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- 172_00【Humerus上腕骨 Humerus】 The bone of the upper arm.
→(上腕骨は典型的な長管状骨であるが、上端は半球状にふくらんで上内側を向き、下端は前後に扁平である。上端の半球状の部分は大きな関節面で上腕骨頭といい、その基部の周囲にある浅いくびれを解剖頚という。上腕骨頭の前外側には2個の隆起があり、口蓋側のものを大結節、前内側のものを小結節という。両結節の下部はともに下方へ細長く延び出して、それぞれ大結節稜および小結節稜を作っている。大小の結節および結節稜の間には上下に走る溝があり、結節間溝という。大小稜結節のすぐ下で、上腕骨体に移行する部位は骨折を起こしやすく外科頚とよばれる。上腕骨体は上腕骨の大部分を占める骨幹の部分で、上半は円柱状、下半は三角柱状であり、下端は前後に扁平である。上腕骨体の外側面には、第毛節稜のすぐ下からはじまり、上腕骨体の中央に達する三角筋粗面がある。この粗面の後下方には橈骨神経溝という浅い溝があり、上腕骨体の後面を状内側から下外側に向かってラセン状に走っている。上腕骨の下端部は著しく扁平に広がり、内側方に内側上顆、外側方に外側上顆が突き出しており、内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。この二つの上顆の間には前腕の骨と連結する上腕骨窩があり、内側の上腕骨滑車と外側の上腕骨小頭に区別される。前者は中央が浅くくぼんだ円柱状で尺骨の滑車切痕と関節をつくり、後者は小半球状で橈骨頭窩に面している。上腕骨下端部前面には二つのくぼみがあり、滑車の上方にあるものを鈎突窩、小頭の上方にあるものを橈骨窩という。これは肘を強くまげたときに尺骨の鈎状突起および橈骨頭がはまりこむところである。また、後面には滑車のすぐ上方に楕円形の深いくぼみがあり肘頭窩という。これは肘をまっすぐに伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所である。鈎突窩と肘頭窩はうすい骨質をはさんで前後面から互いに相接しているが、このうすい骨質に孔があいていることがあり、これを滑車上孔という。内側上顆の上方にはまれに小さい突起がみられることがあり、これを顆上突起という。顆上突起と内側上顆の間には靱帯が張り、その間を正中神経が通過する。また、この靱帯からは円回内筋の一部がおこる。)
- 172_01【Anatomical neck of humerus解剖頚(上腕骨の) Collum anatomicum humeri】 Area bounded by the head of the humerus at one end and the greater and lesser tubercles at the other.
→(上腕骨頭の周囲は浅い溝で区切られているので、ここに軽度のくびれが生じている。このくびれが理論的な意味での解剖頚である。)
- 172_02【Infraspinatus muscle棘下筋 Musculus infraspinatus】 o: Infraspinous fossa of scapula, spine of scapula, infraspinous fascia, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation, strengthens joint capsule. 1: Suprascapular nerve.
→(棘下筋は棘下窩(肩甲骨頚を縁どる部分は除く)から起こり、肩関節包と上腕骨の大結節中央面につく。これは小円筋とともに肩甲骨縁に付着している筋膜によっておおわれている。機能としては小円筋とともに上腕骨頭を外旋する。神経支配は肩甲上神経。動脈は肩甲上動脈(肩甲横動脈)、肩甲回旋動脈より受ける。)
- 172_03【Teres minor muscle小円筋 Musculus teres minor】 o: Lateral border of scapula, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation. I: Axillary nerve.
→(小円筋は肩甲骨外側縁に起始し、大結節後面にいたる。この筋はしばしば棘下筋に非常に接近して停止しているので、神経支配の違いを基にしてのみ境界線引くことができる。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 172_04【Greater tubercle of humerus大結節(上腕骨の) Tuberculum majus humeri】 Large protuberance on the lateral surface of the humerus for muscle attachment.
→(上腕骨頭の外側には2個の隆起が見られる。そのうち外側方を向く大きいほうが大結節(棘上筋・棘下筋・小円筋が付く)である。)
- 172_05【Supraspinatus muscle棘上筋 Musculus supraspinatus】 o: Supraspinous fossa, supraspinous fascia, i: Greater tubercle of humerus, capsule of glenohumeral joint. Abduction, tenses the joint capsule, minimal rotational components. I: Suprascapular nerve.
→(棘上筋は肩甲骨の棘上窩(外側は肩甲骨頚まで)および、それをおおい肩甲骨縁と肩甲棘に付着している筋膜から起こっている。腱は肩峰の下を通り、肩関節包に線維を放散させ、上腕骨の大結節の上面に付いている。機能としては上腕外転にさいし三角筋を補助する。関節窩に上腕骨頭を固定する。上腕骨頭を外旋する。神経支配は肩甲上神経。動脈は肩甲上動脈(肩甲横動脈)から受ける。)
- 172_06【Intertubercular sulcus; Bicipital groove結節間溝(上腕骨の) Sulcus intertubercularis】 Groove between the two tubercles for passage of the tendon of the long head of the biceps brachii muscle.
→(上腕骨の結節間溝は上腕骨の大結節、小結節(および大・小の結節稜)の間には幅1cm弱の結節間溝(上腕二頭筋の長頭の腱が通る)が上下に走っている。結節間溝には上腕二頭筋長頭の腱が通り、その床に広背筋が付着している。)
- 172_07【Lesser tubercle小結節(上腕骨の) Tuberculum minus】 Small protuberance on the anterior surface of the humerus for muscle attachment.
→(上腕骨頭の外側には2個の隆起が見られる。そのうち前面に突出する小さい方が小結節(肩甲下筋が着く場所)である。)
- 172_08【Head of humerus上腕骨頭 Caput humeri】
→(上腕骨の上端では、まず半球状の大きな関節面があり、これが上腕骨頭で、その頂点は内側方を向くが、多少後上方にずれている。)