671
- 671_01【Accessory parotid gland副耳下腺 Glandula parotidea accessoria】 Accessory lobe situated on the masseter near the parotid duct.
→(副耳下腺は咬筋の上、耳下腺導管近くにある付加的な腺葉。)
- 671_02【Parotid gland耳下腺 Glandula parotidea; Glandula parotis】 It occupies the retromandibular fossa, extending to the temporomandibular joint and the ramus of mandible.
→(耳下腺はヒト最大の唾液腺で、左右の耳の前下方にあり、下は下顎角まで、上は頬骨弓まで、後方は胸鎖乳突筋まで、内側は側頭下窩の下顎骨下顎枝まで広がっている。その分泌管の耳下腺管によって上顎第2大臼歯の頬粘膜に開口する。終末部(線房)は純漿液性の分泌物からなる(これは他の大唾液腺との大きな違いである)。介在部および線条部もよく発達している。小葉内(腺の実質内)に多数の脂肪細胞が散在するもの、大きな特徴の一つで他の唾液腺と容易に区別できる点である。Parotisという語は、para(傍)とotis(耳)との複合語で、耳の傍らにあるものという意味である。17世紀のフランスの解剖学者リオランの命名である。)
- 671_03【Submandibular gland顎下腺 Glandula submandibularis; Glandula submaxillaris】 Predominantly serous gland that is situated almost entirely beneath the mylohyoid muscle.
→(顎下線は顎舌骨筋の下で、下顎骨と顎二腹筋の間の三角形の窩(顎下三角)の中にある長さ2.5~3.5cm、厚さ約1.5cm、成人平均重量(一側)3.5~9.0gのやや扁平な楕円体。複合管状胞状線で、腺房は漿液細胞が大部分を占める混合性である。導管系は介在導管と線条導管が耳下腺、舌下腺に比べてはるかによく発達し、これらの導管上皮細胞には、管腔側に多少とも分泌顆粒様構造をもつことが多い。とくに齧歯目の顎下腺では、腺房は漿粘液性の分泌顆粒をもったただ1種類の細胞からなり、介在導管と線条導管の間には多数の分泌顆粒をいれた上皮細胞の一群がみられる。これを顆粒性膨大部(Granular convoluted tubes)または線条導管分泌部(secretory protion of striated duct)とよぶ。その発達は性ホルモン依存性で雌より雄がよく発達し(性的二形、sexual dimorphism)マウスやラットではこの部の総体積は終末部のそれを凌駕する。主としてマウスの顎下腺で証明された神経成長因子、上皮成長因子、レニン、カリクレインなどの特蛋白は、この部分で産生放出されると考えられている。顎下腺管(Ductus submandibularis) (Wharton's ductともいう)は大舌下腺管とともに舌下小丘に開く。血管は顔面、舌動脈の枝が、神経は鼓索神経が顎下神経を経て、また血管を介して交感性線維が分布する。)
- 671_04【Zygomatic arch頬骨弓 Arcus zygomaticus】 Arch formed by the zygomatic process of the temporal bone and the temporal process of the zygomatic bone.
→(眼窩の外側方には、眼鏡のつるのような骨の橋がある。これが頬骨弓で、その後端は耳の孔(外耳孔)の近くまで達している。頭蓋を正面から見ると、顔面は頬骨弓の所が最も広く、それよりも下方では急に幅が狭くなっている。頬骨の側頭突起が頬骨の後下部より後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して形成された骨弓をいい、ほぼ水平位にある。側頭突起と頬骨突起間にある前方により後方へ斜走する縫合を側頭頬骨縫合という。頬骨弓からは咀嚼筋の一つである咬筋が起こり下顎角の咬筋粗面につく。なお頬骨弓の外側方への最も突出した点を頬骨弓点といい、両側のこの点の間の距離をもって頭蓋の顔面幅最大長としている。頬骨弓の下方のくぼみにある脂肪塊(頬脂肪体sucking pad)は、普通の皮下脂肪とは違って、線維の少ないみずみずしい脂肪組織からなり、いくらを詰めたようになっている。)
- 671_05【Masseter muscle咬筋 Musculus masseter】 The most prominent masticatory muscle. It acts to close the mouth and, together with the temporal and medial pterygoid muscles, determines the level of masticatory force. It consists of the following two parts.
→(咬筋は最も浅層にある咀嚼筋である。浅部と深部の2部からなり、浅部は強い腱で頬骨弓の前3分の2の下縁と内面から起こり後下方に向かい、深部は頬骨弓の後3分の2の下縁に垂直に下り向かい下顎枝および下顎角の外面に付く。作用は下顎骨を引き上げて歯をかみ合わせる。咬筋は強大な筋で、歯をかみ合わせると、体表からみることができ、かつ触れることができる。)
Stensen's (Stenon) duct
- 671_06Stensen's (Stenon) duct【Parotid duct耳下腺管 Ductus parotideus】 Excretory duct that extends around the anterior border of the masseter, usually over the buccal fat pad, and opens opposite to the upper second molar tooth.
→(耳下腺管はステンセン管ともよばれる。または、ステノン管ともよばれ、日本ではステノ氏孔などともいう。耳下腺管は頬骨弓の下方約2cmの部を水平に走り、頬筋を貫いて上顎第2大臼歯対側の口腔粘膜に開口する。デンマークの解剖学者Niels Steno [Nicholas Stensen] (1638-1686)によって、1661年頃に発見された。後年、ステンセンはローマカトリックの司教となっている。)
- 671_07【Zygomaticus major muscle; Greater zygomatic muscle大頬骨筋;頬骨筋 Musculus zygomaticus major; Musculus zygomaticus】 Muscle extending from the zygomatic bone to the angle of the mouth and upper lip. I: Facial nerve.
→(大胸骨筋は頬骨弓から内側下方へ向かって上唇および口角まで走る。大頬骨筋は口角を引き挙げ、かつ口角を外方へ引く(狭義の“笑う筋”)。)
- 671_08【Buccinator muscle頬筋 Musculus buccinator】 Muscle arising from the pterygomandibular raphe and adjacent areas of the maxilla and mandible to the height of the first molar teeth, and inserting into the orbicularis oris at the angle of the mouth. It forms the cheek, moves food from the oral vestibule between the dental arcades during mastication, prevents entrapment of the mucous membrane of the mouth, and is active during laughing and crying. I: Facial nerve.
→(頬筋は頬の筋性土台に該当し、口角部で口輪筋に付着する。頬筋は弓状に上顎骨歯槽突起の臼歯部、かつ下顎骨歯槽突起から起こる。上および下顎間は腱性の翼突下顎放線によって橋渡しされ、この放線もまた頬筋の起始である。上咽頭収縮筋の一部がこの放線の後部で起始する。口角付近で、線維索が交叉するので、頬の上方に位置する部分は下唇に広範囲わたって達することもあるし、達しないこともある頬筋は上顎の第2大臼歯のレベルで耳下腺管によって貫通され、しかも本筋は脂肪体からこれを隔てる浅筋膜(頬咽頭筋膜)を有する唯一の顔面筋である。頬筋は上・下歯列弓および頬粘膜間に入り込んだ植物片を再度歯列弓間に押し戻し、咀嚼および植物片のかたちづくりに重要な役割を果たしている。本筋は口腔前庭を圧縮して、空気あるいは液体を口裂を通してふき出す(泡をふき出す、口笛をふく、吐き出す:“トランペット吹きの筋”)。両側の頬筋の収縮はは口角の外側部をくぼませる。参考:この筋は頬粘膜に密に結合しているが、皮膚との間は脂肪組織で隔てられている。上顎第2大臼歯の高さで耳下腺管に貫かれる。)
- 671_09【Facial vein顔面静脈;総顔面静脈;前顔面静脈 Vena facialis; Vena facialis communis; Vena facialis anterior】 Vein beginning at the medial angle of eye that lies behind the facial artery and then beneath the submandibular gland.
→(顔面静脈は顔面動脈の分布域である顔面浅部からの静脈を集める。顔面静脈は内眼角から始まり(眼角静脈)、顔面動脈の後ろに沿って斜めに下方に走り、内・外頚動脈、舌下神経との浅側を後下方に向かい、舌骨の高さで内頚静脈または外頚静脈にそそぐ。顔面静脈は吻合に富み、また顔面の深部の静脈や頭蓋内の静脈(硬膜静脈洞)とも連絡している。たとえば、顔面静脈は内眼角の付近で、眼窩内の上眼静脈の根もと吻合し、さらに頭蓋腔内の顔面静脈洞とも連絡する。また、鼻や上唇の近くでも深部の静脈と連絡する。)
- 671_10【Facial artery顔面動脈;外顎動脈 Arteria facialis; Arteria maxillaris externa】 Third anterior branch of the external carotid artery. It lies behind the posterior belly of digastric muscle, stylohyoid, and submandibular gland. It crosses the mandible along the anterior border of the masseter and supplies the muscles of facial expression.
→(顔面動脈は舌動脈のやや上方で、外頚動脈の前側から起こり、下顎角の内側で顎下腺の上面を前方に走り、化学体の下縁をまわって顔面に現れる。顔面に出ると、蛇行しながら口角を経て鼻の側縁に沿って上場し内眼角(メガシラ)に至る。顔面動脈が下顎骨の下縁をまたがって顔面に出るところで体表から脈動を触れる。この部位は咬筋の前縁(歯を強くかみ合わせると触れる)にあたる。)
- 671_11【Submandibular nodes; Submandibular lymph nodes顎下リンパ節;オトガイ下リンパ節;耳下腺リンパ節 Nodi lymphoidei submandibulares; Lymphonodi submandibulares】 Lymph nodes located between the mandible and submandibular gland that serve as first and second filtering stations. Directly drain: medial angle of eye, cheek, side of nose, upper lip, lateral part of lower lip, gingiva, and anterior lateral border of the tongue. Indirectly drain: facial and submental nodes. Drain into: deep cervical lymph nodes.
→(所属リンパ節名(頚部)(100-sm)顎下腺周囲,顎舌骨筋の前面,耳下腺周囲に存在するリンパ節。
下顎骨と顎下腺の間にあり、第一および第二の瀘過場となる。直接の輸入領域は内眼角、頬、鼻翼、上唇、下唇側部、歯肉、舌外側縁の前部。間接的輸入領域は顔面およびオトガイ下リンパ節。輸出流は深頚リンパ節へ。)