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- 176_00【Humerus上腕骨 Humerus】 The bone of the upper arm.
→(上腕骨は典型的な長管状骨であるが、上端は半球状にふくらんで上内側を向き、下端は前後に扁平である。上端の半球状の部分は大きな関節面で上腕骨頭といい、その基部の周囲にある浅いくびれを解剖頚という。上腕骨頭の前外側には2個の隆起があり、口蓋側のものを大結節、前内側のものを小結節という。両結節の下部はともに下方へ細長く延び出して、それぞれ大結節稜および小結節稜を作っている。大小の結節および結節稜の間には上下に走る溝があり、結節間溝という。大小稜結節のすぐ下で、上腕骨体に移行する部位は骨折を起こしやすく外科頚とよばれる。上腕骨体は上腕骨の大部分を占める骨幹の部分で、上半は円柱状、下半は三角柱状であり、下端は前後に扁平である。上腕骨体の外側面には、第毛節稜のすぐ下からはじまり、上腕骨体の中央に達する三角筋粗面がある。この粗面の後下方には橈骨神経溝という浅い溝があり、上腕骨体の後面を状内側から下外側に向かってラセン状に走っている。上腕骨の下端部は著しく扁平に広がり、内側方に内側上顆、外側方に外側上顆が突き出しており、内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。この二つの上顆の間には前腕の骨と連結する上腕骨窩があり、内側の上腕骨滑車と外側の上腕骨小頭に区別される。前者は中央が浅くくぼんだ円柱状で尺骨の滑車切痕と関節をつくり、後者は小半球状で橈骨頭窩に面している。上腕骨下端部前面には二つのくぼみがあり、滑車の上方にあるものを鈎突窩、小頭の上方にあるものを橈骨窩という。これは肘を強くまげたときに尺骨の鈎状突起および橈骨頭がはまりこむところである。また、後面には滑車のすぐ上方に楕円形の深いくぼみがあり肘頭窩という。これは肘をまっすぐに伸ばしたときに尺骨の肘頭がはまりこむ場所である。鈎突窩と肘頭窩はうすい骨質をはさんで前後面から互いに相接しているが、このうすい骨質に孔があいていることがあり、これを滑車上孔という。内側上顆の上方にはまれに小さい突起がみられることがあり、これを顆上突起という。顆上突起と内側上顆の間には靱帯が張り、その間を正中神経が通過する。また、この靱帯からは円回内筋の一部がおこる。)
- 176_01【Flexor carpi ulnaris muscle尺側手根屈筋 Musculus flexor carpi ulnaris】 Muscle that attaches on the pisiform, via the pisohamate ligament on the hamate, and via the pisometacarpal ligament on the fifth metacarpal. Flexes and abducts the hand toward the ulna.
→(尺側手根屈筋は屈筋群の尺側外縁を形成している。上腕頭は上腕骨の内側上顆と内側上腕筋間中隔から起こる。尺骨頭は肘頭、尺骨後縁の近位2/3と前腕筋膜から起こる。2頭は腱性の帯で結合しており、この下を尺骨神経が前腕の屈側に向かう。筋の腱は(尺骨神経、尺骨動・静脈の)尺側前腕路の内側の境をなす。この腱は手根管を通らず、豆状骨に停止した後、豆鈎靱帯と豆中手靱帯で有鈎骨と第5中手骨に至る。筋の腱中に種子骨として豆状骨の停止部があるため、回転軸からの距離が増し、尺側手根屈筋は手掌を曲げるのに有利なトルク(回転力)を得られる。)
- 176_02【Infraspinatus muscle棘下筋 Musculus infraspinatus】 o: Infraspinous fossa of scapula, spine of scapula, infraspinous fascia, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation, strengthens joint capsule. 1: Suprascapular nerve.
→(棘下筋は棘下窩(肩甲骨頚を縁どる部分は除く)から起こり、肩関節包と上腕骨の大結節中央面につく。これは小円筋とともに肩甲骨縁に付着している筋膜によっておおわれている。機能としては小円筋とともに上腕骨頭を外旋する。神経支配は肩甲上神経。動脈は肩甲上動脈(肩甲横動脈)、肩甲回旋動脈より受ける。)
- 176_03【Teres minor muscle小円筋 Musculus teres minor】 o: Lateral border of scapula, i: Greater tubercle of humerus. Lateral rotation. I: Axillary nerve.
→(小円筋は肩甲骨外側縁に起始し、大結節後面にいたる。この筋はしばしば棘下筋に非常に接近して停止しているので、神経支配の違いを基にしてのみ境界線引くことができる。大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3者によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ、ここを肩甲回旋動静脈が通っている。また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4者によって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrangular spaceとよばれる。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈が通っている。)
- 176_04【Triceps brachii muscle上腕三頭筋 Musculus triceps brachii】 Three-headed arm muscle with a common attachment on the olecranon and the posterior wall of the joint capsule. Extends the elbow. I: Radial nerve.
→(肘を伸ばす筋。3つの起始のうち、軽く伸展する時は内側頭が働き、強く伸展する時には長頭や外側頭も協同する。長頭は肩甲骨の関節下結節、外側頭は上腕骨上部の後面、内側頭は上腕骨体の後面からおこり、合したのち尺骨の肘頭につく。なお、この筋は肩関節の内転にも働く。神経支配:橈骨神経(C5,C7,C8).動脈:上腕深動脈。(イラスト解剖学))
- 176_05【Lateral head of triceps brachii muscle外側頭;橈側頭(上腕三頭筋の) Caput laterale; Caput radiale (Musculus triceps brachii)】 o: Posterior surface of humerus, lateral and proximal to the groove for the radia! nerve.
→(外側頭の起始は狭い帯状で、橈骨神経溝の近位にあり、内側頭の大部分を被っている。しかし、内側頭もまた外側上顆の上の狭い範囲の外側面に達している。)
- 176_06【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
Casserio's muscle
- 176_07Casserio's muscle【Brachialis muscle上腕筋 Musculus brachialis】 o: Anterior surface of the humerus below the deltoid tuberosity. i: Tuberosity of ulna. Flexes the elbow joint. I: Musculocutaneous nerve.
→(上腕筋は上腕骨前面の三角筋粗面(均一な三角筋-上腕筋系の骨付着部と考えらえている)より遠位部で起こり、尺骨粗面に停止する。[臨床]上腕筋は、上腕骨上に直に接しているため、筋を上腕骨に圧迫するような外力が加わるとか、上腕骨の(顆上)過伸展骨折(伸展骨折)の際に、骨折端によって穿通され、容易に損傷される。損傷した筋組織の部位に生じる結合組織の瘢痕は、収縮し、上腕筋の短縮が起こることがある。このような場合、腕は肘関節を伸展することが不可能になる。)
- 176_08【Brachioradialis muscle腕橈骨筋 Musculus brachioradialis】 o: Lateral supracondylar ridge of humerus, lateral intermuscular septum, i: Radial styloid process. Flexes the forearm from the intermediate position between pronation and supination. I: Radial nerve.
→(腕橈骨筋は橈骨の外側縁に位置し、上腕骨の外側縁、外側上顆の上と外側上腕筋間中隔から起始する。腕橈骨筋は橈骨の茎状突起基底部に停止する。)
- 176_09【Medial head of triceps brachii muscle; Deep head of triceps brachii muscle内側頭;深頭;尺側頭;上腕骨粗線(上腕三頭筋の) Caput mediale; Caput profundum; Caput ulnare; Linea aspera humeri (Musculus triceps brachii)】 o: Posterior surface of humerus, medial and distal to the groove for the radial nerve.
→(内側頭は上腕骨の後面、橈骨神経溝の内側遠位および両側間中隔(とりわけ、内側)から起こる。)
- 176_10【Anconeus muscle肘筋 Musculus anconeus】 o: Posterior surface of epicondyle of lateral humerus. i: Posterior surface of ulna, proximal one-fourth. Extends the elbow joint. I: Radial nerve.
→(肘筋は、上腕三頭筋内側頭の外側部分の遠位への延長となっている。その線維は上腕骨外側上顆、関節包および外側側副靱帯に始まり、扇状に尺骨背側表面へ広がっている。)