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- 056_00【Palatine bone口蓋骨 Os palatinum】 Bone that extends from the posterior border of the maxilla to the sphenoid.
→(口蓋骨は上顎骨の後方の不規則な形をしている。骨口蓋の後面と鼻腔外側壁の後部を作る有対性の薄い骨である。上顎骨と蝶形骨の間にはさまれたL字型の骨で、水平板と垂直板に区別される。水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。垂直板はうすく、前方は上顎骨体の内側に重なり、上顎洞の入口の一部を後下からおおう。うしろは蝶形骨翼状突起につくが、水平板に移行するところから後方に錐体突起が出て、翼状突起の外側板と内側板の間につくられるうしろに向かう凹み(翼突窩)の下縁にある翼突切痕に嵌入する。垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。)
- 056_01【Perpendicular plate of palatine bone垂直板;鉛直板;上顎板;鉛直部(口蓋骨の) Lamina perpendicularis; Lamina maxillaris; Pars perpendicularis (Os palatinum)】 Vertical bony plate contributing to the walls of the nasal and maxillary sinuses.
→(垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。)
- 056_02【Horizontal plate of palatine bone水平板;口蓋板;水平部(口蓋骨の) Lamina horizontalis; Lamina palatina; Pars horizontalis (Os palatinum)】 It forms the posterior third of the hard palate and thus the floor of the nasal cavity.
→(水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。)
- 056_03【Ethmoidal crest of palatine bone篩骨稜(口蓋骨の) Crista ethmoidalis ossis palatini】 Ridge providing attachment for the posterior end of the middle nasal concha.
→(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。上縁近くにあるものを篩骨稜という。中鼻甲介上縁が着く。)
- 056_04【Orbital process of palatine bone眼窩突起(口蓋骨の) Processus orbitalis (Os palatinum)】 Anterosuperiorly projecting process located between the maxilla, ethmoid, and sphenoid.
→(垂直板の上縁では前部から眼窩突起が上方に起こる。)
- 056_05【Sphenopalatine notch蝶口蓋切痕;翼口蓋切痕 Incisura sphenopalatina; Incisura pterygopalatina】 Semi-oval notch between the orbital process and the sphenoidal process of the perpendicular plate of the palatine bone.
→(眼窩突起と蝶形骨突起の間に蝶口蓋切痕がある。)
- 056_06【Sphenoidal process of palatine bone蝶形骨突起(口蓋骨の) Processus sphenoidalis (Os palatinum)】 Process behind the sphenopalatine notch that borders with the body and the vaginal process of the sphenoid.
→(垂直板の後部から蝶形骨突起が上方に起こる。)
- 056_07【Conchal crest of palatine bone鼻甲介稜(口蓋骨の) Crista conchalis (Os palatinum)】 Ridge providing attachment for the posterior end of the inferior nasal concha.
→(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。下方のものを稜を鼻甲介稜(下鼻甲介上縁が着く)という。)
- 056_08【Nasal surface of palatine bone鼻腔面(口蓋骨の) Facies nasalis (Os palatinum)】 Surface of the perpendicular plate of the palatine bone facing the nose.
→(口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。)
- 056_09【Pterygoid fossa翼突窩 Fossa pterygoidea】 Depression between the lateral and medial plates of the pterygoid process for the medial pterygoid muscle.
→(翼状突起の内側板、外側板は後方に開いた翼突窩をつくる。ここから内側翼突筋が起始する。)
- 056_10【Pyramidal process of palatine bone錐体突起(口蓋骨の) Processus pyramidalis (Os palatinum)】 The inferoposterior end of the perpendicular plate of the palatine bone, which is inserted in the pterygoid notch.
→(垂直板の下部は水平板より矢状径が広くなり、水平板より後に大きく突出する錐体突起となって蝶形骨翼状突起の翼突切痕にはまる。)
- 056_11【Posterior nasal spine of palatine bone後鼻棘(口蓋骨の) Spina nasalis posterior (Laminae horizontalis ossis palatini)】 Posteromedian tip of the nasal crest.
→(水平板の内側縁の後端は棘状に後方へ突出して後鼻棘となる。)
- 056_12【Maxilla; Maxillary bone上顎骨 Maxilla】
→(上顎骨は不規則な形をした含気骨。顔面頭蓋の中央を占める有対性の骨で、左右のものが正中で結合して、眼窩・鼻腔・骨口蓋などの骨格に関与する。上顎骨はその主部をなす体と、これから突出する4種類の突起で構成される。上顎の歯をつけるほぼ四角形の有対骨で、内に鼻洞(上顎洞)のある中央部(上顎体)と四つの突起に区別される。四つの突起とは上方にのびて鼻根の外側部つくり前頭骨に接する前頭突起、外方にのびて頬骨につづく頬骨突起、水平の内方にのび、他側のそれと合して硬口蓋の大部分をつくる口蓋突起と、そこから堤防状に下方に高まり、歯をつける歯槽突起である。上顎骨の前面をみると、体の上縁は眼窩下縁で、その下0.5~1.0cmに大きい孔(眼窩下孔)がある。眼窩下神経、血管がとおり、三叉神経第2枝の圧痛点である。ときに眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縫合)。眼窩下孔の下方の浅いへこみ(犬歯窩)は口角挙筋の起始部である。体の内側縁はするどい稜で、弓状に折れこみ(鼻切痕)、対側のものとで骨性鼻腔の前口(梨状口)をかこむ。上顎骨外面をみると眼窩下縁の延長が前頭突起に鋭い稜を(前涙嚢稜)をつくる。犬歯窩の後ろで大きい頬骨突起が外方に出て、この突起の上面(眼窩面)が眼窩底をつくる。そこには前後に走る溝(眼窩下溝)があり、前にいくにつれ骨の下に入る(眼窩下管)。眼窩面の後縁は大翼とともに下眼窩裂を境する。頬骨突起より後ろの面は側頭下面で、後縁口蓋骨垂直板と結合する。上顎洞後壁のうしろへの膨隆を上顎結節といい、ここにある二、三の孔(歯槽孔)が歯槽管につづき、そこから歯槽に開口する管が出る。後上歯槽神経が通る。内側面では上2/3と下1/3の境から口蓋突起が水平に突出し、それより上の部は鼻腔面である。前頭突起の基底部に上下2条の稜があり、上のもの(篩骨稜)は中鼻甲介につき、したのもの(鼻甲介稜)は下鼻甲介上縁前端がつく。前頭突起の控除迂遠は半月状に切れ込み(涙嚢切痕)、そこから後下方に深い溝(涙嚢溝)があり、涙骨の下の部分ととともに鼻涙管をつくる。前頭突起には涙骨につづく縁(涙骨稜)がある。体の内側面、涙嚢溝のうしろに指をとおす大きさの上顎洞の入口(上顎洞裂孔)がある。内側面後縁上半分は滑らかで翼口蓋窩の前壁をつくり、下半部は口蓋骨につき、粗面で、大口蓋溝があり、口蓋骨の同名溝と合して垂直な管(大口蓋管)をつくる。口蓋突起の上面は滑らかで、鼻腔の床に当たり、内縁は高まって他側のものと合して鋤骨をつける鼻稜をつくり、前方では梨状口下縁で棘上に高まる(前鼻棘)。その少しうしろに開口があり、下方は正中面で溝となり、他側のものと合して1本の管(切歯管)として、口蓋面前方正中部の切歯窩に切歯孔としてひらく。下面は粗で口腔の天井をつくり、大口蓋孔から出て前方に向かう神経血管のために生じた前後に走る口蓋溝、それと平行な稜(口蓋稜)がみられる。歯槽突起については下顎骨をみよ。歯槽突起外面にある歯槽に起因する膨隆群を歯槽隆起という。Maxillaという言葉はローマ時代から「アゴ」の意味でも上顎にも下顎にも使われてきた。Vesaliusも、上顎骨をmaxilla superior,下顎骨をmaxilla inferiorと呼んでいる。Maxillaが上顎骨だけに限定され、下顎骨がmandibulaと呼ばれるようになったのは近代に入ってからである。顎下腺(下顎骨の下にある唾液腺)も1935年まではglandula submaxillarisと呼ばれていた。)