466
- 466_01【Coracoid process of scapula烏口突起 Processus coracoideus】 Hooked process that projects anteriorly from the superior border of the scapula just lateral to the suprascapular notch. Attachment site of the pectoralis minor muscle and origin of the short head of the biceps brachii and coracobrachialis muscles.
→(肩甲切痕と関節窩の間には、烏の嘴のように折れ曲がった烏口突起が前外側方に突出している。烏口突起は烏口腕筋と上腕二頭筋(の短頭)が起こり、また小胸筋が付くための突起である。Koraxというギリシャ語は烏(または烏の嘴ように曲がったもの-ドアの把手など)を意味する。)
- 466_02【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
Pirogoff's aponeurosis
- 466_03Pirogoff's aponeurosis【Coracobrachialis muscle烏口腕筋 Musculus coracobrachialis】 o: Coracoid process, i: Anterior surface of the middle of the humerus, provides fixation. It acts to ensure contact at the shoulder joint between the head of the humerus and the glenoid cavity. Anteversion. I: Musculocutaneous nerve.
→(烏口腕筋は、発生学的には上腕の腹側筋の筋群(屈筋)に属し、上腕二頭筋と上腕筋のように、筋皮神経によって支配されている。しかし、この筋は肩関節においてのみ作用する。この筋は烏口突起から上腕二頭筋短頭とともに起こり、上腕骨内側面で、小結節稜の遠位に停止する。上腕を垂れ下げた状態では、烏口腕筋は腋窩に隠れている。この筋は上腕の神経血管幹を誘導する筋として働いている。)
- 466_04【Short head of biceps brachii muscle短頭(上腕二頭筋の) Caput breve (Musculus biceps brachii)】 o: Coracoid process. Adduction of shoulder joint.
→(上腕二頭筋の短頭は烏口突起に起こり、橈骨粗面と尺骨に停止する。作用として肘関節の屈曲と回外。その他、肩関節で上腕を前方に上げる。)
- 466_05【Long head of biceps brachii muscle長頭(上腕二頭筋の) Caput longum (Musculus biceps brachii)】 o: Supraglenoid tubercle. Abduction of shoulder joint.
→(上腕二頭筋の長頭は肩甲骨の関節上結節より起こり、橈骨粗面および尺骨に停止する。作用として肘関節の屈曲、肩関節の外転と軽度の外転。)
- 466_06【Triceps brachii muscle上腕三頭筋 Musculus triceps brachii】 Three-headed arm muscle with a common attachment on the olecranon and the posterior wall of the joint capsule. Extends the elbow. I: Radial nerve.
→(肘を伸ばす筋。3つの起始のうち、軽く伸展する時は内側頭が働き、強く伸展する時には長頭や外側頭も協同する。長頭は肩甲骨の関節下結節、外側頭は上腕骨上部の後面、内側頭は上腕骨体の後面からおこり、合したのち尺骨の肘頭につく。なお、この筋は肩関節の内転にも働く。神経支配:橈骨神経(C5,C7,C8).動脈:上腕深動脈。(イラスト解剖学))
Casserio's muscle
- 466_07Casserio's muscle【Brachialis muscle上腕筋 Musculus brachialis】 o: Anterior surface of the humerus below the deltoid tuberosity. i: Tuberosity of ulna. Flexes the elbow joint. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕筋は上腕骨前面の三角筋粗面(均一な三角筋-上腕筋系の骨付着部と考えらえている)より遠位部で起こり、尺骨粗面に停止する。[臨床]上腕筋は、上腕骨上に直に接しているため、筋を上腕骨に圧迫するような外力が加わるとか、上腕骨の(顆上)過伸展骨折(伸展骨折)の際に、骨折端によって穿通され、容易に損傷される。損傷した筋組織の部位に生じる結合組織の瘢痕は、収縮し、上腕筋の短縮が起こることがある。このような場合、腕は肘関節を伸展することが不可能になる。)
- 466_08【Lateral intermuscular septum of arm; Lateral brachial intermuscular septum外側上腕筋間中隔;橈側上腕筋間中隔 Septum intermusculare brachii laterale; Septum intermusculare brachii radialis】 Tendinous sheet that attaches the brachial fascia to the lateral border of the humerus and gives origin to muscle fibers.
→(外側上腕筋間中隔は上腕骨外側縁と上腕筋膜の間にある腱性の筋起始板。)
- 466_09【Brachioradialis muscle腕橈骨筋 Musculus brachioradialis】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Radial styloid process. Flexes the forearm from the intermediate position between pronation and supination. I: Radial nerve.
→(腕橈骨筋は橈骨の外側縁に位置し、上腕骨の外側縁、外側上顆の上と外側上腕筋間中隔から起始する。腕橈骨筋は橈骨の茎状突起基底部に停止する。)
- 466_10【Clavicle; Collar bone鎖骨 Clavicula】
→(鎖骨は胸骨上縁のところにある棒状の骨。鎖骨の内側端を鎖骨端といい、その内側面には四角形の頬骨関節面があって、頬骨の鎖骨切痕と連結する。また、外側端を肩峰端といい、その外側面には楕円形の肩峰関節面があって肩甲骨と連結する。鎖骨下面の胸骨端の近くには胸鎖靱帯圧痕、肩峰端のすぐ近くには円錐靱帯結節という粗面があり、それぞれ同名の靱帯が付着する。鎖骨は結合組織生骨であり、全身の骨の中では最も早く骨化がはじまる(胎生第5週)が、骨化の完了する時期は25最以後で長骨の中では一番遅い。鎖骨は一般の長骨と異なり髄腔がなく、内部は海綿質でみたされている。哺乳類のうち上肢を歩行以外にも使用する(たとえば、物をつかんだり、からだの前で上肢を交差させる動作など)動物では鎖骨は発達しているが、上肢を前後方向に動かして歩行だけに使用する動物では鎖骨はないか、あっても痕跡的である。したがって霊長目や齧歯目では鎖骨が発達し、食肉目や有蹄目には鎖骨がない。語源はClavis(腱、カンヌキ)の縮小形で小さな鍵という意味。)
- 466_11【Superior angle of scapula上角(肩甲骨の) Angulus superior scapulae; Angulus cranialis】 Superomedial angle of the scapula.
→(肩甲骨の三角形の三つの頂角のうち内側上方のものが上角である。)
- 466_12【Medial border of scapula; Medial margin of scapula内側縁;椎骨縁(肩甲骨の) Margo medialis; Margo vertebralis】 Border of the scapula facing the vertebral column.
→(肩甲骨の内側縁は最も長い縁で、脊柱とほぼ平行するが少し内方に凸の曲線を描く(肩甲挙筋、菱形筋、前鋸筋などがここにつく)。)
- 466_13【Subscapularis muscle; Subscapular muscle肩甲下筋 Musculus subscapularis】 o: Subscapular fossa, i: Lesser tubercle of humerus. Medial rotation. I: Subscapular nerves.
→(肩甲下筋は肩関節固有筋で、その腱は回旋筋腱板の形成に加わる。強い筋性の板として肩甲下窩を埋めている。これは肩甲骨肋骨面の筋線に付着する腱性の束から起こり、小結節に停止する、また腱線維のいくらかは関節包にも停止する。神経支配:第五・第六頚神経の腕神経叢後索からの上下肩甲下神経。作用:腕の内旋。持続的に収縮すれば上腕骨頭を関節窩に固定できる。)
- 466_14【Teres major muscle大円筋 Musculus teres major】 o: Near the inferior angle of scapula, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retroversion of the arm with adduction and medial rotation. I: Thoracodorsal nerve.
→(大円筋は肩甲骨下角の背側面で起こり、上腕三頭筋長頭の回りを曲がり、広背筋停止腱(下縁で一緒に成長する)の背側で小結節稜に付着する。大円筋は肩甲下筋の分かれたものである。さらに、同じ原基から生じる広背筋と遺伝的にも密接に関係している。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 466_15【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 466_16【Medial bicipital groove内側二頭筋溝;尺側二頭筋溝;内側上腕二頭筋溝;尺側上腕二頭筋溝 Sulcus bicipitalis medialis; Sulcus bicipitalis ulnaris】
→(内側二頭筋溝は上腕二頭筋と上腕筋の間の境となる上腕内側の縦溝。尺骨側にあるので尺側二頭筋溝ともよばれる。)
- 466_17【Biceps brachii muscle上腕二頭筋 Musculus biceps brachii】 Two-headed muscle that attaches on the radial tuberosity and extends with the aponeurosis brachii toward the ulna to blend into the antebrachial fascia. It acts in elbow joint flexion and forearm supination. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕二頭筋は、長頭が関節上結節に起始し、短頭は烏口突起に起始する。二頭筋の長頭(長いのは腱の部分のみ)は上腕骨頭を越え、結節間滑膜鞘に包まれて、結節間溝へ入る。共通の筋腹の終止腱は、肘窩の奥で、橈側粗面に停止する。腱性の帯である上腕二頭筋腱膜は終止腱から分かれ、前腕筋膜に放散している。肘関節を屈曲すると、上腕二頭筋は特に突出する。なぜならば、この筋は関節から離れて、上腕筋によって前に押し出されるからである。機能として肘関節に作用して前腕をまげる。上腕前面に力こぶをつくる。筋腹の内外両側の溝をそれぞれ内側二頭筋溝および外側二頭筋溝という。前者を尺側皮静脈、後者を橈側皮静脈が走る。長頭の件は滑膜に包まれながら肩関節腔を貫く。また上腕骨の結節間溝を通るところでは、結節間滑液鞘に包まれる。)
- 466_18【Pronator teres muscle円回内筋 Musculus pronator teres】 Muscle that attaches on the pronator tuberosity of the radius. It flexes the elbow joint, acting as a pronator. I: Median nerve.
→(円回内筋の上腕頭は、前腕の浅層の屈筋群とともに上腕骨の内側上顆と内側上腕筋間中隔から起こる。発達の弱い尺骨頭は鈎状突起と尺骨粗面の間の尺骨内側面から起こる。円回内筋は尺骨と橈骨の上を斜走し、橈骨の前縁を回って、回外筋の停止部の下方の橈骨の前縁を回って、回外筋の停止部の下方の橈骨外側面につく。円回内筋は腕橈骨筋とともに肘窩の遠位側の境界となる。正中神経は円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通る。)
- 466_19【Bicipital aponeurosis上腕二頭筋腱膜;線維性腱膜 Aponeurosis musculi bicipitis brachii; Aponeurosis bicipitalis; Lacertus fibrosus】 Expansion of the tendon of the biceps brachii that blends into the antebrachial fascia near the ulna. Transmits muscle pulling forces to the ulna.
→(二頭筋腱の腱膜性の分束で、内方へ向かい前腕筋膜へつく。上腕を回外するとき、二頭筋収縮力を尺骨へ伝える。(Feneis))
- 466_20【Flexor carpi radialis muscle橈側手根屈筋 Musculus flexor carpi radialis】 o: Medial epicondyle of humerus, antebrachial fascia, i: Base of second metacarpal. Flexes and pronates elbow joint. Flexion and radial abduction of wrist joint. I: Median nerve.
→(橈側手根屈筋は上腕骨の内側上顆で浅層の屈筋群の共通起始部と、また同様に前腕屈筋および隣接する筋とを分けている結合組織中隔から起こる。筋は第2(しばしば第3)中手骨底に付く。羽状筋である橈側手根屈筋の長い腱は斜め下方に走り、橈骨の遠位1/3で橈骨動静脈の屈側に進み、屈筋支帯のしたのそれぞれ独自の管を通る。)