320_00【Joints of hand手の関節 Articulationes manus】 →(橈骨手根関節をも含めて、手の手根骨、中手骨、指節骨の間にあるすべての関節を総称して手の関節という。ドイツ語で手関節というと、通常は橈骨手根関節と手根中央関節のことをさし、前者をproximales handgelenk、後者をdistales Handgelenkという。英語ではwrist jointというと橈骨手根関節のみを指す。手の関節には①手根の関節(橈骨手根関節、手根間関節、手根中央関節、豆状骨関節)、②中手の関節(手根中手関節、母指の手根中手関節、中手間関節)、③指の関節(中手指節関節、手の指節間関節)が含まれる。)
320_01【Radius橈骨 Radius】 One of the two bones of the forearm. It is lateral to the ulna. →(橈骨は前前腕の2本の骨のうち、外側の短い方にある長管状骨(男約22cm、女約20cm)で、上端と下端で前腕の内側(尺側または小指側)にある尺骨と関節する。下端は上端に比して著しく大きい。上端には円盤状の橈骨頭があり、円板の外周にあたる部分は尺骨の橈骨切痕と橈骨輪状靱帯に接する。また、橈骨頭の上面は浅いくぼみになっており(橈骨頭窩)、上腕骨の小頭と関節をつくる。橈骨頭のすぐ下で橈骨体に移行する部分は急に細くなってなってくびれており、橈骨頚という。橈骨体は上端を除く大部分が三角柱状で、全体として外側に弓形にまたがっており、前後および外側の3面と前後および内側の3縁が区別される。内側縁は他の2縁と異なり鋭い稜線になっており、骨間縁とよばれる。この縁と尺骨の同名縁との間には前腕骨間膜が張っている。橈骨頚のすぐ下で橈骨体の前内側には卵円形にもり上がった橈骨粗面があり、上腕二頭筋の腱が停止する。また、外側面には回内筋の停止する粗面(回内筋粗面)がある。橈骨下端の外側面には茎状突起という下方に伸びる突起があり、内側面には三角形の関節面をもった尺骨切痕があり、尺骨の関節環状面と関節をつくる。また、後面には3~4個の縦に走る溝がある。橈骨下端の下面にあるくぼみは手根関節面で中央にある弱い隆線によって内外二つの関節面に分けられている。内側の関節面には月状骨が、外側のものには舟状骨が接している。語源Radiusは一点から放散する光り、放線、転じて車輪の幅(スポーク)を意味し、この骨の形が幅に似ているところから命名された。また橈は、かい、オールを意味する。)
320_02【Palmar radiocarpal ligament掌側橈骨手根靱帯 Ligamentum radiocarpale palmare; Ligamentum radiocarpeum volare】 Band on the flexor surface of the radius whose fibers radiate mainly to the lunate and capitate. →(掌側橈骨手根靱帯はと骨下端から茎状突起の掌側縁から起こり、内下方に放散する関節包内面を強める厚い靱帯である。特に、三角骨と月状骨に向かって拡がる線維束が強い。深部には舟状骨に至る線維束もある(J.K. Mayfield, R.P. Johnson and R.F. Kilcoyne: Anat. Rec. 186, 417, 1976)。一部の線維は有頭骨頭にも至り、尺側に放散する線維は掌側尺骨手根靱帯とまじり合う。)
320_03【Radial collateral ligament of wrist joint; Radial carpal collateral ligament外側手根側副靱帯(橈骨手根関節の) Ligamentum collaterale carpi radiale】 Lateral collateral ligament that extends from the radial styloid process to the scaphoid. →(外側手根側副靱帯は橈骨茎状突起から舟状骨および大菱形骨の側面に至る表層の線維束である。)
320_04【Tubercle of scaphoid bone舟状骨結節 Tuberculum ossis scaphoidei; Tuberculum ossis navicularis】 Prominence on the anterior surface of the scaphoid. It protrudes visibly with radial abduction of the hand. →(手の舟状骨の外側(母指側)部は肥大し、その前面(掌側面)に鈍円な舟状骨結節がある。)
320_05【Radiate carpal ligament放射状手根靱帯;放射状掌側手根靱帯 Ligamentum carpi radiatum; Ligamentum carpi volare radiatum】 Band of fibers that radiate from the capitate to the adjacent bones. →(放射状手根靱帯は掌側面の関節包深層で、有頭骨を中心として周囲の手根骨に向かう深層の線維束である。)
320_06【Carpometacarpal joint of thumb手根中手関節(母指の);第1手根中手関節 Articulatio carpometacarpalis pollicis; Articulus carpometacarpea primus】 Saddle joint. Independent joint between the first metacarpal and the trapezium. →(母指の手根中手関節は第1中手骨底と大菱形骨との間にある典型的な鞍関節である。大菱形骨の関節面は掌背方向に凸で内外方向に凹、かつ凸の曲面の方が半径が小さい。第1中手骨の関節面は掌背に凹、左右に凸の曲面をもつ。関節包は他の手根中手関節とは独立し、広く緩い。関節包靱帯は掌側より背側が強く、特に大菱形骨の外背部から第1中手骨中央部へ向かって扇状に張る線維束(背側手根中手靱帯の一部とみてよい)は母指の対立運動に多少制限的に働く。互いに直交する2つの軸を中心として屈伸と内転(母指を第2指に近付ける)、外転(母指を第2指から離す)を行う。また屈伸と内外転の組合せに少しの回旋を伴った描円運動も行う。)
320_07【Capitate bone有頭骨 Os capitatum】 Centrally located bone between the third metacarpal and the lunate. →(有頭骨の最大の手根骨で、上端は舟状骨と月状骨に対する半球状の関節面を有する頭部([JNA]Caput ossis capitati有頭骨頭)をなし、この部が全手根骨の中央に位置する。下端は大きく、稜線で内外2部に分かれる三角形の関節面によって第2、3中手骨に対し、その内側縁は第4中手骨にも接する。)
320_08【Palmar metacarpal ligaments掌側中手靱帯;掌側中手骨底靱帯 Ligamenta metacarpalia palmaria; Ligamenta basium ossium metacarpi interossea】 Tough bands on the palmar surface of the hand between the bases of the metacarpals. →(掌側中手靱帯は隣接する中手骨底間、または間を1つ越えた中手骨底間を結ぶ。掌側手根中手靱帯とも癒合する。)
320_09【Palmar carpometacarpal ligaments掌側手根中手靱帯 Ligamenta carpometacarpalia palmaria; Ligamentum carpometacarpeum volare】 Tough bands on the palmar aspect of the hand that connect the distal carpal bones to the metacarpals. →(手根中手関節の補強靱帯として掌側面に掌側手根中手靱帯があり、遠位手根骨と中手骨底を結ぶ。関節は殆ど動かない。)
320_10【First metacarpal bone; 1st metacarpal bone第1中手骨 Os metacarpale I】 →()
320_10a【Metacarpals; Metacarpal bones [I-V]中手骨[1-5] Ossa metacarpi; Ossa metacarpalia [I-V]】 Metacarpal bones of the hand. →(中手骨は手根骨の遠位にある5本の細長い管状骨である。第1中手骨が最も短いが、最も太い。最も長いのは第2中手骨で、ついで第3、第4、第5中手骨の順に短い。中手骨には頭・底・体の3部が区別できるが底は中手骨の近位端で太く、手根骨との関節面をもっている。関節面の形は中手骨によって異なり、第1中手骨は鞍状に凸、第2中手骨では中央にくぼみがみられ、第3、第4中手骨では平らである。第5中手骨では不完全な鞍状を呈する。体は後面に向かってゆるく弯曲していて底および頭より細いので、となりあう中手骨の間に中手骨間隙ができる。頭はまるく大きく、基節骨底に接する関節面がある。第3中手骨底の背面外側には小さな突起がみられ、第3中手骨の茎状突起という。)
320_11【Second metacarpal bone; 2nd metacarpal bone [II]第2中手骨 Os metacarpale II】 →()
320_12【Third metacarpal bone; 3rd metacapal bone[III]第三中手骨 Os metacarpale III】 →()
320_13【Fourth metacarpal bone; 4th metacarpal bone [IV]第4中手骨 Os metacarpale IV】 →()
320_14【Fifth metacarpal bone; 5th metacarpal bone第5中手骨 Os metacarpale V】 →()
320_16【Distal radio-ulnar joint; Distal radio-ulnar articulation下橈尺関節;遠位橈尺関節;橈尺関節 Articulatio radioulnaris distalis】 Inferior part of the elbow joint for articulation between the radius and ulna. →(尺骨下端にある尺骨頭と、橈骨下端の尺骨切痕との間の関節で、上頭尺関節とともに前腕の回内と回外を行う1軸性の車軸関節である。関節腔の遠位面は、橈骨手根関節の関節円板の上面にあたる。この関節円板は三角形で、底辺は橈骨につき、先端は尺骨の茎状突起にのびる。関節腔の一部は上方にのびて橈骨と尺骨の間に少しひろがる。この部を嚢状陥凹という。そのため関節腔はL字型をなす。関節円板は、この関節と橈骨手根間節を隔てている。上および下橈尺関節は共同に働いて前腕を回外および回内させる。運動の軸は橈骨頭と尺骨の茎状突起とを結ぶ線で、尺骨は不動のまま、橈骨がこの軸を中心として回転し、その運動範囲は橈骨下端で約180°である。(ただし、上肢を延ばした状態では上腕の回旋を伴う。橈尺関節のみによる前腕の回外・回内は肘関節をほぼ90°に屈した状態でみる。)前腕骨間膜と斜索との線維の方向は手関節に加わる力を前腕から上腕の方へ伝えるのに必要なものであるとともに、過度の回旋に際しては強く牽引され、それを制限する。)
320_17【Ulnar styloid process; Styloid process of ulna茎状突起(尺骨の) Processus styloideus ulnae】 Peglike process on the distal end of the ulna. Site of attachment for the articular disc of the distal radioulnar joint and the ulnar collateral ligament. →(尺骨の下端の内側端から下方に細い茎状突起が突出する。)
320_18【Ulnar collateral ligament of wrist joint内側手根側副靱帯(橈骨手根関節の) Ligamentum collaterale carpi ulnare】 Collateral ligament that extends from the ulnar styloid process to the triquetrum and pisiform. →(内側手根側副靱帯は尺骨の茎状突起から豆状骨に至る線維束である。)
320_19【Lunate bone月状骨 Os lunatum】 Bone situated between the scaphoid and triquetrum. →(月状骨は手根の近位列の骨で、舟状骨および三角骨の間にある。上面は橈骨(外側)と関節円板(内側)に向かう凸の、下面は有頭骨に向かい凹の関節面となり、側面からみると半月形で、そこには隣接の舟状骨と三角骨に対する関節面がある。)
320_20【Pisiform bone豆状骨 Os pisiforme】 Bone located on the palmar side of the triquetrum. It is actually a sesamoid bone embedded in the tendon of the flexor carpi ulnaris muscle. →(豆状骨は尺側手根屈筋腱のなかの半球状の種子骨である。三角骨に向く側に関節面がある。)
320_21【Pisohamate ligament豆鈎靱帯 Ligamentum pisohamatum】 Medial continuation of the tendon of the flexor carpi ulnaris muscle to the hook of hamate. →(豆鈎靱帯は豆状骨から有鈎骨鈎へのび、豆中手靱帯は同じく第5中手骨底へつく。稜靱帯は、尺側手根屈筋の腱の延長とみなされる。)
320_22【Pisometacarpal ligament豆中手靱帯;豆状骨中手靱帯 Ligamentum pisometacarpale】 Lateral continuation of the tendon of the flexor carpi ulnaris muscle to the base of the fifth metacarpal. →(豆中手靱帯は尺側手根屈筋腱から分かれて外側へのつづきで、第五中手骨底へつく。)
320_23【Hook of hamate有鈎骨鈎 Hamulus ossis hamati】 Hooked process distal to the pisiform on the palmar aspect of the hamate. →(有鈎骨掌側面の内側端から掌側に有孔骨鈎が突出する。)
320_25【Interosseous metacarpal ligaments骨間中手靱帯;骨間中手骨底靱帯 Ligamenta metacarpalia interossea; Ligamenta basium ossium metacarpi interossea】 Short, tough bands on the bases of the metacarpals. They are contained within the joint capsule between the dorsal and palmar metacarpal ligaments. →(骨間中手靱帯は関節腔より末梢で中手骨間を横または斜めに結ぶ。第1~2中手骨間のものは第1中手骨底から起こり、第2中手骨底の掌側寄りと背側寄りに着くY字形の靱帯で、背側に向かう線維束が強く、母指の外転に際して緊張する。)