939
- 939_00【Arm; Upper arm上腕;ニノウデ Brachium】
→(腕、特に肩から肘での部分。)
- 939_01【Clavicle; Collar bone鎖骨 Clavicula】
→(鎖骨は胸骨上縁のところにある棒状の骨。鎖骨の内側端を鎖骨端といい、その内側面には四角形の頬骨関節面があって、頬骨の鎖骨切痕と連結する。また、外側端を肩峰端といい、その外側面には楕円形の肩峰関節面があって肩甲骨と連結する。鎖骨下面の胸骨端の近くには胸鎖靱帯圧痕、肩峰端のすぐ近くには円錐靱帯結節という粗面があり、それぞれ同名の靱帯が付着する。鎖骨は結合組織生骨であり、全身の骨の中では最も早く骨化がはじまる(胎生第5週)が、骨化の完了する時期は25最以後で長骨の中では一番遅い。鎖骨は一般の長骨と異なり髄腔がなく、内部は海綿質でみたされている。哺乳類のうち上肢を歩行以外にも使用する(たとえば、物をつかんだり、からだの前で上肢を交差させる動作など)動物では鎖骨は発達しているが、上肢を前後方向に動かして歩行だけに使用する動物では鎖骨はないか、あっても痕跡的である。したがって霊長目や齧歯目では鎖骨が発達し、食肉目や有蹄目には鎖骨がない。語源はClavis(腱、カンヌキ)の縮小形で小さな鍵という意味。)
- 939_02【Axillary artery腋窩動脈 Arteria axillaris】 Continuation of the subclavian artery that reaches the inferior border of the pectoralis major.
→(腋窩動脈は鎖骨下動脈よりつづく上肢の動脈の本幹で、第1肋骨外側縁の高さで鎖骨下動脈よりつづいてはじまり、大胸筋の停止腱、あるいは大円筋の停止腱の高さで上腕動脈に移行する。これに通常3部を区分し、第1部は、小胸筋の上縁より上方にある部分で、前面は大胸筋鎖骨部に被われ、後方と外側は腕神経叢に接する。第2部は、小胸筋の後面にあたる部分で、この部で腋窩動脈は腕神経叢に貫くため、その後面、内側面、外側面をそれぞれ腕神経叢の後神経束、内側神経束および外側神経束に達している。第3部は、小胸筋の下縁より下方にある部分で、前面は正中神経に、外側は筋皮神経と烏口腕筋に、内側は尺骨神経を介して腋窩静脈に、そして後面は橈骨神経と腋窩神経を介して肩甲下筋と広背筋の停止腱に接する。枝としては、①肩甲下肢、②最上胸動脈、③胸肩峰動脈、④外側胸動脈、⑤肩甲下動脈、⑥前上腕回旋動脈、⑦後上腕回旋動脈)
- 939_03【Lateral cord of brachial plexus外側神経束;橈側神経束(腕神経叢の) Fasciculus lateralis; Fasciculus radialis (Plexus brachialis)】 Fascicle formed by the anterior branches of the superior and middle trunks (formed by C5-C7) lying lateral to the axillary artery.
→(上神経幹と中神経幹のそれぞれの神経幹の前枝が合して外側神経束をなす。腋窩動脈の外側にある。したがって第5頚神経から第7頚神経由来である。腋窩動脈の外側にある。)
- 939_04【Medial cord of brachial plexus内側神経束;尺側神経束(腕神経叢の) Fasciculus medialis; Fasciculus ulnaris (Plexus brachialis)】 Fascicle formed by the anterior branch of the inferior trunk (formed by C8, Tl) lying medial to the axillary artery.
→(下神経幹の神経幹前枝がそのまま伸びて内側神経束をなす。)
- 939_05【Suprascapular nerve肩甲上神経 Nervus suprascapularis】 Nerve formed by C5 and C6 that runs via the brachial plexus to the suprascapular notch and then passes deep to the superior transverse scapular ligament to the supraspinatus and infraspinatus.
→(肩甲上神経は第5頚神経および第6頚神経由来の腕神経叢の上神経幹より起こり、肩甲舌骨筋の起始に沿って肩甲切痕を経て棘上窩に入り、棘上筋および棘下筋に分布する。)
- 939_06【Pectoralis minor muscle小胸筋 Musculus pectoralis minor】 Lies deep to the pectoralis major. o:Third to fifth ribs, i: Coracoid process. Rotates the scapula, draws the scapula downward and ribs upward. Accessory respiratory muscle. I: see 3.
→(小胸筋は前胸壁にあり大胸筋で完全に被われており、骨性の第(2)3~5肋骨の腹側端からおこり、肩甲骨の烏口突起に停止している。この筋は大胸筋になるものと同じ原基から発生する。正常では、この筋は上肢帯を胸壁と繋ぐにすぎないが、ときに大結節稜に停止する筋の破格が上肢筋の起始に向かっていることがある。作用は肩甲骨を引き下げる、または肋骨を挙上する呼吸補助筋。神経支配は内側胸筋神経。)
Casserio's nerve
- 939_07Casserio's nerve【Musculocutaneous nerve筋皮神経 Nervus musculocutaneus】 Nerve arising from the lateral cord that pierces the coracobrachialis, which it supplies along with the biceps and brachialis. It ends as the lateral cutaneous nerve of forearm.
→(筋皮神経は第5頚神経~第7頚神経由来の外側神経束より起こり、烏口腕筋を貫き、烏口腕筋、上腕二頭筋および上腕筋を支配し、外側前腕皮神経となって前腕外側半部に分布する。皮神経をまとめると、筋枝は上腕前側の屈筋(烏口腕筋・上腕筋・上腕二頭筋)に分布する。皮枝は前腕外側部の皮膚部に分布する。そのほかに関節枝を肘関節に送る。)
Pirogoff's aponeurosis
- 939_08Pirogoff's aponeurosis【Coracobrachialis muscle烏口腕筋 Musculus coracobrachialis】 o: Coracoid process, i: Anterior surface of the middle of the humerus, provides fixation. It acts to ensure contact at the shoulder joint between the head of the humerus and the glenoid cavity. Anteversion. I: Musculocutaneous nerve.
→(烏口腕筋は、発生学的には上腕の腹側筋の筋群(屈筋)に属し、上腕二頭筋と上腕筋のように、筋皮神経によって支配されている。しかし、この筋は肩関節においてのみ作用する。この筋は烏口突起から上腕二頭筋短頭とともに起こり、上腕骨内側面で、小結節稜の遠位に停止する。上腕を垂れ下げた状態では、烏口腕筋は腋窩に隠れている。この筋は上腕の神経血管幹を誘導する筋として働いている。)
- 939_09【Median nerve正中神経 Nervus medianus】 Nerve formed by the medial and lateral cords.
→(内側および外側神経束よりなる(C6-T1)。(Feneis))
- 939_10【Pectoralis major muscle大胸筋 Musculus pectoralis major】 o:Clavicle. Sternum. Second to seventh costal cartilages and rectus sheath, i: Crest of greater tubercle. Adduction and medial rotation of the arm. I: Medial and lateral pectoral nerve.
→(大胸筋は上肢の屈筋群から派生したもので、前胸壁にある大きな翼状の筋で鎖骨部、胸肋部、腹部からなる。鎖骨部は上肢帯(鎖骨)から腹側胸壁に広がって上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。これは鎖骨の胸骨半、胸骨、および第(1)2~7肋軟骨から起こり、腹直筋鞘の前葉からも起こる。胸肋部と腹部の線維は鎖骨部の線維の下を横切り、大結節稜の近位に着き、鎖骨部は遠位に停止する。広背筋の場合のように、頭側に開き、上腕の外転と前方挙上の際に明らかとなる筋肉のスポットが生じる。上腕を垂れ下げているときは、大胸筋は四角形をしているが、上腕骨が外転されると、三角形となる。外側縁は前腋窩ヒダを形成している。後腋窩ヒダは広背筋の外側縁によってつくられている。大胸筋の鎖骨部と三角筋の間の奥には結合組織腔があり、そこを橈側皮静脈が通る。その隙間は力強い、筋肉の発達した人では非常に狭い。しかし、大胸筋の鎖骨部の発達が弱い場合は、鎖骨に向かって広がり、逆さにした三角形に似ている。その場合、鎖骨胸筋三角という名前が適当である。ここでは皮膚が窪んで鎖骨下窩を形成している。種々の形と大きさの胸骨筋が胸筋筋膜の上に発達することがある。これは肋骨縁に沿って一側または両側に広がっている(ヨーロッパ人の約5%)。もしこの筋が胸筋神経の枝で支配されていれば、これは哺乳類の皮筋の遺残と考えることができる。この筋はしばしば胸鎖乳突筋とつながっており、肋間神経の枝で支配されているかもしれない。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 939_11【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
- 939_12【Biceps brachii muscle上腕二頭筋 Musculus biceps brachii】 Two-headed muscle that attaches on the radial tuberosity and extends with the aponeurosis brachii toward the ulna to blend into the antebrachial fascia. It acts in elbow joint flexion and forearm supination. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕二頭筋は、長頭が関節上結節に起始し、短頭は烏口突起に起始する。二頭筋の長頭(長いのは腱の部分のみ)は上腕骨頭を越え、結節間滑膜鞘に包まれて、結節間溝へ入る。共通の筋腹の終止腱は、肘窩の奥で、橈側粗面に停止する。腱性の帯である上腕二頭筋腱膜は終止腱から分かれ、前腕筋膜に放散している。肘関節を屈曲すると、上腕二頭筋は特に突出する。なぜならば、この筋は関節から離れて、上腕筋によって前に押し出されるからである。機能として肘関節に作用して前腕をまげる。上腕前面に力こぶをつくる。筋腹の内外両側の溝をそれぞれ内側二頭筋溝および外側二頭筋溝という。前者を尺側皮静脈、後者を橈側皮静脈が走る。長頭の件は滑膜に包まれながら肩関節腔を貫く。また上腕骨の結節間溝を通るところでは、結節間滑液鞘に包まれる。)
Casserio's muscle
- 939_13Casserio's muscle【Brachialis muscle上腕筋 Musculus brachialis】 o: Anterior surface of the humerus below the deltoid tuberosity. i: Tuberosity of ulna. Flexes the elbow joint. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕筋は上腕骨前面の三角筋粗面(均一な三角筋-上腕筋系の骨付着部と考えらえている)より遠位部で起こり、尺骨粗面に停止する。[臨床]上腕筋は、上腕骨上に直に接しているため、筋を上腕骨に圧迫するような外力が加わるとか、上腕骨の(顆上)過伸展骨折(伸展骨折)の際に、骨折端によって穿通され、容易に損傷される。損傷した筋組織の部位に生じる結合組織の瘢痕は、収縮し、上腕筋の短縮が起こることがある。このような場合、腕は肘関節を伸展することが不可能になる。)
- 939_14【Bicipital aponeurosis上腕二頭筋腱膜;線維性腱膜 Aponeurosis musculi bicipitis brachii; Aponeurosis bicipitalis; Lacertus fibrosus】 Expansion of the tendon of the biceps brachii that blends into the antebrachial fascia near the ulna. Transmits muscle pulling forces to the ulna.
→(二頭筋腱の腱膜性の分束で、内方へ向かい前腕筋膜へつく。上腕を回外するとき、二頭筋収縮力を尺骨へ伝える。(Feneis))
- 939_15【Pronator teres muscle円回内筋 Musculus pronator teres】 Muscle that attaches on the pronator tuberosity of the radius. It flexes the elbow joint, acting as a pronator. I: Median nerve.
→(円回内筋の上腕頭は、前腕の浅層の屈筋群とともに上腕骨の内側上顆と内側上腕筋間中隔から起こる。発達の弱い尺骨頭は鈎状突起と尺骨粗面の間の尺骨内側面から起こる。円回内筋は尺骨と橈骨の上を斜走し、橈骨の前縁を回って、回外筋の停止部の下方の橈骨の前縁を回って、回外筋の停止部の下方の橈骨外側面につく。円回内筋は腕橈骨筋とともに肘窩の遠位側の境界となる。正中神経は円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通る。)
- 939_16【Subscapularis muscle; Subscapular muscle肩甲下筋 Musculus subscapularis】 o: Subscapular fossa, i: Lesser tubercle of humerus. Medial rotation. I: Subscapular nerves.
→(肩甲下筋は肩関節固有筋で、その腱は回旋筋腱板の形成に加わる。強い筋性の板として肩甲下窩を埋めている。これは肩甲骨肋骨面の筋線に付着する腱性の束から起こり、小結節に停止する、また腱線維のいくらかは関節包にも停止する。神経支配:第五・第六頚神経の腕神経叢後索からの上下肩甲下神経。作用:腕の内旋。持続的に収縮すれば上腕骨頭を関節窩に固定できる。)
- 939_17【Thoracodorsal nerve胸背神経 Nervus thoracodorsalis】 Longest subscapular nerve arising from C6-C8. It runs along the lateral border of the scapula and supplies the latissimus dorsi.
→(胸背神経は第6頚神経~第8頚神経由来の腕神経叢より起こる最長の肩甲骨化の神経。肩甲骨の外側縁を通り、広背筋を支配する。)
- 939_18【Teres major muscle大円筋 Musculus teres major】 o: Near the inferior angle of scapula, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retroversion of the arm with adduction and medial rotation. I: Thoracodorsal nerve.
→(大円筋は肩甲骨下角の背側面で起こり、上腕三頭筋長頭の回りを曲がり、広背筋停止腱(下縁で一緒に成長する)の背側で小結節稜に付着する。大円筋は肩甲下筋の分かれたものである。さらに、同じ原基から生じる広背筋と遺伝的にも密接に関係している。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 939_19【Subscapular nerves肩甲下神経 Nervi subscapulares】 Two or three branches arising from the brachial plexus, supraclavicular part, or posterior cord. They supply the subscapularis and teres major.
→(肩甲下神経は第5頚神経~第7頚神経由来の腕神経叢より起こり、肩甲下筋および大円筋へいたる2~3本の枝。)
- 939_20【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 939_21【Axillary nerve腋窩神経 Nervus axillaris】 Nerve arising from the posterior cord (C5, C6). Accompanied by the posterior circumflex humeral artery, it passes through the lateral (quadrangular) space to the teres minor and deltoid.
→(小円筋への枝は外側腋窩隙を通過した直後に腋窩神経から分かれ、上腕三頭筋長頭の起始腱の後面にある小円筋にいたる。[臨床]腋窩神経と後上腕回旋動静脈は、上腕骨頭と外科頚に近い関係にあるために、上腕骨近位端の骨折、肩関節の脱臼、および整復を試みる場合に、特に危険である。腋窩神経の外傷の疑いは三角筋部の皮膚知覚(上外側上腕皮神経)を調べれば容易に確定することができる。)
Wrisberg, Nerve of
- 939_22Wrisberg, Nerve of【Medial cutaneous nerve of arm; Medial brachial cutaneous nerve内側上腕皮神経;内側皮神経;尺側上腕皮神経(上腕の) Nervus cutaneus brachii medialis; Nervus cutaneus brachii ulnaris】 Nerve arising from the medial cord and supplying the skin of the medial side of the arm via its communication with the intercostobrachial nerve.
→(内側上腕皮神経は第8頚神経および第1胸神経由来の腕神経叢の内側神経束より起こり上腕内側の皮膚に分布する知覚神経で、第2またはときに第3肋間神経の外側皮枝と交通して肋間上腕神経を作る。この両神経は合して1本となることもあり、またそれぞれ独立して起こることもあり、また肋間上腕神経がよく発達して内側上腕皮神経が小さいこともある。)
- 939_23【Radial nerve橈骨神経 Nervus radialis】 Nerve arising from the posterior cord (usually with fibers from C5-T1) spiraling in the groove for the radial nerve around the posterior side of the humerus, then continuing laterally between the brachialis and brachioradialis as well as the extensor carpi radiales. It divides at the elbow into deep and superficial branches.
→(橈骨神経は後神経束より起こる(多くはC5~Th1)。腋窩の中で腋窩動脈の背面をを通り、上腕深動脈とともに上腕骨の後面にいたる。橈骨神経溝の中で骨の近く上腕骨の外側縁を回り、外側筋間中隔を貫き、肘関節の上で屈側にでる。関節のすぐ遠位で知覚性の浅枝と太い運動性の深枝に分かれる。前者は前腕では腕橈骨筋を誘導する筋として使い、後者は回外筋に入り、螺旋状に曲がって前腕の伸側を下降する。橈側神経の腕のすべての伸筋を支配し、3つの皮枝、下外側上腕皮神経、後上腕皮神経、および後前腕皮神経は、腕の伸側の皮膚(三角筋部を除く)と手の皮膚(尺側縁、第4,5指、および第2、3指の末節を除く)を支配する。肘関節部で浅枝と深枝に分かれる。上腕三頭筋と肘筋への神経枝は、“橈骨神経管”の入り口の前と入り口部において、すでに橈骨神経から分岐している。)
- 939_24【Posterior cutaneous nerve of arm; Posterior brachial cutaneous nerve後上腕皮神経;背側上腕皮神経 Nervus cutaneus brachii posterior; Nervus cutaneus brachii dorsalis】 Small cutaneous branch on the extensor side of the arm.
→(上腕後面の皮膚感覚などを支配する。腋窩の下で橈骨神経から分かれる。[C5~T1](イラスト解剖学))
- 939_25【Muscular branches of median nerve筋枝(正中神経の) Rami musculares (Nervus medianus)】 Branches supplying the pronator teres, flexor carpi radialis, palmaris Iongus, and flexor digitorum superficialis.
→(正中神経の筋枝は大部分肘関節のあたりで出て円回内筋および前腕の屈筋中、尺側手根屈筋と深枝屈筋の尺側部以外の筋に分布する。)
- 939_26【Ulnar nerve尺骨神経 Nervus ulnaris】 Nerve arising from the medial cord that initially travels in the medial bicipital groove, pierces the medial intermuscular septum of the arm, and, after traversing the groove for the ulnar nerve, penetrates the flexor carpi ulnaris.
→(腕神経叢の枝であり、上腕の内側後部を下り肘頭の内(尺)側に達してから前面に近づき、尺側手根筋と深指屈筋(尺骨半)への筋枝を出したのち前腕を下りながら途中で手背尺側半の皮膚に分布する背側指神経および手掌尺側半の皮膚に分布する一つの皮枝を出す。手掌部に達した尺骨神経の本幹は短掌筋、小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋、尺側の虫様筋、短母指屈筋の深頭、母指内転筋、および骨間筋への筋枝を出すほか、総掌側指神経とその末梢側のつづきである固有掌側指神経になり小指および薬指の表面をおおう皮膚に分布する。)
- 939_27【Triceps brachii muscle上腕三頭筋 Musculus triceps brachii】 Three-headed arm muscle with a common attachment on the olecranon and the posterior wall of the joint capsule. Extends the elbow. I: Radial nerve.
→(肘を伸ばす筋。3つの起始のうち、軽く伸展する時は内側頭が働き、強く伸展する時には長頭や外側頭も協同する。長頭は肩甲骨の関節下結節、外側頭は上腕骨上部の後面、内側頭は上腕骨体の後面からおこり、合したのち尺骨の肘頭につく。なお、この筋は肩関節の内転にも働く。神経支配:橈骨神経(C5,C7,C8).動脈:上腕深動脈。(イラスト解剖学))
- 939_28【Long head of triceps brachii muscle長頭(上腕三頭筋の) Caput longum (Musculus triceps brachii)】 o: Infraglenoid tubercle. Retroversion and adduction of the shoulder joint. Divides the triangular (medial) and quadrangular (lateral) spaces between the teres major and minor muscles.
→(長頭は肩甲骨の関節下結節とそれに続く肩甲骨外側縁から起こる。この筋は、広い表層の腱板を介して肘頭に停止する。外側の腱線維束は前腕の筋膜に入り、肘頭が損傷された場合にも予備の伸筋としての働きをする。また、その深層の線維は肘関節の関節包に付着している。これらは肘関節筋と呼ばれている。)
- 939_29【Brachial artery上腕動脈 Arteria brachialis】 Continuation of the axillary artery that passes from the inferior border of the pectoralis major in the medial bicipital groove to its division into the radial and ulnar arteries.
→(上腕動脈は大円筋の停止腱の下縁の高さで腋窩動脈よりつづいてはじまり、上腕前面の内側部で上腕二頭筋の内側(内側二頭筋溝)に沿って、正中神経および上腕静脈とともに下行し、肘関節の前面のやや遠位で橈骨動脈と尺骨動脈に分かれる。)
- 939_30【Medial head of triceps brachii muscle; Deep head of triceps brachii muscle内側頭;深頭;尺側頭;上腕骨粗線(上腕三頭筋の) Caput mediale; Caput profundum; Caput ulnare; Linea aspera humeri (Musculus triceps brachii)】 o: Posterior surface of humerus, medial and distal to the groove for the radial nerve.
→(内側頭は上腕骨の後面、橈骨神経溝の内側遠位および両側間中隔(とりわけ、内側)から起こる。)
- 939_31【Medial intermuscular septum of arm; Medial brachial intermuscular septum内側上腕筋間中隔;尺側上腕筋間中隔 Septum intermusculare brachii mediale; Septum intermusculare brachii ulnaris】 Tendinous sheet that attaches the brachial fascia to the medial border of the humerus and gives origin to muscle fibers.
→(内側上腕筋間中隔は上腕骨内側縁と上腕筋膜の間にある腱性の筋起始板。)
- 939_32【Ulnar collateral branch of radial nerve尺側側副枝(橈骨神経の) Ramus collateralis ulnaris (Nervus radialis)】
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