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- 293_00【Vertebral body; Body of vertebra椎体;椎骨体 Corpus vertebrae】
→(椎体は椎骨の前部を占める短い円柱で、上下端は平らな面をつくる。上面と下面はやや広いため、椎体を側面から見ると、中央でややくびれている。後面は椎孔の前壁にあたり、縦に走る浅く広い溝となっている。椎体の上下面は椎間円板と固着する硝子軟骨で被われる。この軟骨の周縁部は骨化し、後方部分が欠けた不完全な輪の形の骨端板を作る。加令によりこの骨端板の骨化はさらに進行し、椎体の上下面の縁が側面から水平に突出するようになる。)
- 293_00a【Ribs [I-XII]肋骨[1-12] Costae [I-XII]】
→(肋骨という名前は、骨質からなる肋硬骨と軟骨質からなる肋軟骨の総称である。肋骨は扁平長骨で、12対あり、後方で胸椎と連結して胸郭を構成する。軟骨性骨として発生するが、前方の小部分が肋軟骨として軟骨のまま残る。第一~七肋骨は前端が胸骨外側縁と連結しているが、第八から十二肋骨は胸骨に達していない。前者が真肋、後者が仮肋である。仮肋のうち第八~第十肋骨では、肋軟骨が上位の肋軟骨と結合して肋骨弓を形成する。第十一・第十二肋骨は自由端で終わる(浮遊肋骨)。肋骨は後上方から前下方へ向かい、胸骨近くで角をなし、上方へ向かう。第一・第二肋骨では肋軟骨との境界部で、他の肋骨では肋軟骨部で曲がっている。長さは第一肋骨~第七肋骨まで増加し、第八肋骨以下では減少する。胸椎体と連結する膨大した部分が肋骨頭で、肋骨頭関節面がある。第二~第十肋骨では水平に走る肋骨頭稜によって、上位胸椎体の下肋骨窩に対する上方の小さな関節面と、各肋骨と同順位の胸椎体の上肋骨窩に対する下方の大きな関節面とが区別される。第一・第十一・第十二肋骨では、肋骨と同順位の胸椎体とのみ連結するので、肋骨頭関節面は単一な平面である。肋骨体に続く前後にやや扁平な部分がが肋骨頚で、各肋骨と同順位の胸椎横突起の前面に位置している。鋭い上縁が肋骨頚稜で、後面は粗面をなす。外側端後部外面の膨隆した部分が肋骨結節で肋骨体との境をなす。肋骨結節には、各肋骨と同順位の胸椎横突起に対する下内側部の肋骨結節関節面と、外側部の靱帯が付着する隆起とがある。肋骨結節に続く扁平な部分が肋骨体で、上縁は丸く下縁は鋭い。肋骨結節の外側で、前後にやや厚く後面が粗面をなし、肋骨がやや強く弯曲する部分が肋骨角である。第一肋骨の肋骨角は肋骨結節の所にあるが、第二肋骨以下下方の肋骨ほど、肋骨角は肋骨結節の外側方に位置するようになる。肋骨体内面下部で、肋骨頚から前方に走る溝が肋骨溝で、肋間神経・肋間動静脈が入る。溝は前端近くで不明瞭となる。肋骨体の前端は被厚し、断端は楕円形の凹面として終わる。肋骨は内側方へ屈曲するとともに、長軸のまわりで上縁が内側方向へねじれている。第三から第十肋骨は上述の一般的形態を示すが、第一・第二・第十一・第十二肋骨はやや変形を示す。第一肋骨は最も短く、上下に扁平なため幅が最も広い。肋骨角に相当する部分は肋骨結節に一致し、ここで弯曲が最も強い。上面の中央内縁に近い部分の小隆起が前斜角筋結節で、この前方にある浅い陥凹が鎖骨下静脈溝、後方の浅い陥凹が鎖骨下動脈溝である。第二肋骨の上面中央外側部の粗面が前鋸筋粗面である。)
- 293_01【Intervertebral disc椎間円板;椎間線維軟骨 Discus intervertebralis; Fibrocartilagines intervertebrales】 An elastic disc that compresses and rebounds under pressure, consisting of layered rings of fibrous tissue and fibrocartilage around a gelatinous nucleus. It is attached to two adjacent vertebral bodies by their hyaline cartilage plates and by the posterior longitudinal ligament.
→(椎間円板は隣接する2個の椎体間にあって厚い円盤状をなすが、脊柱の部位によりその厚さは異なる。また個々の円板ではその中央部がもっとも厚く、辺縁がやや薄い。円板の厚さが絶対的に、また隣接する椎骨の厚さと相対して厚いほど、椎骨の可動性が大きい。胸椎の中位の椎間円板はそのいずれの意味でも最も薄い。また、頚椎と腰椎では椎間円板の前縁が後縁よりやや厚い。椎間円板の上下面は椎体の面を被う硝子軟骨層と固く結合し、組織的には明瞭な境界がなくて移行する。中心部の髄核とそれを取り囲む外側の結合線維部分(線維輪)からなる。(1)線維輪:外周を輪状に走る部分。(2)髄核:中央にあって弾性に富む。胎生期の脊索の遺物といわれる。胎児の椎間円板中には、この部でとくに太くなる脊索が明瞭である。成人でも髄核組織の一部が脊索の遺物にあたる。椎間円板は単に椎体を結合するのみではなく、弾性体として脊柱の運動および体重をささえることに重要な役割を果たしている。脊柱の屈伸に際して椎間円板の屈側は低く圧迫され、伸側は引き延ばされるが、線維輪のラセン状の線維配列はこのような外力に対する抵抗と、変形のあとの復元とに大切な意義を有する。また、髄核はかたい線維輪のなかにあって、あたかも水枕のように作用し、圧をすべての方向に分散させるとともに屈伸に向かって若干おしつけられる。)
- 293_02【Pedicle of vertebral arch椎弓根 Pediculus arcus vertebrae】 The part of the vertebral arch located on the vertebral body between the superior and inferior vertebral notches.
→(椎弓根は椎体に付く椎弓の前部。上縁と下縁にある上椎切痕と下椎切痕により、上下から狭められる。多くの椎骨では椎弓板は椎弓根より深く、したがって椎弓根は椎体後面の上端寄りに着くようにみえる。)
- 293_03【Posterior longitudinal ligament後縦靱帯;後総縦靱帯 Ligamentum longitudinale posterius; Ligarnentum longitudinale commune dorsale】 Ligament that mainly connects the intervertebral discs, traveling along the posterior surfaces of the vertebral bodies within the anterior wall of the vertebral canal. It is continuous with the tectorial membrane from the third cervical vertebra upward.
→(後縦靱帯は椎体と椎間円板の後面に沿い、脊柱管の前壁を縦走する。上端は幅が広く、大後頭孔前縁より約1cm上方の斜台から起こり(この部の深層の部は蓋膜と呼ばれる)、下方ほど狭くなって仙骨管の前壁に達する。椎間円板およびそれに接する椎体の縁と固く結合し、椎体後面の中部とは結合がゆるい。とくにひゅそうの線維は4~5個の椎体を越えて椎間円板から椎間円板へと結合し、この靱帯が椎間円板に着くところでは特に幅が広くなっている。前・後縦靱帯は椎体と椎間円板からなる柱を前後から支えるとともに、椎間円板の弾性によって緊張させられている。)