317_00【Elbow joint肘関節 Articulatio cubiti】 Joint formed by the humerus, radius, and ulna. →(肘関節は上腕骨と橈骨、尺骨の3骨の間に生じた複関節で、肘の屈伸を行う。したがって分類状は1軸性の蝶番関節とみることができる。上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕との間の腕尺関節、上腕骨小頭と橈骨頭との間の腕橈切痕との間の上頭尺関節が共通の関節包におおわれる。しかし後者は機能的には下橈尺関節とともに前腕の回旋に関係するので、前2者とは別に記載するのが通例である。上腕骨の内側および外側上顆は関節包におおわれない。関節包の内側と外側はそれぞれ内側側副靱帯および外側側副靱帯によって補強される。橈骨輪状靱帯は、関節包の内面が肥厚した幅約1cmの靱帯で、尺骨の橈骨切痕の前縁からおこり、橈骨の関節環状面を輪状にとりまいたのち、再び尺骨の橈骨切痕の後縁につく。この靱帯の関節腔に面した部分は軟骨性となり、尺骨の橈骨切痕とともに上橈尺関節における関節窩を形成する。肘関節における屈伸運動の役割を演ずるのは腕尺関節である。しかし上腕骨滑車の内側部の直径が外側部のそれよりやや大きいため、肘を伸ばすと、その時の尺骨の長軸は、上腕骨長軸よりも外方へ約10~20°の傾きを示す。この角をcarrying angleという。しかし肘を曲げたときは、両骨の長軸は重なり合う。)
317_01【Humerus上腕骨 Humerus】 The bone of the upper arm. →(上腕骨は典型的な長管状骨であるが、上端は半球状にふくらんで上内側を向き、下端は前後に扁平である。上端の半球状の部分は大きな関節面で上腕骨頭といい、その基部の周囲にある浅いくびれを解剖頚という。上腕骨頭の前外側には2個の隆起があり、口蓋側のものを大結節、前内側のものを小結節という。両結節の下部はともに下方へ細長く延び出して、それぞれ大結節稜および小結節稜を作っている。大小の結節および結節稜の間には上下に走る溝があり、結節間溝という。大小稜結節のすぐ下で、上腕骨体に移行する部位は骨折を起こしやすく外科頚とよばれる。上腕骨体は上腕骨の大部分を占める骨幹の部分で、上半は円柱状、下半は三角柱状であり、下端は前後に扁平である。上腕骨体の外側面には、第毛節稜のすぐ下からはじまり、上腕骨体の中央に達する三角筋粗面がある。この粗面の後下方には橈骨神経溝という浅い溝があり、上腕骨体の後面を状内側から下外側に向かってラセン状に走っている。上腕骨の下端部は著しく扁平に広がり、内側方に内側上顆、外側方に外側上顆が突き出しており、内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。この二つの上顆の間には前腕の骨と連結する上腕骨窩があり、内側の上腕骨滑車と外側の上腕骨小頭に区別される。前者は中央が浅くくぼんだ円柱状で尺骨の滑車切痕と関節をつくり、後者は小半球状で橈骨頭窩に面している。上腕骨下端部前面には二つのくぼみがあり、滑車の上方にあるものを鈎突窩、小頭の上方にあるものを橈骨窩という。これは肘を強くまげたときに尺骨の鈎状突起および橈骨頭がはまりこむところである。また、後面には滑車のすぐ上方に楕円形の深いくぼみがあり肘頭窩という。これは肘をまっすぐに伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所である。鈎突窩と肘頭窩はうすい骨質をはさんで前後面から互いに相接しているが、このうすい骨質に孔があいていることがあり、これを滑車上孔という。内側上顆の上方にはまれに小さい突起がみられることがあり、これを顆上突起という。顆上突起と内側上顆の間には靱帯が張り、その間を正中神経が通過する。また、この靱帯からは円回内筋の一部がおこる。)
317_02【Articular capsule of elbow joint関節包(肘関節の) Capsula articularis cubiti】 →()
317_03【Medial epicondyle of humerus; Medial humeral epicondyle内側上顆;尺側上顆(上腕骨の) Epicondylus medialis humeri; Epicondylus ulnaris humeri】 Protuberance that gives origin to the flexor muscles of the forearm. →(上腕骨の下端部では、まず内側方に内側上顆が、外側方に外側上顆が突出している。内側上顆は指先でつまめるほどのおおきな突出であるが、外側上顆の突出は軽度である。)
317_04【Ulnar collateral ligament of elbow joint内側側副靱帯;尺側側副靱帯(肘関節の) Ligamentum collaterale ulnare】 Triangular plate of fibers, the apex of which is directed superiorly. It is situated on the medial aspect of the arm between the humerus and ulna. →(内側側副靱帯は上腕骨内側上顆から起こり、三角形に拡がる。前方の部は尺骨の鈎状突起へ、後方の部は肘頭の内側縁に着く。中央の部は扇状に拡がりながら滑車切痕の内側縁に至り、少し薄いが、前方部と後方部の付着部を結ぶ横の線維(Cooperの靱帯ともいう)で強められる。)
317_05【Lateral epicondyle of humerus; Lateral humeral epicondyle外側上顆;橈側上顆(上腕骨の) Epicondylus lateralis humeri; Epicondylus radialis humeri】 Protuberance located lateral to the head of the humerus that gives origin to the extensor muscles of the forearm. →(上腕骨小頭の外側にある隆起で、前腕伸筋が起こるところ。)
317_06【Olecranon of ulna肘頭;尺骨頭 Olecranon】 Proximal, posterior end of the ulna. Attachment site of the triceps brachii muscle. →(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)