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- 477_01【Triceps brachii muscle上腕三頭筋 Musculus triceps brachii】 Three-headed arm muscle with a common attachment on the olecranon and the posterior wall of the joint capsule. Extends the elbow. I: Radial nerve.
→(肘を伸ばす筋。3つの起始のうち、軽く伸展する時は内側頭が働き、強く伸展する時には長頭や外側頭も協同する。長頭は肩甲骨の関節下結節、外側頭は上腕骨上部の後面、内側頭は上腕骨体の後面からおこり、合したのち尺骨の肘頭につく。なお、この筋は肩関節の内転にも働く。神経支配:橈骨神経(C5,C7,C8).動脈:上腕深動脈。(イラスト解剖学))
- 477_02【Medial epicondyle of humerus; Medial humeral epicondyle内側上顆;尺側上顆(上腕骨の) Epicondylus medialis humeri; Epicondylus ulnaris humeri】 Protuberance that gives origin to the flexor muscles of the forearm.
→(上腕骨の下端部では、まず内側方に内側上顆が、外側方に外側上顆が突出している。内側上顆は指先でつまめるほどのおおきな突出であるが、外側上顆の突出は軽度である。)
- 477_03【Olecranon of ulna肘頭;尺骨頭 Olecranon】 Proximal, posterior end of the ulna. Attachment site of the triceps brachii muscle.
→(肘の端。尺骨の上端部を側方から見ると、滑車切痕の後上方には肘頭という丸みを帯びた突出部があって、肘頭の尖端は前方に曲がって滑車切痕の屋根を作っている。上腕三頭筋が停止する。)
- 477_04【Anconeus muscle肘筋 Musculus anconeus】 o: Posterior surface of epicondyle of lateral humerus. i: Posterior surface of ulna, proximal one-fourth. Extends the elbow joint. I: Radial nerve.
→(肘筋は、上腕三頭筋内側頭の外側部分の遠位への延長となっている。その線維は上腕骨外側上顆、関節包および外側側副靱帯に始まり、扇状に尺骨背側表面へ広がっている。)
- 477_05【Ulna尺骨 Ulna】 Medial forearm bone.
→(橈骨と並んで前腕の内側(小指側)にある長管状骨(男約24cm、女21~22cm)で、上下の両端と体が区分される。この骨は橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細い。上端には前上方から深く切れ込んだ滑車切痕があって上腕骨滑車と関節する。滑車切痕の中央には上腕骨の滑車のくぼみに対応する弱い高まりが縦に走っている。滑車切痕の下端は前方に付きだして鈎状突起となり、切痕の後面は著しく肥厚して肘頭を形づくっている。また、滑車切痕の下外側には橈骨切痕があり、橈骨の関節輪状面に接する。橈骨体は橈骨の骨間部でゆるくS状に弯曲しており、前面には、滑車切痕のすぐ下に尺骨粗面がある。橈骨切痕の下縁から下方に向かう高まりは回外筋の起始するところである(回外筋稜)。橈骨体には前後および外側の3縁と前後内側の3面が区別出来るが、外側縁は鋭く外側へ張り出し、骨間縁とよばれる。尺骨の下端は小さな鈍円状のふくらみになっていていて尺骨頭の外周には橈骨の尺骨粗面と関節をつくる関節環状面がある。また、尺骨下端の内側面には茎状突起という細くて小さな突起がみられる。語源はギリシャ語のOlein(ヒジ)に由来する。また、Olecranon(肘頭)はOleinのcranon(頭)という意味である。)
- 477_06【Flexor carpi ulnaris muscle尺側手根屈筋 Musculus flexor carpi ulnaris】 Muscle that attaches on the pisiform, via the pisohamate ligament on the hamate, and via the pisometacarpal ligament on the fifth metacarpal. Flexes and abducts the hand toward the ulna.
→(尺側手根屈筋は屈筋群の尺側外縁を形成している。上腕頭は上腕骨の内側上顆と内側上腕筋間中隔から起こる。尺骨頭は肘頭、尺骨後縁の近位2/3と前腕筋膜から起こる。2頭は腱性の帯で結合しており、この下を尺骨神経が前腕の屈側に向かう。筋の腱は(尺骨神経、尺骨動・静脈の)尺側前腕路の内側の境をなす。この腱は手根管を通らず、豆状骨に停止した後、豆鈎靱帯と豆中手靱帯で有鈎骨と第5中手骨に至る。筋の腱中に種子骨として豆状骨の停止部があるため、回転軸からの距離が増し、尺側手根屈筋は手掌を曲げるのに有利なトルク(回転力)を得られる。)
- 477_07【Extensor carpi ulnaris muscle尺側手根伸筋 Musculus extensor carpi ulnaris】 Attachment on the base of the fifth metacarpal. Abductor. I: Radial nerve.
→(尺側手根伸筋は伸筋群の浅層内側の外形を形成してる。この筋の上腕頭は、肘筋と[総]指伸筋の起始領域の間の上腕骨の外側上顆から起こる。この筋の尺骨頭は前腕筋膜と尺骨の背側縁から起こる。この筋は第5中手骨底に停止する。羽状筋である尺側手根伸筋はは尺骨の背側表面に位置している。その腱は尺骨頭の上で茎状突起の内側に形成された溝を進み、伸筋支帯の下の第6腱区画を通過する。)
- 477_08【Extensor digiti minimi muscle小指伸筋;固有小指伸筋 Musculus extensor digiti minimi; Musculus extensor digiti quinti proprius】 o:Common origin with extensor digitorum. i: Dorsal aponeurosis of little finger. Extends the little finger.
→(小指伸筋は[総]指伸筋から分かれたもので、起始部では腱膜でのみこの筋から分離される。その腱は第5腱区画を通て、第5指の指背腱膜に停止する。)
- 477_09【Ulnar styloid process; Styloid process of ulna茎状突起(尺骨の) Processus styloideus ulnae】 Peglike process on the distal end of the ulna. Site of attachment for the articular disc of the distal radioulnar joint and the ulnar collateral ligament.
→(尺骨の下端の内側端から下方に細い茎状突起が突出する。)
- 477_10【Extensor retinaculum of hand; Dorsal carpal ligament伸筋支帯(手の);背側手根靱帯 Retinaculum musculorum extensorum manus; Ligamentum carpalis dorsale】 Portion of the dorsal fascia that passes over the tendon compartments.
→(手の伸筋支帯は前腕筋膜が前腕か端部で厚くなったもので、橈骨下端からやや斜めに尺骨下端、三角骨および豆状骨に向かって走る。その下に前腕伸筋の腱が滑液鞘(腱鞘)に包まれて通る6管を作って、これらの腱をその位置に固定する。)
- 477_11【Biceps brachii muscle上腕二頭筋 Musculus biceps brachii】 Two-headed muscle that attaches on the radial tuberosity and extends with the aponeurosis brachii toward the ulna to blend into the antebrachial fascia. It acts in elbow joint flexion and forearm supination. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕二頭筋は、長頭が関節上結節に起始し、短頭は烏口突起に起始する。二頭筋の長頭(長いのは腱の部分のみ)は上腕骨頭を越え、結節間滑膜鞘に包まれて、結節間溝へ入る。共通の筋腹の終止腱は、肘窩の奥で、橈側粗面に停止する。腱性の帯である上腕二頭筋腱膜は終止腱から分かれ、前腕筋膜に放散している。肘関節を屈曲すると、上腕二頭筋は特に突出する。なぜならば、この筋は関節から離れて、上腕筋によって前に押し出されるからである。機能として肘関節に作用して前腕をまげる。上腕前面に力こぶをつくる。筋腹の内外両側の溝をそれぞれ内側二頭筋溝および外側二頭筋溝という。前者を尺側皮静脈、後者を橈側皮静脈が走る。長頭の件は滑膜に包まれながら肩関節腔を貫く。また上腕骨の結節間溝を通るところでは、結節間滑液鞘に包まれる。)
- 477_12【Brachioradialis muscle腕橈骨筋 Musculus brachioradialis】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Radial styloid process. Flexes the forearm from the intermediate position between pronation and supination. I: Radial nerve.
→(腕橈骨筋は橈骨の外側縁に位置し、上腕骨の外側縁、外側上顆の上と外側上腕筋間中隔から起始する。腕橈骨筋は橈骨の茎状突起基底部に停止する。)
- 477_13【Extensor carpi radialis longus muscle長橈側手根伸筋 Musculus extensor carpi radialis longus】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Base of second metacarpal. Flexes the elbow joint. Dorsiflexion and radial abduction of the wrist joint. I: Radial nerve.
→(長橈側手根伸筋は腕橈骨筋起始部の下方の上腕骨外側縁と外側上腕筋間中隔から起こり、第2中手骨底に停止する。筋服の上縁は腕橈骨筋で被われているが、筋は外側上顆で外側に曲がり、短橈側手根伸筋の近位部を被っている。)
- 477_14【Lateral epicondyle of humerus; Lateral humeral epicondyle外側上顆;橈側上顆(上腕骨の) Epicondylus lateralis humeri; Epicondylus radialis humeri】 Protuberance located lateral to the head of the humerus that gives origin to the extensor muscles of the forearm.
→(上腕骨小頭の外側にある隆起で、前腕伸筋が起こるところ。)
- 477_15【Extensor carpi radialis brevis muscle短橈側手根伸筋 Musculus extensor carpi radialis brevis】 o: Lateral epicondyle of humerus, anular ligament of radius, i: Base of third metacarpal. Dorsiflexion of the hand.
→(短橈側手根伸筋は外側上顆、橈骨輪状靱帯および総指伸筋と本筋とを分けている結合組織中隔から起こる。短い腱は第3中手骨の茎状突起につく。長および短橈側手根伸筋の腱は橈骨の外側縁を下方に進み、長母指外転筋と短母指外転筋の筋腹と交叉し、伸筋支帯のしたの第2腱区画を通る。)
- 477_16【Extensor digitorum muscle; Extensor digitorum communis muscle総指伸筋;指伸筋 Musculus extensor digitorum; Musculus extensor digitorum communis】 o: Lateral epicondyle of humerus, radial collateral ligaments, anular ligament of radius, antebrachial fascia, i: Dorsal aponeuroses of the second through fifth phalanges. Dorsiflexion of the wrist joint, extension of the fingers. I: Radial nerve.
→([総]指伸筋は、尺側手根伸筋の橈側で前腕の中央に位置している。筋は肘関節の外側靱帯束、前腕筋膜および、この筋を短橈側手根伸筋から分けている結合組織中隔から起きる。筋は第2~第5指の指背腱膜に停止する。[総]指伸筋の4つの腱は同じ層に位置し、伸筋支帯の下の第4腱区画をともに通過する。中手骨領域で、腱は横走靱帯(腱間結合)で互いに結合し、指背で指背腱膜を形成する。腱の中央索は中節骨底に終わり、中節関節を越えた両側の腱索は中節骨の背側で合して第2~第5末節骨底に付く。)
- 477_17【Abductor pollicis longus muscle長母指外転筋 Musculus abductor pollicis longus】 o: Posterior surface of radius, ulna, and interosseous membrane. i: Base of first metacarpal. Radial abduction and dorsiflexion of the metacarpophalangeal joint of the thumb. I: Radial nerve.
→(長母指外転筋と短母指伸筋は1つの発生的、機能的単位を形成している:筋腹はしばしば形態学的に1つとなる。これらの筋は橈骨の背側面(2/4と3/4の間)と前腕骨間膜から起こる。羽状筋である長母指外転筋は回外筋の起始部下方からも起こり、また尺骨にも起始部をもつ。長母指外転筋は第1中手骨底に、短母指伸筋は母指基節骨底に付く。短母指伸筋の腱線維は長母指伸筋の腱終末に融合し、弱い指背腱膜を形成する。2つの筋は長および短橈側手根伸筋の腱と急角度で交叉し、これらの腱は橈骨の遠位端の背側の橈骨溝に進み、第1腱区画(手首の屈曲軸の掌側)を通過する。)
- 477_18【Extensor pollicis brevis muscle短母指伸筋(手の) Musculus extensor pollicis brevis】 o: Posterior surface of radius, interosseous membrane, i: Base of metacarpophalangeal joint of thumb. Abduction and extension of the metacarpophalangeal joint of the thumb. I: Radial nerve.
→(長母指外転筋と短母指伸筋は1つの発生的、機能的単位を形成している:筋腹はしばしば形態学的に1つとなる。これらの筋は橈骨の背側面(2/4と3/4の間)と前腕骨間膜から起こる。羽状筋である長母指外転筋は回外筋の起始部下方からも起こり、また尺骨にも起始部をもつ。長母指外転筋は第1中手骨底に、短母指伸筋は母指基節骨底に付く。短母指伸筋の腱線維は長母指伸筋の腱終末に融合し、弱い指背腱膜を形成する。2つの筋は長および短橈側手根伸筋の腱と急角度で交叉し、これらの腱は橈骨の遠位端の背側の橈骨溝に進み、第1腱区画(手首の屈曲軸の掌側)を通過する。)
- 477_19【Radial styloid process; Styloid process of radius茎状突起(橈骨の) Processus styloideus radii】 Projection from the lateral surface of the distal end of the radius.
→(橈骨の下端部では、まずその外側面には魚の口先のような茎状突起が下方に延び出している。橈骨の茎状突起は尺骨の茎状突起より約1横指(約2cm)遠位側にある。)
- 477_20【Extensor pollicis longus muscle長母指伸筋 Musculus extensor pollicis longus】 o: Posterior surface of ulna and interosseous membrane, i: Distal phalanx of thumb. Adducts and extends the thumb. I: Radial nerve.
→(長母指伸筋は骨間膜と、長母指外転筋と短母指伸筋の起始部に隣接する尺骨の背側面の狭い帯状部分から起き、尺側に向かう。第3腱区画を通った腱は母指の末節骨底に付く。腱の停止腱は“嗅ぎタバコ入れ”と呼ばれる窩の尺側縁を構成する。この窩底で橈骨動脈と伴行静脈は手根の伸筋側に向かう。窩の骨性の底は大菱形骨と舟状骨で形成され、その橈側境界は短母指伸筋と長母指外転筋の腱で形成されている。これらの筋が収縮すると、皮膚に接している腱が突出して、明白な窩となる。)