318_00【Elbow joint肘関節 Articulatio cubiti】 Joint formed by the humerus, radius, and ulna. →(肘関節は上腕骨と橈骨、尺骨の3骨の間に生じた複関節で、肘の屈伸を行う。したがって分類状は1軸性の蝶番関節とみることができる。上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕との間の腕尺関節、上腕骨小頭と橈骨頭との間の腕橈切痕との間の上頭尺関節が共通の関節包におおわれる。しかし後者は機能的には下橈尺関節とともに前腕の回旋に関係するので、前2者とは別に記載するのが通例である。上腕骨の内側および外側上顆は関節包におおわれない。関節包の内側と外側はそれぞれ内側側副靱帯および外側側副靱帯によって補強される。橈骨輪状靱帯は、関節包の内面が肥厚した幅約1cmの靱帯で、尺骨の橈骨切痕の前縁からおこり、橈骨の関節環状面を輪状にとりまいたのち、再び尺骨の橈骨切痕の後縁につく。この靱帯の関節腔に面した部分は軟骨性となり、尺骨の橈骨切痕とともに上橈尺関節における関節窩を形成する。肘関節における屈伸運動の役割を演ずるのは腕尺関節である。しかし上腕骨滑車の内側部の直径が外側部のそれよりやや大きいため、肘を伸ばすと、その時の尺骨の長軸は、上腕骨長軸よりも外方へ約10~20°の傾きを示す。この角をcarrying angleという。しかし肘を曲げたときは、両骨の長軸は重なり合う。)
318_01【Coronoid fossa鈎突窩;烏口窩 Fossa coronoidea】 Depression on the anterior aspect of the humerus proximal to the trochlea that receives the coronoid process of the ulna during elbow flexion. →(上腕骨の下端部の前面には肘頭窩に相当して、これよりもはるかに上腕骨滑車の上に小さい鈎突窩とうくぼみがある(肘を曲げたときに尺骨の鈎状突起がはまる)。)
318_02【Trochlea of humerus上腕骨滑車 Trochlea humeri】 Cylindrical projection on the condyle for articulation with the ulna. →(上腕骨滑車は後面からもよく観察されるが、内側上顆の後面で上腕骨滑車のすぐそばを尺骨神経が上下に走るための浅い不明瞭な溝(尺骨神経溝)がある。)
318_03【Coronoid process of ulna鈎状突起;烏口突起(尺骨の) Processus coronoideus (Ulnae)】 Projection at the anterior end of the trochlear notch. →(尺骨の滑車切痕の下端は前方に突き出て、鈍三角状の鈎状突起となっている。)
318_04【Radius橈骨 Radius】 One of the two bones of the forearm. It is lateral to the ulna. →(橈骨は前前腕の2本の骨のうち、外側の短い方にある長管状骨(男約22cm、女約20cm)で、上端と下端で前腕の内側(尺側または小指側)にある尺骨と関節する。下端は上端に比して著しく大きい。上端には円盤状の橈骨頭があり、円板の外周にあたる部分は尺骨の橈骨切痕と橈骨輪状靱帯に接する。また、橈骨頭の上面は浅いくぼみになっており(橈骨頭窩)、上腕骨の小頭と関節をつくる。橈骨頭のすぐ下で橈骨体に移行する部分は急に細くなってなってくびれており、橈骨頚という。橈骨体は上端を除く大部分が三角柱状で、全体として外側に弓形にまたがっており、前後および外側の3面と前後および内側の3縁が区別される。内側縁は他の2縁と異なり鋭い稜線になっており、骨間縁とよばれる。この縁と尺骨の同名縁との間には前腕骨間膜が張っている。橈骨頚のすぐ下で橈骨体の前内側には卵円形にもり上がった橈骨粗面があり、上腕二頭筋の腱が停止する。また、外側面には回内筋の停止する粗面(回内筋粗面)がある。橈骨下端の外側面には茎状突起という下方に伸びる突起があり、内側面には三角形の関節面をもった尺骨切痕があり、尺骨の関節環状面と関節をつくる。また、後面には3~4個の縦に走る溝がある。橈骨下端の下面にあるくぼみは手根関節面で中央にある弱い隆線によって内外二つの関節面に分けられている。内側の関節面には月状骨が、外側のものには舟状骨が接している。語源Radiusは一点から放散する光り、放線、転じて車輪の幅(スポーク)を意味し、この骨の形が幅に似ているところから命名された。また橈は、かい、オールを意味する。)
318_05【Humerus上腕骨 Humerus】 The bone of the upper arm. →(上腕骨は典型的な長管状骨であるが、上端は半球状にふくらんで上内側を向き、下端は前後に扁平である。上端の半球状の部分は大きな関節面で上腕骨頭といい、その基部の周囲にある浅いくびれを解剖頚という。上腕骨頭の前外側には2個の隆起があり、口蓋側のものを大結節、前内側のものを小結節という。両結節の下部はともに下方へ細長く延び出して、それぞれ大結節稜および小結節稜を作っている。大小の結節および結節稜の間には上下に走る溝があり、結節間溝という。大小稜結節のすぐ下で、上腕骨体に移行する部位は骨折を起こしやすく外科頚とよばれる。上腕骨体は上腕骨の大部分を占める骨幹の部分で、上半は円柱状、下半は三角柱状であり、下端は前後に扁平である。上腕骨体の外側面には、第毛節稜のすぐ下からはじまり、上腕骨体の中央に達する三角筋粗面がある。この粗面の後下方には橈骨神経溝という浅い溝があり、上腕骨体の後面を状内側から下外側に向かってラセン状に走っている。上腕骨の下端部は著しく扁平に広がり、内側方に内側上顆、外側方に外側上顆が突き出しており、内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。この二つの上顆の間には前腕の骨と連結する上腕骨窩があり、内側の上腕骨滑車と外側の上腕骨小頭に区別される。前者は中央が浅くくぼんだ円柱状で尺骨の滑車切痕と関節をつくり、後者は小半球状で橈骨頭窩に面している。上腕骨下端部前面には二つのくぼみがあり、滑車の上方にあるものを鈎突窩、小頭の上方にあるものを橈骨窩という。これは肘を強くまげたときに尺骨の鈎状突起および橈骨頭がはまりこむところである。また、後面には滑車のすぐ上方に楕円形の深いくぼみがあり肘頭窩という。これは肘をまっすぐに伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所である。鈎突窩と肘頭窩はうすい骨質をはさんで前後面から互いに相接しているが、このうすい骨質に孔があいていることがあり、これを滑車上孔という。内側上顆の上方にはまれに小さい突起がみられることがあり、これを顆上突起という。顆上突起と内側上顆の間には靱帯が張り、その間を正中神経が通過する。また、この靱帯からは円回内筋の一部がおこる。)
318_06【Olecranon fossa肘頭窩 Fossa olecrani】 Deep concavity above the trochlea on the posterior aspect of the humerus that receives the olecranon during elbow extension. →(上腕骨の下端部の後面では、滑車のすぐ上方に長径3cm弱の楕円形の深いくぼみがあるが、ここは肘を伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所なので肘頭窩とよばれる。)
318_07【Articular capsule of elbow joint関節包(肘関節の) Capsula articularis cubiti】 →()
318_08【Olecranon of ulna肘頭;尺骨頭 Olecranon】 Proximal, posterior end of the ulna. Attachment site of the triceps brachii muscle. →(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)
318_10【Oblique cord of interosseous membrane of forearm斜索(前腕骨間膜の) Chorda obliqua membranae interossei antebrachii】 Fibrous ligament that extends from the tuberosity of the ulna obliquely distalward to the radius. It runs opposite to most of the fibers of the interosseous membrane. →(前腕骨間膜より上には尺骨粗面から外下方へ斜めに走って橈骨粗面の少し下方に至る斜索があり、これと前腕骨間膜との間の骨間裂孔は背側骨間動脈の通路である。)