A02_1_12_001

上顎骨Maxilla; Maxillary bone(Maxilla)

上顎骨【じょうがくこつ】 (上顎骨は不規則な形をした含気骨。顔面頭蓋の中央を占める有対性の骨で、左右のものが正中で結合して、眼窩・鼻腔・骨口蓋などの骨格に関与する。上顎骨はその主部をなす体と、これから突出する4種類の突起で構成される。上顎の歯をつけるほぼ四角形の有対骨で、内に鼻洞(上顎洞)のある中央部(上顎体)と四つの突起に区別される。四つの突起とは上方にのびて鼻根の外側部つくり前頭骨に接する前頭突起、外方にのびて頬骨につづく頬骨突起、水平の内方にのび、他側のそれと合して硬口蓋の大部分をつくる口蓋突起と、そこから堤防状に下方に高まり、歯をつける歯槽突起である。上顎骨の前面をみると、体の上縁は眼窩下縁で、その下0.5~1.0cmに大きい孔(眼窩下孔)がある。眼窩下神経、血管がとおり、三叉神経第2枝の圧痛点である。ときに眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縫合)。眼窩下孔の下方の浅いへこみ(犬歯窩)は口角挙筋の起始部である。体の内側縁はするどい稜で、弓状に折れこみ(鼻切痕)、対側のものとで骨性鼻腔の前口(梨状口)をかこむ。上顎骨外面をみると眼窩下縁の延長が前頭突起に鋭い稜を(前涙嚢稜)をつくる。犬歯窩の後ろで大きい頬骨突起が外方に出て、この突起の上面(眼窩面)が眼窩底をつくる。そこには前後に走る溝(眼窩下溝)があり、前にいくにつれ骨の下に入る(眼窩下管)。眼窩面の後縁は大翼とともに下眼窩裂を境する。頬骨突起より後ろの面は側頭下面で、後縁口蓋骨垂直板と結合する。上顎洞後壁のうしろへの膨隆を上顎結節といい、ここにある二、三の孔(歯槽孔)が歯槽管につづき、そこから歯槽に開口する管が出る。後上歯槽神経が通る。内側面では上2/3と下1/3の境から口蓋突起が水平に突出し、それより上の部は鼻腔面である。前頭突起の基底部に上下2条の稜があり、上のもの(篩骨稜)は中鼻甲介につき、したのもの(鼻甲介稜)は下鼻甲介上縁前端がつく。前頭突起の控除迂遠は半月状に切れ込み(涙嚢切痕)、そこから後下方に深い溝(涙嚢溝)があり、涙骨の下の部分ととともに鼻涙管をつくる。前頭突起には涙骨につづく縁(涙骨稜)がある。体の内側面、涙嚢溝のうしろに指をとおす大きさの上顎洞の入口(上顎洞裂孔)がある。内側面後縁上半分は滑らかで翼口蓋窩の前壁をつくり、下半部は口蓋骨につき、粗面で、大口蓋溝があり、口蓋骨の同名溝と合して垂直な管(大口蓋管)をつくる。口蓋突起の上面は滑らかで、鼻腔の床に当たり、内縁は高まって他側のものと合して鋤骨をつける鼻稜をつくり、前方では梨状口下縁で棘上に高まる(前鼻棘)。その少しうしろに開口があり、下方は正中面で溝となり、他側のものと合して1本の管(切歯管)として、口蓋面前方正中部の切歯窩に切歯孔としてひらく。下面は粗で口腔の天井をつくり、大幸外口から出て前方に向かう神経血管のために生じた前後に走る口蓋溝、それと平行な稜(溝が医療)がみられる。歯槽突起については下顎骨をみよ。歯槽突起外面にある歯槽に起因する膨隆群を歯槽隆起という。Maxillaという言葉はローマ時代から「アゴ」の意味でも上顎にも下顎にも使われてきた。Vesaliusも、上顎骨をmaxilla superior,下顎骨をmaxilla inferiorと呼んでいる。Maxillaが上顎骨だけに限定され、下顎骨がmandibulaと呼ばれるようになったのは近代に入ってからである。顎下腺(下顎骨の下にある唾液腺)も1935年まではglandula submaxillarisと呼ばれていた。)

Spalteholz

小解剖学図譜

人体局所解剖図譜 I巻

人体局所解剖図譜 III巻

人体局所解剖図譜 IV巻

Moore人体発生学

10-1.咽頭弓

15-3.軸骨格の発生

Rauber Kopsch

Band1(171)

岡島解剖学

Pocket atlas of human anatomy

ネッター解剖学図譜

 

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