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- 201_00【Carpal bones手根骨 Ossa carpi; Ossa Carpalia】 The eight wrist bones.
→(手根をつくる手根骨には8個の短骨があり、4個の近位列と4個の遠位列に分けられる。近位列の手根骨([JNA]Ossa carpi proximalis:近位手根骨)は舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨であり、遠位列の手根骨([JNA]Ossa carpi distalis:遠位手根骨)は大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨であって、それぞれこの順に外側(拇指側)から内側(小指側)へ並んでいる。手根骨は掌側面(前面)と背側面(後面)にある多数の靱帯によって互いに結合されているので、その表面は粗である。互いに対向する面、および前腕骨と中手骨に向かう面の大部分は関節軟骨に被われる滑らかな面であるが、小部分は靱帯が着く粗な面となっている。舟状骨は舟のような形をした楕円形の骨で四つの関節面が見られる。遠位端の掌側面に舟状骨結節がある。月状骨は半月状をした骨で、近位骨端は凸面、遠位骨端は凹面である。四つの関節面がある。三角骨は三角錐状の骨で掌側に豆状骨をのせている。豆状骨は本来、尺側手根屈筋の腱に由来する種子骨で、卵円形の骨の背側面に三角骨と接する関節面がある。大菱形骨は不等辺六面体状をしていて掌側面外側に大菱形骨結節がある。小菱形骨は大菱形骨によく似た形をしているが、大菱形骨より小さい。有頭骨は手根骨中でもっとも大きく、半球状の頭を舟状骨と月状骨の間へ突き出している。有鈎骨は掌側面に有鈎骨鈎とよばれる突起をもっており、突起の尖たったやや外側にまたがっている。手根骨は互いに連絡して手根をつくるが、手根は手背側に凸に弯曲し、手掌側はへこんでいる。手掌側のへこみの両側には舟状骨結節と大菱形骨結節でつくられた外側の手根隆起と豆状骨と有鈎骨鈎によってつくられた内側の手根隆起があり、手掌面のへこみを強調している。)
- 201_01【Radius橈骨 Radius】 One of the two bones of the forearm. It is lateral to the ulna.
→(橈骨は前前腕の2本の骨のうち、外側の短い方にある長管状骨(男約22cm、女約20cm)で、上端と下端で前腕の内側(尺側または小指側)にある尺骨と関節する。下端は上端に比して著しく大きい。上端には円盤状の橈骨頭があり、円板の外周にあたる部分は尺骨の橈骨切痕と橈骨輪状靱帯に接する。また、橈骨頭の上面は浅いくぼみになっており(橈骨頭窩)、上腕骨の小頭と関節をつくる。橈骨頭のすぐ下で橈骨体に移行する部分は急に細くなってなってくびれており、橈骨頚という。橈骨体は上端を除く大部分が三角柱状で、全体として外側に弓形にまたがっており、前後および外側の3面と前後および内側の3縁が区別される。内側縁は他の2縁と異なり鋭い稜線になっており、骨間縁とよばれる。この縁と尺骨の同名縁との間には前腕骨間膜が張っている。橈骨頚のすぐ下で橈骨体の前内側には卵円形にもり上がった橈骨粗面があり、上腕二頭筋の腱が停止する。また、外側面には回内筋の停止する粗面(回内筋粗面)がある。橈骨下端の外側面には茎状突起という下方に伸びる突起があり、内側面には三角形の関節面をもった尺骨切痕があり、尺骨の関節環状面と関節をつくる。また、後面には3~4個の縦に走る溝がある。橈骨下端の下面にあるくぼみは手根関節面で中央にある弱い隆線によって内外二つの関節面に分けられている。内側の関節面には月状骨が、外側のものには舟状骨が接している。語源Radiusは一点から放散する光り、放線、転じて車輪の幅(スポーク)を意味し、この骨の形が幅に似ているところから命名された。また橈は、かい、オールを意味する。)
- 201_02【Scaphoid bone舟状骨(手の) Os scaphoideum; Os naviculare manus】 Bone situated between the lunate and trapezium.
→(手の舟状骨は手根の近位列の最大の骨で、外側(橈側)にある。橈骨、月状骨、有頭骨、大菱形骨、小菱形骨と関節する。上面(近位面)は橈骨に向かう凸な、下面(遠位面)は有頭骨に向かう凹な関節面で大部分を占められ下外側端に大小菱形骨に対する関節面がある。)
- 201_03【Trapezoid bone小菱形骨;小多角骨 Os trapezoideum; Os multangulum minus】 Bone located between the second metacarpal, scaphoid, trapezium, and capitate.
→(小菱形骨は舟状骨、大菱形骨、有頭骨、第2中手骨の間にはさまり、周囲にこれらの骨に対する関節面を持ち、掌背方向を向く小さな角柱状である。)
- 201_04【Trapezium bone大菱形骨;大多角骨 Os trapezium; Os multangulum majus】 Bone situated between the first metacarpal and the scaphoid.
→(大菱形骨は第一中手骨と舟状骨の間にある。大きな下端には第1中手骨に対向する内外方向に凹、掌背方向に凸の鞍状の関節がある。内側(小指側)面の一部で第2中手骨にも向かう。内側面のそれより後は小菱形骨がはまる深い凹面となる。)
- 201_05【Metacarpals; Metacarpal bones [I-V]中手骨[1-5] Ossa metacarpi; Ossa metacarpalia [I-V]】 Metacarpal bones of the hand.
→(中手骨は手根骨の遠位にある5本の細長い管状骨である。第1中手骨が最も短いが、最も太い。最も長いのは第2中手骨で、ついで第3、第4、第5中手骨の順に短い。中手骨には頭・底・体の3部が区別できるが底は中手骨の近位端で太く、手根骨との関節面をもっている。関節面の形は中手骨によって異なり、第1中手骨は鞍状に凸、第2中手骨では中央にくぼみがみられ、第3、第4中手骨では平らである。第5中手骨では不完全な鞍状を呈する。体は後面に向かってゆるく弯曲していて底および頭より細いので、となりあう中手骨の間に中手骨間隙ができる。頭はまるく大きく、基節骨底に接する関節面がある。第3中手骨底の背面外側には小さな突起がみられ、第3中手骨の茎状突起という。)
- 201_05a【First metacarpal bone; 1st metacarpal bone第1中手骨 Os metacarpale I】
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- 201_05b【Second metacarpal bone; 2nd metacarpal bone [II]第2中手骨 Os metacarpale II】
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- 201_05c【Third metacarpal bone; 3rd metacapal bone[III]第3中手骨 Os metacarpale III】
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- 201_05d【Fourth metacarpal bone; 4th metacarpal bone [IV]第4中手骨 Os metacarpale IV】
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- 201_05e【Fifth metacarpal bone; 5th metacarpal bone第5中手骨 Os metacarpale V】
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- 201_06【Ulna尺骨 Ulna】 Medial forearm bone.
→(橈骨と並んで前腕の内側(小指側)にある長管状骨(男約24cm、女21~22cm)で、上下の両端と体が区分される。この骨は橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細い。上端には前上方から深く切れ込んだ滑車切痕があって上腕骨滑車と関節する。滑車切痕の中央には上腕骨の滑車のくぼみに対応する弱い高まりが縦に走っている。滑車切痕の下端は前方に付きだして鈎状突起となり、切痕の後面は著しく肥厚して肘頭を形づくっている。また、滑車切痕の下外側には橈骨切痕があり、橈骨の関節輪状面に接する。橈骨体は橈骨の骨間部でゆるくS状に弯曲しており、前面には、滑車切痕のすぐ下に尺骨粗面がある。橈骨切痕の下縁から下方に向かう高まりは回外筋の起始するところである(回外筋稜)。橈骨体には前後および外側の3縁と前後内側の3面が区別出来るが、外側縁は鋭く外側へ張り出し、骨間縁とよばれる。尺骨の下端は小さな鈍円状のふくらみになっていていて尺骨頭の外周には橈骨の尺骨粗面と関節をつくる関節環状面がある。また、尺骨下端の内側面には茎状突起という細くて小さな突起がみられる。語源はギリシャ語のOlein(ヒジ)に由来する。また、Olecranon(肘頭)はOleinのcranon(頭)という意味である。)
- 201_07【Lunate bone月状骨 Os lunatum】 Bone situated between the scaphoid and triquetrum.
→(月状骨は手根の近位列の骨で、舟状骨および三角骨の間にある。上面は橈骨(外側)と関節円板(内側)に向かう凸の、下面は有頭骨に向かい凹の関節面となり、側面からみると半月形で、そこには隣接の舟状骨と三角骨に対する関節面がある。)
- 201_08【Triquetrum bone; Triquetral bone三角骨 Os triquetrum】 Bone dorsal to the pisiform between the hamate and lunate.
→(三角骨は月状骨、有鈎骨、豆状骨の間にはまって下内側(小指側)に向かってやや尖った三角錐体状である。有鈎骨に向かう面は軽度に鞍状である。)
- 201_09【Pisiform bone豆状骨 Os pisiforme】 Bone located on the palmar side of the triquetrum. It is actually a sesamoid bone embedded in the tendon of the flexor carpi ulnaris muscle.
→(豆状骨は尺側手根屈筋腱のなかの半球状の種子骨である。三角骨に向く側に関節面がある。)
- 201_10【Capitate bone有頭骨 Os capitatum】 Centrally located bone between the third metacarpal and the lunate.
→(有頭骨の最大の手根骨で、上端は舟状骨と月状骨に対する半球状の関節面を有する頭部([JNA]Caput ossis capitati有頭骨頭)をなし、この部が全手根骨の中央に位置する。下端は大きく、稜線で内外2部に分かれる三角形の関節面によって第2、3中手骨に対し、その内側縁は第4中手骨にも接する。)
- 201_11【Hamate bone有鈎骨 Os hamatum】 Bone located between the fourth and fifth metacarpals, the capitate, and the triquetrum.
→(有鈎骨は第4、5中手骨に対する不正な鞍状の関節面を底として上方に尖る三角形である。掌側面の内側端から掌側に有孔骨鈎が突出する。内上面は三個角骨にする鞍状の関節面で占められる。)