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- 097_00【Nasal cavity鼻腔 Cavitas nasi】
→(鼻腔は気道の起始部であり、内壁は鼻粘膜によっておおわれ、鼻中隔によって二分される。外界への開口部は外鼻孔とよばれ、後方は後鼻孔をもって咽頭鼻部につづく。鼻腔は鼻前庭と狭義の鼻腔とに分けることができる。鼻前庭は鼻翼の形に拡張し、粘膜は皮膚からつづく重層扁平上皮で剛毛(鼻毛)を有する。鼻前庭の降誕は鼻限とよばれる弓状の隆起を示し、固有鼻腔に移行する。鼻中隔は篩骨垂直板と鋤骨よりなる尾骨および鼻中隔軟骨よりなる軟骨部がその大部分を占め、その前部の左右の外鼻孔の間は軟組織からなり、篩骨篩板と鋤骨の間にはさまる。鼻中隔軟骨の前下部には鋤鼻軟骨中に嗅覚器の名ごり(鋤鼻器)の盲孔がみられることがある。鋤鼻器は両性類、爬虫類では嗅覚器として機能し、哺乳類の中では単孔類、有袋類、食虫類、齧歯類でよく発達している。人では胎生期前半にはよく発達するが、次第に萎縮し痕跡器官となる。鼻中隔軟骨下縁の前側にはよく発達するが、次第に萎縮痕跡器官となる。微衷飼う軟骨下縁の前側に、盲端に終わる切歯管が勧誘している。鼻腔の外側壁より上・中・下鼻甲介が突出し、それぞれの下に上・中・下鼻道をつくる。下鼻甲介の基部で中鼻道の前方は中鼻道前房とよばれる弓状の隆起で、中鼻甲介の基部に移行する。また、中鼻道には篩骨蜂巣の一部が膨らみでて篩骨胞をなし、その全科法の篩骨突起との間に半月裂孔をはさむ。半月裂孔は副鼻腔の一つである上顎洞に向かって深く入り篩骨漏斗となる。上鼻道の後上方にはときに最上鼻甲介とよばれる小さな突起があり、その後上方の鼻腔上壁は篩骨迷路の内側壁と蝶形骨体前面で裂かされるへこみで蝶篩陥凹という。上・中・下鼻道は鼻腔後部で狭い鼻咽道に集合し、後鼻孔を通じて後頭鼻部につづく。鼻粘膜の大部分は多裂腺毛円柱上皮性の呼吸部で、混合性の鼻尖と杯細胞を有する。粘膜固有層にはしばしばリンパ小節をみる。呼吸部のうち鼻中隔と鼻甲介の粘膜は上皮下の静脈網がきわめてよく発達しているため肥厚し、鼻甲介海面層とよばれる。鼻腔甲状壁の上鼻道から上と鼻中隔のこれに対する面は分散する鼻粘膜の球部が位置する。中鼻甲介の根部と嗅部粘膜上皮の構成にあずかっている。嗅上皮下には漿液性の休戦がある。嗅部の体積は両側の鼻腔を合わせて約500mm2といわれ、かれいとともに縮小する傾向がある。 (解剖学事典 朝倉書店より引用))
- 097_01【Nasal bone鼻骨 Os nasale】 Bone located between the right and left frontal processes of the maxilla. Its superior end articulates with the frontal bone.
→(鼻骨は三角形に近い長方形の薄い骨で、左右のものが正中で接合して鼻背の骨格を作る。骨化様式は結合組織性骨化である。鼻腔を前上方からおおう台形の骨である。上方は狭く、下方は広い。上縁は前頭骨鼻部の鼻棘に接し、下縁は遊離縁で骨鼻孔の梨状口の上縁をなす。外側縁は上顎骨の前頭突起と結合し、内側縁は他側の鼻骨と結合し、両者間に鼻骨間結合をなす。鼻骨の前面は軽度膨隆し、後面は軽度陥凹している。前面のほぼ中央に鼻骨孔があり、この孔は後面で篩骨孔につづき、ここを前篩骨神経の外鼻枝が通る。)
- 097_02【Inferior nasal concha下鼻甲介 Concha nasalis inferior】 The independent lower nasal concha, which is attached to the lateral nasal wall.
→(中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、縁が湾曲した薄い海綿状骨板で、鼻腔の側壁にあり、中鼻道と下鼻道を分ける。篩骨、涙骨、上顎骨、口蓋骨とで関節をなす。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。海綿状骨板とその肥厚した粘膜骨膜で、熱交換のための広範な海綿状の血管床を含む)
- 097_03【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It can extend beyond the squamous part of frontal bone into the orbital part of frontal bone. It opens below the middle nasal concha above the sphenoidal sinus.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 097_04【Crista galli鶏冠 Crista galli】 Small bony projection in the cranial cavity to which the falx cerebri is firmly attached.
→(篩板上面の正中線で、横からみると三角形の鋭い鶏冠が頭蓋腔に向かって突出する。)
- 097_05【Perpendicular plate of palatine bone垂直板;鉛直板;上顎板;鉛直部(口蓋骨の) Lamina perpendicularis; Lamina maxillaris; Pars perpendicularis (Os palatinum)】 Vertical bony plate contributing to the walls of the nasal and maxillary sinuses.
→(垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。)
- 097_06【Sphenoidal sinus蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis】 Paired sinus in the body of sphenoid that varies in size. It opens at the spheno-ethmoidal recess.
→(蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。)
- 097_07【Sella turcicaトルコ鞍 Sella turcica】 It is located above the sphenoidal sinus and houses the pituitary gland.
→(トルコ鞍は蝶形骨体上面には、トルコ風の馬の鞍に似ている骨隆起で中頭蓋窩の中央部にある。この骨のくぼみには、重要な内分泌腺の一つである下垂体が入る。)
Blumenbach, Clivus of
- 097_08Blumenbach, Clivus of【Clivus斜台 Clivus】 Bony structure that slopes downward from the dorsum sellae to the foramen magnum. It is formed by the occipital bone and the sphenoid.
→(後頭蓋窩の正中部では中頭蓋窩の後端である鞍背から後方に大後頭孔まで「すべり台」のような急な斜面がある。これが斜台で、その上半は蝶形骨、下半は後頭骨からなる(その境界は骨が癒合しているのでわからない)。)
- 097_09【Vomer鋤骨 Vomer】 Unpaired bone of the cranial base. It forms the lower part of the nasal septum and is situated between the sphenoid, maxilla, palatine bone, and perpendicular plate of the ethmoid.
→(骨鼻中隔の下部と後部を形成する四辺形の鋤の形をした骨である。上縁の後部の大部分は篩骨垂直板の下縁に接し、前部の小部分は鼻中隔軟骨に接する。後上縁は左右2枚に分かれて鋤骨翼となり蝶形骨体底の蝶形骨吻をはさみ、また蝶形骨翼状突起の鞘状突起とともに口蓋骨鞘突管を形成する。下縁は上顎骨および口蓋骨の鼻稜に接している。後下縁は遊離縁をなし、後鼻孔の開口部を左右に分けている。Vomerは「鋤の刃」の意味。独立した骨であることを初めて発見したのはG.Fallopius(1523-1563)とM.R. Colombo (1516-1559)であるといわれる。)
- 097_10【Palatine process of maxilla口蓋突起(上顎骨の) Processus palatinus (Maxilla)】 Horizontal bony plate. The two processes form the anterior two-thirds of the hard palate.
→(口蓋突起は上顎体と歯槽突起の移行部にあたる高さで、上顎骨の内面に棚状に出た突起で、口蓋骨の水平板のとともに前方約3分の2の骨口蓋を形成する。水平に突出する骨板で、後縁は左右の第2大臼歯の歯槽を結ぶ線上にある。)