056_25

[A02_4_04_024] →(上腕骨の下端部の後面では、滑車のすぐ上方に長径３ｃｍ弱の楕円形の深いくぼみがあるが、ここは肘を伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所なので肘頭窩とよばれる。)

Coronoid fossa(鈎突窩；烏口窩)Fossa coronoidea　こうとつか；うこうか Feneis: 056_26

[A02_4_04_025] →(上腕骨の下端部の前面には肘頭窩に相当して、これよりもはるかに上腕骨滑車の上に小さい鈎突窩とうくぼみがある（肘を曲げたときに尺骨の鈎状突起がはまる）。)

Radial fossa of humerus(橈骨窩)Fossa radialis　とうこつか Feneis: 056_27

[A02_4_04_026] →(上腕骨下端部の前面に上腕骨小頭の上に橈骨窩がある（強く肘を曲げたときに橈骨頭の前の縁が入る）。)

Medial epicondyle of humerus; Medial humeral epicondyle(内側上顆；尺側上顆（上腕骨の）)Epicondylus medialis humeri; Epicondylus ulnaris humeri　ないそくじょうか；しゃくそくじょうか（じょうわんこつの） Feneis: 056_28

[A02_4_04_027] →(上腕骨の下端部では、まず内側方に内側上顆が、外側方に外側上顆が突出している。内側上顆は指先でつまめるほどのおおきな突出であるが、外側上顆の突出は軽度である。)

Groove for ulnar nerve; Ulnar nerve sulcus(尺骨神経溝)Sulcus nervi ulnaris　しゃくこつ（しゃっこつ）しんけいこう Feneis: 056_29

[A02_4_04_028] →(内側上顆の後面には縦に走る尺骨神経溝がある。尺骨神経溝は内側上顆の下から上腕骨滑車の内側面を前方に回る深い切れ込みにつづく。)

Lateral epicondyle of humerus; Lateral humeral epicondyle(外側上顆；橈側上顆（上腕骨の）)Epicondylus lateralis humeri; Epicondylus radialis humeri　がいそくじょうか；とうそくじょうか（じょうわんこつの） Feneis: 056_30

[A02_4_04_029] →(上腕骨小頭の外側にある隆起で、前腕伸筋が起こるところ。)

Radius(橈骨)Radius　とうこつ Feneis: 058_01

[A02_4_05_001] →(橈骨は前前腕の２本の骨のうち、外側の短い方にある長管状骨（男約２２ｃｍ、女約２０ｃｍ）で、上端と下端で前腕の内側（尺側または小指側）にある尺骨と関節する。下端は上端に比して著しく大きい。上端には円盤状の橈骨頭があり、円板の外周にあたる部分は尺骨の橈骨切痕と橈骨輪状靱帯に接する。また、橈骨頭の上面は浅いくぼみになっており（橈骨頭窩）、上腕骨の小頭と関節をつくる。橈骨頭のすぐ下で橈骨体に移行する部分は急に細くなってなってくびれており、橈骨頚という。橈骨体は上端を除く大部分が三角柱状で、全体として外側に弓形にまたがっており、前後および外側の３面と前後および内側の３縁が区別される。内側縁は他の２縁と異なり鋭い稜線になっており、骨間縁とよばれる。この縁と尺骨の同名縁との間には前腕骨間膜が張っている。橈骨頚のすぐ下で橈骨体の前内側には卵円形にもり上がった橈骨粗面があり、上腕二頭筋の腱が停止する。また、外側面には回内筋の停止する粗面（回内筋粗面）がある。橈骨下端の外側面には茎状突起という下方に伸びる突起があり、内側面には三角形の関節面をもった尺骨切痕があり、尺骨の関節環状面と関節をつくる。また、後面には３～４個の縦に走る溝がある。橈骨下端の下面にあるくぼみは手根関節面で中央にある弱い隆線によって内外二つの関節面に分けられている。内側の関節面には月状骨が、外側のものには舟状骨が接している。語源Radiusは一点から放散する光り、放線、転じて車輪の幅（スポーク）を意味し、この骨の形が幅に似ているところから命名された。また橈は、かい、オールを意味する。)

Head of radius(橈骨頭；橈骨小頭)Caput radii; Capitulum radii　とうこつとう；とうこつしょうとう Feneis: 058_02

[A02_4_05_002] →(橈骨頭は橈骨の上端部で円板状になっている。その上面は上腕骨小頭と関節するために浅くくぼんでいる。このくぼみの中心は円板の中心とは一致せず、やや後外側方にいずれている。橈骨頭の環状の部分すなわち円板の側面はとくに内側部が平滑で、ここは尺骨の上端部と接する関節面をなしている。)

Articular facet of head of radius(関節窩（橈骨頭の）)Fovea articularis capitis radii　かんせつか（とうこつとうの） Feneis: 058_03

[A02_4_05_003] →(橈骨頭の浅くくぼんだ上面は上腕骨小頭と関節し、関節窩といい上腕小頭をうける。)

Articular circumference of head of radius(関節環状面（橈骨頭の）)Circumferentia articularis capitis radii　かんせつかんじょうめん（とうこつとうの） Feneis: 058_04

[A02_4_05_004] →(橈骨頭の側面は尺骨の橈骨切痕と関節する関節環状面となる。)

Neck of radius(橈骨頚)Collum radii　とうこつけい Feneis: 058_05

[A02_4_05_005] →(橈骨頭のすぐ下方で円柱状の頭骨体に移行する部分はくびれているので頭骨頚とよばれる。)

Shaft of radius; Body of radius(橈骨体；橈骨幹)Corpus radii　とうこつたい；とうこつかん Feneis: 058_06

[A02_4_05_006] →(頭骨体は３面（前面、後面、外側面）と３縁（前縁、後縁、内側にある骨間縁）を有する三角柱状である。全体として内側がややへこんだゆるい弯曲を示し、下端の内側部が尺骨に向かって突出するため、特に下半分で尺骨との間隔が大きい。)

Radial tuberosity; Tuberosity of radius(橈骨粗面；橈骨結節)Tuberositas radii　とうこつそめん Feneis: 058_07

[A02_4_05_007] →(橈骨体の前面の上端には、まず橈骨頭から約２ｃｍ下方の前内側方に卵円形に隆起した橈骨粗面（上腕二頭筋が着く）がある。)

Anterior surface of radius(前面；掌側面（橈骨の）)Facies anterior radii; Facies volaris radii　ぜんめん；そうそくめん（とうこつの） Feneis: 058_08

[A02_4_05_008] →(橈骨体の前面から長母指屈筋、浅指屈筋が起こる。)

Posterior surface of radius; Posterior radial surface(後面；背側面（橈骨の）)Facies posterior radii; Facies dorsalis radii　こうめん；はいそくめん（とうこつの） Feneis: 058_09

[A02_4_05_009] →(橈骨体の後面から長母指外転筋、短母指心筋などが起こる。)

Lateral surface of radius(外側面；橈側面（橈骨の）)Facies lateralis radii; Facies radialis radii　がいそくめん；とうそくめん（とうこつの） Feneis: 058_10

[A02_4_05_010] →(橈骨体の中央部には円回内筋粗面のほか外側面の上部に回外筋がつく。)

Pronator tuberosity(回内筋粗面)Tuberositas pronatoria　かいないきんそめん Feneis: 058_11

[A02_4_05_011] →(橈骨体の外側面の中央部には円回内筋が着く円回内筋粗面がある。)

Interosseous border of radius; Interosseous margin of radius(骨間縁；骨間稜（橈骨の）)Margo interosseus; Crista interossea (Radius)　こつかんえん；こつかんりょう（とうこつの） Feneis: 058_12

[A02_4_05_012] →(骨間縁は最も薄く、鋭く突出し、ここに前腕骨間膜が着く。)

Posterior border of radius; Posterior margin of radius(後縁；背側縁（橈骨の）)Margo posterior radii; Margo dorsalis radii　こうえん；はいそくえん（とうこつの） Feneis: 058_13

[A02_4_05_014] →(橈骨の後縁は橈骨粗面から茎状突起後面にわたる橈骨の隆線。)

Anterior border of radius; Anterior margin of radius(前縁；掌側縁（橈骨の）)Margo anterior radii; Margo volaris radii　ぜんえん；しょうそくえん（とうこつの） Feneis: 058_14

[A02_4_05_013] →(橈骨の前縁は橈骨粗面から茎状突起前部にのびる橈骨体の隆線。)

Radial styloid process; Styloid process of radius(茎状突起（橈骨の）)Processus styloideus radii　けいじょうとっき（とうこつの） Feneis: 058_15

[A02_4_05_015] →(橈骨の下端部では、まずその外側面には魚の口先のような茎状突起が下方に延び出している。橈骨の茎状突起は尺骨の茎状突起より約１横指（約2cm）遠位側にある。)

Suprastyloid crest(茎状上稜；茎状突起上稜)Crista suprastyloidea　けいじょうじょうりょう；けいじょうとっきじょうりょう Feneis: 058_16

[A02_4_05_016] →(茎状上稜は橈骨の遠位で、外側縁が茎状突起にまでつづく部分で腕橈骨筋が付着する。)

Dorsal tubercle of radius; Dorsal radial tubercle(背側結節（橈骨の）)Tuberculum dorsale　はいそくけっせつ（とうこつの）Lister's tubercle Feneis: 058_17

[A02_4_05_017] →(橈骨遠位端背側にある結節。その尺側に長母指伸筋腱溝が位置する。英国の外科医Lord Joseph Lister (1827-1912)によって記載された。彼は近代の無菌的手術法の創始者とされる。)

Groove for extensor muscle tendons(伸筋腱溝)Sulci tendinum musculorum extensorum　しんきんけんこう Feneis: 058_18

[A02_4_05_018] →(橈骨の下端の前面はやや陥凹し滑らかであるが、後面には数個の高まりがあり、その間の伸筋腱溝には伸筋腱が通る。)

Ulnar notch of radius(尺骨切痕)Incisura ulnaris　しゃくこつ（しゃっこつ）せっこん Feneis: 058_19

[A02_4_05_019] →(橈骨の下端部の内側面には三角形の浅いくぼみである尺骨切痕が尺骨の下端部と関節するための関節面を作っている。)

Carpal articular surface of radius(手根関節面（橈骨の）)Facies articularis carpalis radii; Facies articularis carpea　しゅこんかんせつめん（とうこつの） Feneis: 058_20

[A02_4_05_020] →(手根関節面には縦走する弱い高まりがあって内外２部に分かれ、内側部は月状骨に、外側部は舟状骨に対する。)

Ulna(尺骨)Ulna　しゃくこつ（しゃっこつ） Feneis: 058_21

[A02_4_06_001] →(橈骨と並んで前腕の内側（小指側）にある長管状骨（男約24cm、女21～22cm）で、上下の両端と体が区分される。この骨は橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細い。上端には前上方から深く切れ込んだ滑車切痕があって上腕骨滑車と関節する。滑車切痕の中央には上腕骨の滑車のくぼみに対応する弱い高まりが縦に走っている。滑車切痕の下端は前方に付きだして鈎状突起となり、切痕の後面は著しく肥厚して肘頭を形づくっている。また、滑車切痕の下外側には橈骨切痕があり、橈骨の関節輪状面に接する。橈骨体は橈骨の骨間部でゆるくＳ状に弯曲しており、前面には、滑車切痕のすぐ下に尺骨粗面がある。橈骨切痕の下縁から下方に向かう高まりは回外筋の起始するところである（回外筋稜）。橈骨体には前後および外側の３縁と前後内側の３面が区別出来るが、外側縁は鋭く外側へ張り出し、骨間縁とよばれる。尺骨の下端は小さな鈍円状のふくらみになっていていて尺骨頭の外周には橈骨の尺骨粗面と関節をつくる関節環状面がある。また、尺骨下端の内側面には茎状突起という細くて小さな突起がみられる。語源はギリシャ語のOlein（ヒジ）に由来する。また、Olecranon（肘頭）はOleinのcranon（頭）という意味である。)

Olecranon of ulna(肘頭；尺骨頭)Olecranon　ちゅうとう；しゃくこつとう Feneis: 058_22

[A02_4_06_002] →(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)

Coronoid process of ulna(鈎状突起；烏口突起（尺骨の）)Processus coronoideus (Ulnae)　こうじょうとっき；うこうとっき（しゃくこつの） Feneis: 058_23

[A02_4_06_003] →(尺骨の滑車切痕の下端は前方に突き出て、鈍三角状の鈎状突起となっている。)

Tuberosity of ulna; Ulnar tuberosity(尺骨粗面)Tuberositas ulnae　しゃくこつ（しゃっこつ）そめん Feneis: 058_24

[A02_4_06_004] →(鈎状突起のすぐ下方の前面には尺骨粗面とよばれる粗面が倒立三角形のように広がっている（上腕筋の付着部）)

Trochlear notch; Semilunar notch(滑車切痕；半月切痕)Incisura trochlearis; Incisura semilunaris　かっしゃせっこん；はんげつせっこん Feneis: 058_26

[A02_4_06_006] →(尺骨の上端部は大きなくぼみが滑車切痕で、上腕骨の滑車がはまり込む関節面である。)

Radial notch of ulna(橈骨切痕)Incisura radialis　とうこつせっこん Feneis: 058_25

[A02_4_06_005] →(尺骨の鈎状突起の外側にややくぼんだ橈骨切痕があり、ここに橈骨頭の環状関節面が連結する。)

Shaft of ulna; Body of ulna(尺骨体；尺骨幹)Corpus ulnae　しゃくこつ（しゃっこつ）たい Feneis: 058_27

[A02_4_06_007] →(尺骨の骨幹をなす尺骨体は全体としてＳ字状に軽く弯曲し、下方にいくにしたがって橈骨体から離れ、下ほど細い三角柱状で、前後および外側の３縁と前後内側の前面がある。前縁は鈍く、後縁はやや鋭く上端は左右に分かれる。外側の縁は最も鋭い骨間縁で、橈骨の同名の縁に対向する（両者の間に前腕骨間膜が着く）。前面には深指屈筋の起こるくぼみおよび粗面がある。)

Anterior surface of ulna(前面；掌側面（尺骨の）)Facies anterior ulnae; Facies volaris ulnae　ぜんめん；しょうそくめん（しゃくつの） Feneis: 058_28

[A02_4_06_008] →(尺骨の前面には深指屈筋の起こるくぼみおよび粗面がある。また、浅屈筋の一部、尺側手根屈筋が発着する。)

Posterior surface of ulna; Posterior ulnar surface(後面；背側面（尺骨の）)Facies posterior ulnae; Facies dorsalis ulnae　こうめん；はいそくめん（しゃくこつの） Feneis: 058_29

[A02_4_06_009] →(尺骨の後面には肘筋、尺側手根伸筋、長母指外転筋、示指伸筋が発着する。後面では、茎状突起と関節環状面の間に尺側手根筋が通る深い溝がある。また、下面では茎状突起と尺骨頭下面の関節面との間に粗なくぼみがある。ここに橈骨の尺骨切痕の下縁からおこり、尺骨頭と手根骨を隔てる関節円板が着く。)

Medial surface of ulna; Medial ulnar surface(内側面；尺側面（尺骨の）)Facies medialis ulnae; Facies ulnaris ulnae　ないそくめん；しゃくそくめん（しゃくつの） Feneis: 058_30

[A02_4_06_010] →(尺骨の内側面には深指屈筋の一部などが発着する。)

Interosseous border of ulna; Interosseous margin of ulna; Ulnar interosseous margin(骨間縁；骨間稜（尺骨の）)Margo interosseus; Crista interossea (Ulna)　こつかんえん；こつかんりょう（しゃくこつの） Feneis: 058_31

[A02_4_06_011] →(尺骨体の外側の縁は最も鋭い骨間縁で、橈骨の同面の縁に対向する（両者の間に前腕骨間膜が着く）。)

Anterior border of ulna; Anterior margin of ulna; Anterior ulnar margin(前縁；掌側縁（尺骨の）)Margo anterior ulnae; Margo volaris ulnae　ぜんえん；しょうそくえん（しゃくつの） Feneis: 058_33

[A02_4_06_012] →(尺骨の前縁は鈍く上端は左右に分かれる。)

Posterior border of ulna; Posterior margin of ulna(後縁；背側縁（尺骨の）)Margo posterior ulnae; Margo dorsalis ulnae　こうえん；はいそくえん（しゃくこつの） Feneis: 058_32

[A02_4_06_013] →(尺骨の後縁はやや鋭く上端は左右に分かれる。)

Supinator crest(回外筋稜)Crista musculi supinatoris　かいがいきんりょう Feneis: 058_34

[A02_4_06_014] →(尺骨の橈骨切痕の後縁から下方に向かい回外筋稜がはしる（この稜とその前で頭湖切痕の下にある粗な凹面とから回外筋が起こる）。)

Head of ulna(尺骨頭；尺骨小頭)Caput ulnae; Capitulum ulnae　しゃくこつ（しゃっこつ）とう；しゃくこつしょうとう Feneis: 058_35

[A02_4_06_015] →(尺骨の下端部は貧弱な鈍円状の尺骨頭という膨らみで終わる。尺骨では頭とよばれる部分が下端にある。)

Articular circumference of ulna; Ulnar articular circumference(関節環状面（尺骨の）)Circumferentia articularis capitis ulnae　かんせつかんじょうめん（しゃくこつの） Feneis: 058_36

[A02_4_06_016] →(尺骨頭の外側半分の周囲は橈骨の方に向かって少し突出し、橈骨の尺骨切痕に対向する関節環状面となる。関節環状面に相当する尺骨頭下面の外側の半円部は手根の骨との間に介在する関節円板に対向する関節面となる。)

Ulnar styloid process; Styloid process of ulna(茎状突起（尺骨の）)Processus styloideus ulnae　けいじょうとっき（しゃくこつの） Feneis: 058_37

[A02_4_06_017] →(尺骨の下端の内側端から下方に細い茎状突起が突出する。)

Bones of hand(手の骨)Ossa manus　てのほね Feneis: 060_01

[A02_4_07_001] →(手の骨は手根骨・中手骨・手指骨の３群に分けられる。)

Carpal bones(手根骨)Ossa carpi; Ossa Carpalia　しゅこんこつ Feneis: 060_02

[A02_4_08_001] →(手根をつくる手根骨には８個の短骨があり、４個の近位列と４個の遠位列に分けられる。近位列の手根骨（[JNA]Ossa carpi proximalis：近位手根骨）は舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨であり、遠位列の手根骨（[JNA]Ossa carpi distalis：遠位手根骨）は大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨であって、それぞれこの順に外側（拇指側）から内側（小指側）へ並んでいる。手根骨は掌側面（前面）と背側面（後面）にある多数の靱帯によって互いに結合されているので、その表面は粗である。互いに対向する面、および前腕骨と中手骨に向かう面の大部分は関節軟骨に被われる滑らかな面であるが、小部分は靱帯が着く粗な面となっている。舟状骨は舟のような形をした楕円形の骨で四つの関節面が見られる。遠位端の掌側面に舟状骨結節がある。月状骨は半月状をした骨で、近位骨端は凸面、遠位骨端は凹面である。四つの関節面がある。三角骨は三角錐状の骨で掌側に豆状骨をのせている。豆状骨は本来、尺側手根屈筋の腱に由来する種子骨で、卵円形の骨の背側面に三角骨と接する関節面がある。大菱形骨は不等辺六面体状をしていて掌側面外側に大菱形骨結節がある。小菱形骨は大菱形骨によく似た形をしているが、大菱形骨より小さい。有頭骨は手根骨中でもっとも大きく、半球状の頭を舟状骨と月状骨の間へ突き出している。有鈎骨は掌側面に有鈎骨鈎とよばれる突起をもっており、突起の尖たったやや外側にまたがっている。手根骨は互いに連絡して手根をつくるが、手根は手背側に凸に弯曲し、手掌側はへこんでいる。手掌側のへこみの両側には舟状骨結節と大菱形骨結節でつくられた外側の手根隆起と豆状骨と有鈎骨鈎によってつくられた内側の手根隆起があり、手掌面のへこみを強調している。)

Os centrale(中心骨；手根中心骨)Os centrale; Os centrale carpi　ちゅうしんこつ；しゅこんちゅうしんこつ Feneis: 060_03

[A02_4_08_002] →(舟状骨、小菱形骨および有頭骨の間に独立した小骨が存在することがあり、これを中心骨という。)

Scaphoid bone(舟状骨（手の）)Os scaphoideum; Os naviculare manus　［ての］しゅうじょうこつ；しゅしゅうじょうこつ Feneis: 060_04

[A02_4_08_003] →(手の舟状骨は手根の近位列の最大の骨で、外側（橈側）にある。橈骨、月状骨、有頭骨、大菱形骨、小菱形骨と関節する。上面（近位面）は橈骨に向かう凸な、下面（遠位面）は有頭骨に向かう凹な関節面で大部分を占められ下外側端に大小菱形骨に対する関節面がある。)

Tubercle of scaphoid bone(舟状骨結節)Tuberculum ossis scaphoidei; Tuberculum ossis navicularis　しゅうじょうこつけっせつ Feneis: 060_05

[A02_4_08_004] →(手の舟状骨の外側（母指側）部は肥大し、その前面（掌側面）に鈍円な舟状骨結節がある。)

Lunate bone(月状骨)Os lunatum　げつじょうこつ Feneis: 060_06

[A02_4_08_005] →(月状骨は手根の近位列の骨で、舟状骨および三角骨の間にある。上面は橈骨（外側）と関節円板（内側）に向かう凸の、下面は有頭骨に向かい凹の関節面となり、側面からみると半月形で、そこには隣接の舟状骨と三角骨に対する関節面がある。)

Triquetrum bone; Triquetral bone(三角骨)Os triquetrum　さんかくこつ Feneis: 060_07

[A02_4_08_006] →(三角骨は月状骨、有鈎骨、豆状骨の間にはまって下内側（小指側）に向かってやや尖った三角錐体状である。有鈎骨に向かう面は軽度に鞍状である。)

Pisiform bone(豆状骨)Os pisiforme　ずじょうこつ；とうじょうこつ Feneis: 060_08

[A02_4_08_007] →(豆状骨は尺側手根屈筋腱のなかの半球状の種子骨である。三角骨に向く側に関節面がある。)

Trapezium bone(大菱形骨；大多角骨)Os trapezium; Os multangulum majus　だいりょうけいこつ；だいたかくこつ Feneis: 060_09

[A02_4_08_008] →(大菱形骨は第一中手骨と舟状骨の間にある。大きな下端には第１中手骨に対向する内外方向に凹、掌背方向に凸の鞍状の関節がある。内側（小指側）面の一部で第２中手骨にも向かう。内側面のそれより後は小菱形骨がはまる深い凹面となる。)

Tubercle of trapezium; Trapezial tubercle(大菱形骨結節；大多角骨結節)Tuberculum ossis trapezii; Tuberculum ossis multanguli majoris　だいりょうけいこつけっせつ；だいたかくこつけっせつ Feneis: 060_10

[A02_4_08_009] →(前面内側に大菱形骨結節が突出し、屈筋支帯の表層部が着く。その内側に沿うて橈側手根屈筋腱が通る溝がある。上端は舟状骨に対する前後方向にややくぼんだ面である。)

Trapezoid bone(小菱形骨；小多角骨)Os trapezoideum; Os multangulum minus　しょうりょうけいこつ；しょうたかくこつ Feneis: 060_11

[A02_4_08_010] →(小菱形骨は舟状骨、大菱形骨、有頭骨、第２中手骨の間にはさまり、周囲にこれらの骨に対する関節面を持ち、掌背方向を向く小さな角柱状である。)

Capitate bone(有頭骨)Os capitatum　ゆうとうこつ Feneis: 060_12

[A02_4_08_011] →(有頭骨の最大の手根骨で、上端は舟状骨と月状骨に対する半球状の関節面を有する頭部（[JNA]Caput ossis capitati有頭骨頭）をなし、この部が全手根骨の中央に位置する。下端は大きく、稜線で内外２部に分かれる三角形の関節面によって第２、３中手骨に対し、その内側縁は第４中手骨にも接する。)

Hamate bone(有鈎骨)Os hamatum　ゆうこうこつ Feneis: 060_13

[A02_4_08_012] →(有鈎骨は第４、５中手骨に対する不正な鞍状の関節面を底として上方に尖る三角形である。掌側面の内側端から掌側に有孔骨鈎が突出する。内上面は三個角骨にする鞍状の関節面で占められる。)

Hook of hamate(有鈎骨鈎)Hamulus ossis hamati　ゆうこうこつこう Feneis: 060_14

[A02_4_08_013] →(有鈎骨掌側面の内側端から掌側に有孔骨鈎が突出する。)

Carpal groove(手根溝)Sulcus carpi　しゅこんこう Feneis: 060_15

[A02_4_08_014] →(手根は全体として背側は凸弯し、掌側は内側縁と外側縁がとくに高くなるので、中央が溝状にくぼむ。これは手根骨が近位裂および遠位裂においてそれぞれアーチ上に並んでいるためである。内側の隆起（[JNA]Eminentia carpi ulnaris尺側手根隆起）は豆状骨と有鈎骨鈎、外側の隆起([JNA]Eminentia carpi radialis橈側手根隆起）は舟状骨結節と大菱形骨結節が堤防状に掌側に隆起している。そのため手根の掌側では中央に溝状の深いくぼみである手根溝を生じている。生体では、内側縁と外側縁の隆起の間を強い靱帯（屈筋支帯）が橋渡しして、手根溝は手根管というトンネルになり、指に行く腱の通路となっている。)

Metacarpals; Metacarpal bones [I-V](中手骨[1-5])Ossa metacarpi; Ossa metacarpalia [I-V]　ちゅうしゅこつ[1-5] Feneis: 060_16

[A02_4_09_001] →(中手骨は手根骨の遠位にある５本の細長い管状骨である。第１中手骨が最も短いが、最も太い。最も長いのは第２中手骨で、ついで第３、第４、第５中手骨の順に短い。中手骨には頭・底・体の３部が区別できるが底は中手骨の近位端で太く、手根骨との関節面をもっている。関節面の形は中手骨によって異なり、第１中手骨は鞍状に凸、第２中手骨では中央にくぼみがみられ、第３、第４中手骨では平らである。第５中手骨では不完全な鞍状を呈する。体は後面に向かってゆるく弯曲していて底および頭より細いので、となりあう中手骨の間に中手骨間隙ができる。頭はまるく大きく、基節骨底に接する関節面がある。第３中手骨底の背面外側には小さな突起がみられ、第３中手骨の茎状突起という。)

Base of metacarpal bone(中手骨底)Basis ossis metacarpi　ちゅうしゅこつてい Feneis: 060_17

[A02_4_09_002] →(底には手根骨に面する関節面があるが、この面の性状はそれぞれの中手骨で異なる。すなわちこの関節面は第１中手骨では内外方向に鞍状の凸面、掌背方向に凹の双曲面状である。第２中手骨の関節面はことに大きく、大菱形骨、小菱形骨および有頭骨に対向し、その中央には小菱形骨の隆起に適合する溝状のくぼみがある。第３・４中手骨ではほぼ平坦で、第５中手骨では不完全な鞍状になっている。これらの違いは、そのまま各中手骨の運動性の差として現れる。また第２～５中手骨底の互いに向き合う側面には、中手骨同士が連結するための細長い平坦な関節面が見える。第４，５の対向面以外は掌、背側に完全、または不完全に分離している。)

Shaft of metacarpal bone; Body of metacarpal(中手骨体；中手骨幹)Corpus ossis metacarpi　ちゅうしゅこつたい；ちゅうしゅこつかん Feneis: 060_18

[A02_4_09_003] →(体は前面（掌側面）が浅くくぼむゆるい弯曲をつくる。体は底および頭よち細いので、隣の中手のとの間に中手間隙ができる（ここは掌側および背側骨間筋でみたされる）。体の背側面はとくに遠位部で扁平となり、一方、掌側面の中央には縦走する隆起があるので、体の断面は三角形に近い（内外から圧平された形の中足骨とおおきく異なる点である）。)

Head of metacarpal bone(中手骨頭；中手骨小頭)Caput ossis metacarpi; Capitulum ossis metacarpi　ちゅうしゅこつとう；ちゅうしゅこつしょうとう Feneis: 060_19

[A02_4_09_004] →(頭はまるく大きく球状に近いが、その内外側が大きく削がれている。表面の基節骨底に対する関節面は掌側の部分がより近位まで及び、かつ、幅もやや広い。)

Third metacarpal bone; 3rd metacapal bone[III](第三中手骨)Os metacarpale III　だい３ちゅうしゅこつ

[A02_4_09_001_3]

Styloid process of third metacarpal [III](茎状突起（第3中手骨の）)Processus styloideus ossis metacarpi tertii [III]　けいじょうとっき（だい３ちゅうしゅこつの） Feneis: 060_20

[A02_4_09_005] →(第３中手骨底の後面外側端には上（近位）方に突出する茎状突起がある。)

Phalanx of hand; Phalanges of hand(指骨；指節骨（手の）)Ossa digitorum; Phalanges　しこつ；しせつこつ（ての） Feneis: 060_21

[A02_4_10_001] →(片手には５本の指を支える１４個の小管状骨がある。母指では２個、第２～第５指には３個ずつあり、近位のものから順に基節骨、中節骨、末節骨という。母指の場合は中節骨が欠ける（母指の末節骨は本来の末節骨に中節骨が癒合したものともいわれる）。どの指の骨も底・体・頭の３部を区別する。基節骨は指骨の中で最も長く、底には中手骨頭に対応するややへこんだ関節面がある。また、頭には滑車状の関節面がある。中節骨は基節骨より小さいが、基本的にはよく似た形をしている。中節骨底の関節面は浅いくぼみになっているが、その中央に高まりがみらえる。末節骨は中節骨よりさらに小さく、底には中節骨頭に対する関節面がある。また、近位端はややふくれたのち急に細くなって終わる。遠位端の掌側面には深指屈筋のつく末節骨粗面がある。)

Proximal phalanx of hand(基節骨（手の）)Phalanx proximalis manus　きせつこつ（ての） Feneis: 060_22

[A02_4_10_002] →(基節骨は掌側は平らで、手背側は横方向に凸をなし、屈筋の線維性腱鞘が付着するためのとがった粗な角をもっている。基節骨には体があり、遠位には頭、近位には底がある。頭はまた頭の関節面は滑車状になっている（滑車ともいわれる）。底には横長の卵円形のくぼんだ関節面があり、中手骨と関節でもって連結している。基節骨は第３指のものが最もながい。)

Middle phalanx of hand(中節骨（手の）)Phalanx media manus　てのちゅうせつこつ Feneis: 060_23

[A02_4_10_003] →(手の中節骨は基節骨を小型にしたようなものであるが、近位端すなわち底の関節面はくぼみの中央に軽い高まりがある。中節骨の長さは第３指と第４指のものがほぼ同長で最も長く、第２指のものがこれに次ぎ、第５指のものは最も短い。第５指の中節骨は時として極端に短く、末節骨よりも短いことすらある。このような以上を中節短小症と呼ぶ。)

Distal phalanx of hand(末節骨（手の）)Phalanx distalis manus　まつせつこつ（ての） Feneis: 060_24

[A02_4_10_004] →(手の末節骨の特徴は、小型であるほか、尖端がややふくれたのちに細く終わり、遠位端に関節面がないことである。遠位端の掌側面には馬蹄形をした粗面がみられる。この粗面は深指屈筋腱が付着するためのものである。)

Tuberosity of distal phalanx of hand(末節骨粗面；爪粗面（手の）)Tuberositas phalangis distalis manus; Tuberositas unguicularis　まつせつこつそめん；そうそめん（ての） Feneis: 060_25

[A02_4_10_005] →(手の末節骨の尖端はややふくれて関節面を欠き、末節骨粗面がある。)

Base of phalanx of hand(底［指節骨］（手の）)Basis phalangis manus　てい［しせつこつ］（ての） Feneis: 060_26

[A02_4_10_006] →(手の指節骨の底には近位の骨に対するくぼんだ関節面がある。基節骨のものは中手骨頭に適合する楕円形の凹面であるが、中および末節骨のものにはその中央に基または中節骨頭のくぼみに対する縦の隆起がある。)

Shaft of phalanx of hand; Body of phalanx of hand(指節骨体；指節骨幹)Corpus phalangis manus　しせつこつのたい；しえつこつかん Feneis: 060_27

[A02_4_10_007] →(手の指節骨の体は掌側面が扁平、背側面がゆるく隆起してその断面は半球状であり、かつ、全体として掌側に軽く弯曲する。)

Head of phalanx of hand(頭［指節骨］（手の）)Caput phalangis manus　とう［しせつこつ］（ての） Feneis: 060_28

[A02_4_10_008] →(手の指節骨の頭は基節骨と中節骨では縦の溝をもった滑車状で、関節面を帯びる。)

Trochlea of phalanx of hand(指節滑車（手の）)Trochlea phalangis manus　しせつかっしゃ；しせつこつのかっしゃ（ての） Feneis: 060_29

[A02_4_10_009] →(基節骨と中節骨の頭では縦の溝をもった滑車状をなしている。)

Sesamoid bones of hand(種子骨（手の）)Ossa sesamoidea manus　しゅしこつ（ての） Feneis: 060_30

[A02_4_11_001] →(手の種子骨は第１中手指節関節掌側面の両側、まれに第２中手指節関節の母指側、第５中手指節関節の小指側に小さな種子骨をみる。)