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- 032_00【Temporal bone側頭骨 Os temporale】 Bone located between the occipital, sphenoidal, and parietal bones. It consists of petrous, tympanic, and squamous parts.
→(側頭骨は頭蓋の底部および側面にある大きな不規則形の骨。頭蓋側壁の中央部と頭蓋底中央の両側部を作るばかりでなく、骨の中に平衡聴覚器(外耳道・中耳・内耳)を容れる大切な骨である。岩様部(乳突部と錐体)、鼓室部および鱗部の3部が癒合して単一の骨になるのは生後1年ほど経ってからである。3部が合するところの外面には大きい孔がある。これを外耳孔といい、その内方のつづきは外耳道によって鼓室に通ずる。また、外耳孔の上方で鱗部の外側前方に出る頬骨突起は頬骨に達して頬骨弓をつくる。下縁から咬筋が起こる。)
- 032_01【Temporal squamous of temporal bone側頭鱗(側頭骨の) Squama temporalis】
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- 032_01a【Squamous part of temporal bone鱗部(側頭骨の) Pars squamosa (Ossis temporale)】 The part of the temporal bone that is inserted between the sphenoidal, parietal, and occipital bones.
→(側頭骨の鱗部は垂直に立つ半円形の薄い骨板で、頭蓋冠の側頭の一部を作る。その上縁は窩束のカミソリのように薄くそぎとられて頭頂骨との間に鱗状縫合を作り、前縁は蝶形骨の大翼に接する。鱗部の外面からは頬骨突起が長く前方に延びだして、その前端は頬骨の側頭突起と連結して頬骨弓の後半を作る。)
- 032_02【Petrous part of temporal bone岩様部;錐体乳突部;錐体;錐体部(側頭骨の) Pars petrosa; Pars petromastoidea (Ossis temporalis)】 The part of the temporal bone that contains the internal ear.
→(岩様部は外耳孔の後で下方に突出する乳様突起から頭頂切痕にかけての部を乳突部と、それを底として前内方に水平に突出する四角錐状の骨塊である錐体(狭義の岩様部ということもある)を含めて岩様部(錐体乳突部)と呼ぶ。これは軟骨性頭蓋底の耳嚢に由来する一塊の独立した骨として発生する。しかし、便宜上ここでは乳突部と錐体を分けて説明する。①乳突部の外側面は筋の付着による粗面を有し、外耳孔の後方で下方へ延長した部分を乳様突起といい、胸鎖乳突筋の着くところである。乳様突起の後内側には乳突切痕があり、ここに顎二腹筋後腹が起こり、さらにその内側に後頭動脈溝が認められている。乳突部の内側面には深くて長い陥凹があり、ここにS状洞溝が走り、上方では後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづく。後縁にある乳突孔は乳突導出静脈を通し、S状洞溝に開く。乳突部の後部は後頭鱗と結合する部分で後頭縁という。顔面神経管は顔面神経の通路で内耳道底の顔面神経野より骨内に入り、蝸牛の外側に沿って、ほとんど水平位で前外方へ進む。次いでほぼ直角をなして後外方へまがり、ここで顔面神経管膝を形成する。その後、鼓室壁の前庭窓の上部すなわち鼓室と骨半規管の間を走行し、外後方に進んだ後、弓状をなして下行し、茎乳突孔に開口する。鼓索神経小管は鼓索神経の通路で茎乳突孔の少し上方で顔面神経管から分かれて前上方へ延び、鼓室溝の後縁に極めて近いところで鼓室に開口する。次いで鼓室の外側壁の粘膜におおわれながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上方を貫通し、錐体鼓室裂を経て、頭蓋外面に出る。②側頭骨の錐体は蝶形骨と後頭骨との間で後外側から前内側に向かい斜位に介在する四角錐体形の骨で、最も堅い骨として知られている。前、後、下の3面および上、前、後の3縁に大別される。先端部を錐体尖といい、蝶形骨体、大翼、および後頭骨底部との間に破裂孔を形成する。破裂孔は骨化せず頭底線維軟骨で満たされており、ここを大・深錐体神経が貫通する。錐体線に頚動脈管の内攻が開口する。すいたの下面に導管の外口が開口し、外口の後上壁から2本の頚鼓小管が入り鼓室に開く。錐体の前縁は蝶形骨大翼との間に蝶錐体裂をなす。前面は大脳面ともよばれ、外側溝半には内耳前半器管によって生じた弓状隆起があり、また弓状隆起と錐体鱗裂との間には鼓室の上壁をなす鼓室蓋がある。錐体戦地角には三叉神経圧痕という小さな窩がある。その後外方に錐体の長軸とほぼ平行に走る2本の溝があり、内側の溝を大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経管裂孔より骨内に入り顔面神経管につづく。また外側の溝は小錐体神経溝といい、その後端は小錐体神経管裂孔より骨内に入り、鼓室を経由して鼓室小管につづく。上縁は前面と後面との境界をなし、境界部の稜に上錐体洞溝がある。後面は小脳面ともよばれ、この面のほぼ中央に内耳孔があり、これは内耳道につづき、さらにつづいて内耳道底となる。内耳孔の上外後方に浅い弓下窩の下外後方に前庭水管の開口である前庭水管外口がある。後縁の前内側部は後頭骨底部に接し、錐体後頭裂をなし、ここに下錐体洞溝がある。その後内側部に頚静脈切痕があり、後頭骨外側部の同名溝と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起はは、後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を小さい前部と大きい後部とに分ける。下面の前縁鱗部に接するところ、すなわち錐体鱗裂の前内側端に筋耳管管の開口があり、この管は筋耳管管中隔により上部の鼓膜張筋半管と下部の耳管半管に二分されている。また下面の後外側部には大きい弓状の頚静脈窩があり、その直前にある頚動脈管外口との間にはきわめて小さい錐体小窩があり、その底に鼓室小管が開口する。またこの窩の後内方に蝸牛小管の外口が認められる。頚静脈窩の外壁には乳突小管があり、これは骨内で顔面神経管の下端部と交差し、鼓室乳突裂に開く。頚静脈窩の外側で下面の後外側端より細長い茎状突起が出るが、その突起の基部直前に顔面神経管の開口である茎乳突孔がある。この孔の少し上方で鼓索神経小管が顔面神経管から分かれて鼓室の後壁より鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂より外頭蓋底出る。なおすいた鼓室裂と既述の錐体鱗裂とを合わせて鼓室鱗裂という。)
- 032_03【Parietal notch頭頂切痕 Incisura parietalis】 Notch between the posterior border of the squamous part of the temporal bone and the superior border of the mastoid process.
→(頭頂縁の後部に深い頭頂切痕があり、ここに頭頂骨乳頭角が入るが、ここが鱗部と岩様部とが骨性に癒着した位置の後端を示す。)
- 032_04【Squamomastoid suture; Petrosquamous suture鱗乳突縫合;錐体鱗縫合 Sutura squamomastoidea; Sutura petrosquamosa】 Suture that fuses early in life, uniting the mastoid process and the squamous part of the temporal bone.
→(鱗乳突縫合は側頭骨の鱗部と乳突部とが別個に発生したため生じたための縫合の一部が側頭骨外面で頭頂切痕から前下方に走る縫合線としてみられるものをいう。)
- 032_05【Stylomastoid foramen茎乳突孔 Foramen stylomastoideum】 External opening of the facial canal behind the styloid process and between the mastoid process and the jugular fossa.
→(錐体下面の後外側端は茎状突起の着く所で、これとそ後方の乳様突起との間にある茎乳突孔は顔面神経管の出口である。)
- 032_06【Oval window; Vestibular window前庭窓;卵円窓 Fenestra vestibuli】 Opening that is closed off by the base of the stapes.
→(前庭窓は鼓室の内側壁の卵形開口で、前庭に通じ生体ではこの窓にアブミ骨底がはまりこんでいる。前庭窓のすぐ下に岬角とよばれる隆起がある。)
- 032_07【Zygomatic process of temporal bone頬骨突起(側頭骨の) Processus zygomaticus (Ossis temporale)】 Projection from the temporal bone that contributes to the zygomatic arch.
→(側頭面の下部で外耳孔の前上方にあたる所から前方に向かって長い頬骨突起を出す。この突起の前端は頬骨の側頭突起に達して、やや外方に張り出した頬骨弓を形成する。)
- 032_08【Articular tubercle of temporal bone関節結節(側頭骨の) Tuberculum articulare (Ossis temporale)】 Rounded projection anterior to the mandibular fossa.
→(顎関節の直前で頬骨突起基部の下面に高まる関節結節は下顎窩の前方の境となるが、生体では関節結節と関節面が一続きの軟骨で被われて関節包の内にあり、顎関節の関節窩となる。)
- 032_09【Mandibular fossa下顎窩 Fossa mandibularis】 Articular fossa of the temporomandibular joint.
→(頬骨突起の基部の下面にある深い凹窩で、下顎頭がはいる。)
Glaserian fissure グラーザー裂
- 032_10Glaserian fissure グラーザー裂【Petrotympanic fissure錐体鼓室裂 Fissura petrotympanica】 (glaserian fissure). Fissure located posteromedial to the mandibular fossa between the tympanic part and the visible strip of the petrous part of the temporal bone. Its medial part can lodge the chorda tympani.
→(鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂である。)
- 032_11【Tympanic ring鼓室輪 Anulus tympanicus; Annulus tympanicus】 Bony ring, the upper part of which is still open in newborns.
→(鼓鼓室部は新生児では未だ発育しないで、上部の欠けている鼓室輪をみるのみである。)
- 032_12【Promontory of tympanic cavity岬角(鼓室の) Promontorium (Tympani)】 Elevation produced by the basal turn of the cochlea.
→(蝸牛の基底回転によりできる隆起。 (Feneis))